コロナウイルス【イギリス・インド変異株について】

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コロナウイルスは、変異が起こりやすいことが特徴の一つとされています。今現在世界中で流行しているウイルスは、はじめに中国の武漢で発生した初代の新型コロナウイルスと比較すると、約30か所もの変異があることが分かっています。

コロナウイルスの変異とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

コロナの変異の多くはスパイク蛋白の変異

ウイルスの構造は、おおまかに言えば、遺伝子(2本差のDNAか一本鎖のRNA)と、その遺伝子を取り囲んでいる容れ物だけです。ウイルスの種類によっては、容れ物に足がついていて、地面に着地できるようなものもありますが、コロナにはありません。

そんな単純な構造になっているので、遺伝子変異が反映されるのは、その容れ物=外殻だけといってもいいです。というか、それ以外のところに大きな変異があっても、ウイルスとして成立できない変異であれば死滅するのみです。(そのため、病原性やウイルス自身の特性については大きく変わることはないと言われています。)

そして、外殻に変異が起こった場合、どこに影響が出たらウイルスにとって有利なのかというと、人間の細胞にくっつくためにあるスパイク(=棘の部分)です。いろいろな形で遺伝子変異が起こった結果、たまたま接着力がすごく強いように変異したウイルスが、結果的に感染力が強くなり、他のウイルスを席巻していきます。

感染力が強くなると、当たり前ですがたくさんの人に感染する機会が増え、その結果、弱い個体にも感染しやすくなり、死亡率が上がります。さらに、今インドなどでも起こっているように、医療資源が枯渇し医療崩壊が起こると、本来助かる命も助からなくなり、死亡率がグッと上がってしまう原因にもなります。

また、ワクチンもこのスパイク蛋白を標的にするように作られていますが、スパイク蛋白の構造が大きく変わってしまうと、免疫システムがコロナウイルスだと気づかないで攻撃しない可能性が高まってしまいます。これを、免疫逃避といいます。

変異株の種類

コロナウイルスは日々変異を続けていますが、その変異は多くは些末なもので、変異の中にはウイルスの存続を不可能にさせてしまうような変異もあります。

そのなかで、WHO(世界保健機関)は、変異株について「VOC」と「VOI」とに分類して注意を促しています。

VOC;Variants of Concern  懸念すべき変異株

これは、感染力が高い、あるいは病原性が高い、ワクチンや既存の治療薬が効きにくいといったことが実証されている変異株を指します。

いわゆるイギリス変異株(501Y.V1、あるいはVOC-202012/01)、南アフリカ変異株(501Y.V2)、ブラジル変異株(501Y.V3)、フィリピン変異株(P.3系統)がこれに相当します。

501Y.V1はニュースで報道されている通り、従来型より感染力が1.5倍から1.7倍程度と推定されており、また入院や死亡のリスク上昇と関連している可能性が高いと言われています(イギリスからの報告では約1.3-1.8倍程度)。また、従来型より抗体による中和がされにくく、一旦コロナに罹って抗体を持っていても、再感染するリスクも指摘されています。ファイザー社やアストラゼネカ社製ワクチンの効果も2-3割落ちる可能性も指摘されています(モデルナ製ワクチンは効果が落ちないとの暫定結果あり)。

これが2021年4月現在、日本で猛威を振るっている変異株の正体です。

お気づきのように、3株ともN501Yという変異を持つという共通点がありますが、501Y.V2と501Y.V3はそれに加えてE484Kという変異も持っています。このE484K変異は、前述の免疫逃避の特徴を持つ変異です。近年は、501Y.V1にE484K変異を持つウイルスも確認されています。

VOI;Variants of Interest  注目すべき変異株

これは、上記のようなことが実証はされていないけれど、世界中で市中感染拡大やクラスターが起こっているような原因となっている変異株のことを指します。

まだ大きなニュースにはなっていませんが、数種類指定されています。

インド変異株について

インドでは、2021年2月の中旬には感染者数は1万人以下となり、死者数も100人を切っていたが、そこから急激に感染爆発を起こし、4月末の時点で一日35万人を突破しています。死者も一日あたり2000人を超えるパンデミックとなっています。これは、インドの変異株による影響が強いとの専門家の見方があります。

インド型の変異株は「二重変異」と報道されていますが、実は変異は全部で13箇所あることが分かっています。その中で、別々に発見された変異がたまたま重なっているので、二重変異と呼ばれています。この2つの変異のうち、ひとつは前に出てきているE484Kと同じ場所の変異E484Qと呼ばれます。E484K同様、免疫回避に関与する変異である可能性が高いですが、まだよく分かっていません。そしてもうひとつは、L452Rという変異で、これはアメリカのカリフォルニアで確認された変異です。L452RはN501Yと比較するとそこまで感染力が大幅に高まるわけではありませんが、それでも従来型より強い感染力があるということが指摘されています。このダブルの変異でその特徴が増強される可能性があり、非常に懸念されています。また、インドでは二重変異だけでなく、三重変異も見つかっていると報道されていますが、そもそも変異していくのがコロナウイルスであり、発生当初のウイルスと比較すると今日日の新型コロナウイルスたちはたくさんの変異を持っているのが当たり前ということもできます。

私たちがすべきこと

ウイルスの変異はこれからもどんどん進んでいくことは確実です。ウイルスはどんどん自分たちが増殖しやすいように、薬やワクチンで駆逐されないように、人間に取り込みやすいように、その遺伝子を変異させていくでしょう。この闘いに終わりなんてない、と絶望したくなるかもしれませんが、実は私たちのやるべきことはずっと変わりありません。

この1年でコロナの感染について分かってきたことは、コロナウイルスは多くが飛沫感染であること、人の密集するところでその感染力を発揮することです。その他、治療についてもたくさんのことが日々分かってきています。私たちがやるべきことは、家族以外の他人との食事を控えること、3密の回避、こまめな手洗いと消毒、それに尽きます。いくら感染力が強いとはいえ、2m離れたところを患者さんが通っても、感染するリスクはほぼありません。至近距離で飛沫を浴びなければ感染の機会はかなり減らせますし、3密を避ければエアロゾルを吸いこむ危険も減らせます。さらに、飛沫が体についてしまったとしても、こまめな手洗いでウイルスを除去できることも分かっています。要は、ウイルスを粘膜や口から自分の体内に侵入させなければいいわけですから、水際対策は自分で強化する以外にありません。そして、なるべくウイルスが飛んでいると思われる状況に身を置くことにならないことが一番です。

30代でもどんどん重症化するこのコロナウイルスを恐れないのはもちろん問題外ですが、逆に怖がりすぎても日常生活を送っていかなければいけない以上は支障がでます。コロナウイルスの本質は変わっていないのですが、医療崩壊や人災で助かるべき人が助からないということが起こってはならないので、個人がひとりひとり自己管理を適切に強めるしかありません。まだまだ長い闘いになりそうですが、みんなで一丸となって乗り越えていきたいですね。

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