小児のピロリ菌感染

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近年、ピロリ菌感染による胃がんリスクの増加が話題になっています。ピロリ菌は家族内感染する細菌の一種。子供への感染を防ぐ方法、ピロリ菌感染の症状、治療などについてまとめました。

ピロリ菌とは

ピロリ菌とは、正式にはヘリコバクター・ピロリという、胃内に寄生する細菌の一種です。日本において、50歳以上の人の60%にピロリ感染があると言われています。ピロリ菌に感染すると、慢性的な炎症を起こし、萎縮性胃炎という状態になります。そして、萎縮性胃炎から、高率にがんが発生するということも分かっています。

ピロリ菌に感染している人は年間あたり胃がんになるリスクが0.4%あると言われています。つまり、感染した状態で10年生きたら4%、50年生きたら20%も胃がんの確率が増えるということです。

胃内はpH2の強酸性の環境で、通常細菌は生息できません。しかし、5歳くらいまでは胃酸の濃度もそこまで強くないため、多くは子供の頃にピロリ菌に感染し、そこから持続感染し数十年かけてがんの素地が出来上がっていくと考えられています。30代であってもすでに10%以上発がんリスクは上がっているということになります。

ピロリ菌の感染はどうやって起こる?

そして、その感染経路は、多くの場合、家庭内感染です。以前は井戸水などを介しての感染が多かった時代もありました。そのため、現在でも高齢者の保菌率が高くなっています。上下水道が整備された現代においては、幼少期の食器やカトラリーを親と共用するによって感染すると言われています。

親にピロリ菌の感染がある場合、50%の確率で子供にも感染していると言われています。

ピロリ菌感染の症状

ピロリ菌に感染していても、通常はほとんど無症状なので、本人の症状からは感染の有無が分かることは少ないです。特に小児においては、症状が出ることのほうが稀とされています。

ピロリ菌の持続感染があると、胃の粘膜が数十年かかって萎縮していき、胃酸がでなくなったり、慢性的な痛みが出ることがあります。また、食欲不振や倦怠感といった、非特異的な症状が出ることもあります。時に、血小板減少症の原因になっていることもあり、原因不明の血小板減少がある場合には、ピロリ感染も疑って検査をすべきとも言われています。

ピロリ菌感染の検査

ピロリ菌に感染しているかどうかの検査は、呼気にピロリ菌が産生する尿素が含まれているかどうかの尿素呼気試験、便中にピロリ抗原が存在するかを見る糞便中抗原検査、血液中のピロリ抗体を見る抗体測定という方法が一般的です。しかし、今の保険制度では、基本的には内視鏡をしていないと検査自体ができません。(特例として、血小板減少症がある人には適応があります。)自費検査には数千円かかるため躊躇してしまう場合もあるでしょう。

子供に内視鏡をすることも稀だし、内視鏡をして胃炎を見つけることはもっと稀なので、実際のところピロリの可能性があっても検査がなかなかできません。さらに、15歳未満では、たとえピロリ菌がいたとしても、保険での治療の適応すらありません。実際に外来で、ピロリいるかもな、と思っても、こうした理由でなかなか手出しができません。

こうしたことから、小児に対して検査を行うか否か、特に親にピロリ菌感染があった場合の小児の扱いについては、統一的な見解がありません。感染している以上は、持続的に炎症を起こしているということなので、できるなら早いところ見つけて除菌するならした方がよいのですが、できないのが現状です。

親がピロリ菌に感染していた場合

上記のように、決まった見解はないのですが、胃潰瘍にしても胃癌にしても問題になってくるのは大人になってからなので、親に感染歴がある場合は、15歳を過ぎてから、胃カメラとピロリ菌検査をセットでしておくとよいですよ、とアドバイスされる場合が多いようです。また、母親から子供への感染リスクが高い子とも分かっているので(乳幼児期には多くの場合女親が食事を与えるため)、女性は妊娠適齢期になったら子供のために調べておくのもよいです。

もちろん小児期でも胃に何らかの症状が出てきた場合は速やかに胃カメラを受けたほうがよいでしょう。体格的には30キロを越えて来たらだいたい大人と同じように胃カメラができますが、施設によって基準が違っていると思われるため、あらかじめ希望を伝え、検査自体ができるかどうか確認する必要があります。

自治体によっては、集団検診でピロリ菌の検査(ABC検査)をしているところもあるので、お住まいの自治体でやっていないかどうか調べてみるといいですね。

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