知っておきたい!子供も注意が必要な食中毒4種

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5月から6月にかけて、湿度とともに急激に湿度があがる季節ですが、成人においても小児においても、食中毒が起こりやすいシーズンと言えます。今回は、成人のみならず子供も注意が必要な食中毒を4つ紹介します。

病原性大腸菌

大腸菌は一般的に人など哺乳類の大腸に生息する細菌の一種ですが、その中で特に人体に有害な大腸菌をまとめて、病原性大腸菌と読んでいます。病原性大腸菌といっても種類は多く、乳児下痢症の原因になるものや、腸管粘膜に侵入して血便を来すもの、下痢を起こす毒素を産生するもの、そして、一番問題となるのが腸管出血性大腸菌と呼ばれるものです。

腸管出血性大腸菌は、有名なものはみなさんご存じのO-157と呼ばれるものですが、これだけではなく数種類の出血性大腸菌が同定されています。(参照記事)腸管出血性大腸菌は、文字通り高率に血便を来しますが、厄介なのはその毒素(ベロ毒素と呼ばれる)により、全身の血管、特に腎臓に大きな障害を残し、小児の場合は重症化して後遺症を残したり死亡する事例もあります。

症状は腹痛と下痢、翌日以降に血便が出ます。毒素そのものが原因なので、高熱が出ることはあまりありません。一般的な食中毒としての大腸菌感染は8-24時間で発症しますが、腸管出血性大腸菌感染の場合は潜伏期間が3-5日とやや長めです。牛などの腸管に住みついていることが多いので、生肉食の既往がないかどうかが診断の大きなカギになります。そして、確定診断は便培養からの病原性大腸菌の検出ですが、ベロ毒素の存在を調べる方法や、腎機能・赤血球数や血小板の値などで類推することもできます。

ベロ毒素が腎臓に影響を及ぼすと、溶血性尿毒症症候群という診断になりますが、こうなると重症の場合は透析が必要になったり、血漿交換が必要になったりします。

サルモネラ感染症

サルモネラ感染症も一般外来で時折みる疾患ですが、いわゆるサルモネラ菌によって引き起こされる食中毒の一種です。サルモネラ菌は非常に種類が多く、チフス菌(腸チフスの原因菌)もサルモネラに含まれます。一般的なサルモネラ食中毒は、豚・ニワトリ・牛の腸管内に常在菌として生息しているサルモネラ菌を摂取することによって発症します。潜伏期間は約8時間から3日程度、悪心・嘔吐から次第に激しい腹痛と下痢を来します。この症状は一般的なウイルス性胃腸炎と変わりませんが、腹痛や発熱の度合いが強く、やや重症感があることで見分けます。また、ウイルス感染と違って血液中の白血球や炎症反応の上昇もみられます。

診断は現時点では便培養のみですが、便培養は提出後5-7日間程度の検査時間が必要になります。また、治療はキノロン系と言われる抗菌薬か、アンピシリン(アモキシシリン)、ホスホマイシンが有効との説もありますが、一般的には抗菌薬はあまり効かないので、対症療法で回復を待つことが多いです。特にキノロン系は小児では年齢的に使えない場合も多く、治療選択に困る場合があります。

カンピロバクター感染症

カンピロバクター感染症は、カンピロバクター属の菌の感染によって引き起こされますが、一般的には潜伏期間が2日-5日と長く、また少ない菌量でも発症するため、原因食物の同定が難しい食中毒のひとつです。

カンピロバクターはウシ・ヒツジ・ニワトリなどの腸管内に生息しています。症状は、水様便、血便、発熱などですが、サルモネラと比較すると熱はやや低い傾向にあります。多くは数日内に自然治癒しますが、重症例にはマクロライド系の抗菌薬が使われる場合があります。

また、カンピロバクター感染症は基本的には予後のよい疾患ですが、そのあとに、ギランバレー症候群が起こることがあるとの報告があります。ギランバレー症候群とは、神経に対する自己抗体ができてしまった結果、次第に手足に力が入らなくなる病気で、呼吸筋が麻痺して人工呼吸器が必要になったりする重症例も報告されています。適切な治療をすれば数週間で改善しますが、こうした合併症があることは常に念頭に置いておくべきです。

腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオ菌は、15度以上の比較的高温の海水中で活動します。ビブリオが繁殖している海水の中で泳ぐ魚類に付着し、それを摂取すると発症します。潜伏期間は短く、3時間から24時間程度で発症し、激しい腹痛、下痢が主症状です。発熱も認められます。

食中毒を予防する3つの鉄則

食中毒予防の3原則は、
1、つけない
2、ふやさない
3、やっつける
です。

1、つけない

手洗いは基本的に調理前、肉魚卵など中の食材を扱ったあと、鼻をかんだり髪の毛を触ったりしたあと、食事前 にするのが鉄則です。
また、調理器具や手を介して、サラダなどの生食するものに付着しないように、まな板だけでなく包丁、ふきん、スポンジの扱いにも十分注意が必要です。

2、ふやさない

調理済の食品は、冷めていく間に少量付着した菌が大増殖する可能性があります。余ったものは冷蔵庫で保管するのはもちろんですが、冷蔵庫を過信せず、なるべく早めに食材を使いきりましょう。

3、やっつける

仮に食物に細菌が増えてしまっていたとしても、適切に加熱処理をすれば通常は死滅してしまう場合がほとんどです(一部例外あり)。加熱する際には、中心部までしっかり加熱されることが大前提で、液体やスープの場合は、よくかき混ぜて均一に火が通るようにしましょう。また、電子レンジは構造上どうしても温めムラが生じるので、液体などは途中で一度混ぜてから再度温めるなどの工夫も重要です。多くの細菌は80度2分で死滅しますので、それを目安に加熱を行いましょう。