三種混合ワクチン追加接種について

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日本小児科学会では、就学前の1年間の間(満6歳)で三種混合ワクチンの追加接種を推奨しています。定期接種4回完了していても追加が必要な理由はなんなのでしょうか?

三種混合ワクチンとは

三種混合ワクチンとは、ジフテリア・百日咳・破傷風の3種類が予防できる不活化ワクチンです。現在は三種混合ワクチンは定期接種では入っておらず、かわりに上記三種に加えてポリオを混合した、四種混合ワクチンに切り替わっています。

通常、四種混合ワクチンは生後3か月以降、1歳台までに4回の初回接種を行い、さらに小学校高学年でジフテリア・破傷風の二種混合ワクチンを追加接種することになっています。

三種混合ワクチンでも四種混合ワクチンでも、発症予防率は100%とされていますが、不活化ワクチンであるために終生免疫は得られず、接種から5年から10年程度で効果が減弱することも知られています。

三種混合ワクチンが予防する病気

ジフテリア

ジフテリアはジフテリア菌によって発症する感染症で、口腔内から咽頭、気道まで、ジフテリア菌が作りだす偽膜という膜状の物質に覆われてしまい、ときに呼吸ができなくなってしまって死に至ることもある病気です。また、ジフテリア菌による毒素で心筋障害や神経障害が起こることもあります。

百日咳

百日咳はその名前の通り、100日続くようなしつこい咳が主症状の感染症です。大人の場合は多くは通常の風邪と見分けがつきませんし、幼児期以降もそれほど問題にはなりませんが、新生児がかかると、無呼吸発作を起こしたりして重篤になることがあります。

破傷風

けがなどの傷口から破傷風菌が引き起こす感染症です。破傷風菌は土の中など、空気が届きにくいところに生息しています。神経毒の症状が特徴的で、毒素によりけいれんを起こしたり、息ができなくなってしまい、発症してしまったら高い確率で死に至ります。

小学校以降での百日咳罹患者が多い

 上記の病気はすべて診断すると届け出の必要な病気です。ジフテリアや破傷風は、報告数はほとんど皆無ですが、百日咳は2018年に届け出が義務化された翌年の2019年には年間16000人以上の報告数がありました。そのうち、重症化のリスクが高い6か月未満児の患者は、771人(約5%)でした。このうちワクチン未接種者が7割がワクチン未接種者(対象年齢に届いていない人・接種していない人両方含む)でした。

この罹患した赤ちゃんたちは、どこから感染したのかということを調べると、約4割がきょうだいから、1割強が両親から、ということでしたが、実際の発症者数を年齢別でみても、5歳から15歳までで全患者の2/3を占めていました。そして百日咳罹患者の血清の抗体を調べると、ほとんどの子供でワクチン接種歴があるにも関わらず、抗体価の低下がみられました。ワクチンの効果が早ければ5年程度でなくなってしまうということを示唆しています。

大人の感染は、30-40代で10%以上とやや多く、恐らくは学童期の子供から感染していると予想されています。大人は子供と違って集団で長い時間一緒に過ごすことが少ないので、社会の中では流行しにくいのかもしれません。

百日咳は、前述の通り、学童期以降は特徴的な症状が現れづらいため、通常の風邪と見分けがつきません。乳幼児の感染者からさかのぼって診断されるか、医師が流行状況を鑑みてしっかり検査をしないと診断できない病気なので、報告されている数はあくまで氷山の一角である可能性が極めて高いです。

百日咳を含むワクチンの追加接種の必要性

上記のとこから、就学前後に百日咳を含むワクチンの接種が推奨されますが、残念ながらまだ定期接種には至っていません。定期接種ではないということは、自費で接種しなければならず、当然国からもそうしたお知らせはいかないので、よほどの決意がないとワクチンを打ちに行こうと思わないかもしれません。ただ、定期接種ではなくても打ったほうがいいワクチンはたくさんあるし、何よりも赤ちゃんが生まれてくるご家庭、きょうだいがたくさんいるご家庭では、上の子たちの接種を検討したほうがいいかもしれません。

妊婦さんも接種できる

百日咳ワクチンは不活化ワクチンですが、出産前の妊婦さんへの接種も推奨されています。お母さんの体の中で作られた抗体が、胎盤を通って赤ちゃんに届くので、赤ちゃんは生後数か月はその抗体に守られることになります。

両親やきょうだいからもらわないように、親やきょうだいが予防接種をするか、お母さんが内側から免疫を強化するか、2つのパターンがあり、両方していればなお安心です。

ポリオについて

実は、百日咳もですが、ポリオも時折海外からの輸入感染症として国内に入ってくることがあります。ポリオは急性小児まひをおこす感染症ですが、この抗体も同様に下がっていることが確認されています。このことを考えると、三種混合ではなくて四種混合を打つとよさそうですが、四種混合は現在4回までの接種しか認められておらず、1歳台までに4回接種が終わっているのが通常なので、就学前に打つことができません。ですので、打つとしたら、三種混合+ポリオ単独の2本のワクチンを打てば完璧ですが、まだまだそこまで接種していただける人は少ないのが現状です。ポリオは今のところ国内での大流行はありませんので、まずは百日咳を優先してあげるのがよいと思われます。

百日咳は赤ちゃんがかかると人工呼吸管理になったりと本当に辛い病気ですので、しっかり予防してあげたいですね。

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