腸重積について

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乳幼児に特有の病気に「腸重積」というものがあります。腸重積とはどのような病気か、診断・治療についてもまとめました。

腸重積の病態

「腸重積」とは、文字通り腸が「重積」する病態ですが、どういうことかというと、長く伸びて折れ曲がっておなかに収まっている腸管の一部が、隣接する腸内にはまり込んでしまう状態のことを指します。言葉で説明しても分かりにくいので、まずは図でどうぞ。↓

横からの断面図がこんな感じになります。(GSK社のHPから画像お借りしています)

通常の腸管はこのような状態になってもすぐにまた元の状態に戻りますが、周囲のリンパ節が腫れていたり、憩室といって腸のでっぱりがある場合なんかもそこをとっかかりにして起こりやすくなります。また、ロタウイルスの予防接種後にも起こりやすくなるという報告もあります。

腸管の表面には血管が沿って走っていますが、こうした状態になると血の流れが悪くなり腸管がむくんで入りこんだ腸が元に戻りにくくなり、さらに血流障害が長く続くと、腸が腐ってしまう場合もあります。

腸重積の好発年齢

腸重積の好発年齢は3か月から6歳くらいまでの乳幼児ですが、大人でもがんなどがあったり前述の憩室があったりする場合は、稀に起こる場合もあります。乳幼児では腸管のリンパ節が腫れている場合が多く、胃腸炎などの感染の後にも起こりやすくなります。

腸重積の症状

腸重積の3兆候は①腹痛、②嘔吐、③血便 です。通常は初期においては腸管が重複したり解除されたりを繰り返しており、一度の診察では分かりにくいことも多くあります。

0歳から1-2歳くらいまでの間は、腹痛という症状を表現することが難しいため、不機嫌あるいは泣き止まない、いつもと違う泣き方をするというような症状で気づかれる場合があります。また、腸管の血流が停滞したり流れたりするという中で、間欠期にはちょっとぼーっとするような、軽い意識障害が現れることもあります。顔色も優れず、青白い顔になります。また、腸の通りが悪くなると、嘔吐も現れます。

さらに発症から時間が経ってくると、痛んだ腸管から出血を起こし、いわゆる「いちごジャム状の血便」を来します。これはさらっとした出血や線状の出血ではなく、鮮血~暗赤色のドロッとした血便になります。浣腸などの処置をしてこうした血便を見たら、腸重積の可能性がぐっと高まります。

腸重積の診断方法

上記の特徴的な三徴から、まずはこの病気を疑うことが重要です。腸重積を疑えば、エコーで腸の重積所見を確認したり、じっとできる子であればCTが選択される場合もあります。また、診察では腸管が入りこんでいる部位ではその部位が塊として触知されたり、逆に腸がはまり込んでいってしまった部分は腸があまり触れず空っぽのようにおなかがぺっちゃんこになっていたりします。また、こうした所見に加え前述のように浣腸などでイチゴジャム状の血便が見られたら確定的となります。

腸重積の治療

腸重積と診断すれば、治療は2択です。発症からそれほど時間が経っていないと考えられる場合は、お尻から管を通し腸管に造影剤と生理食塩水を入れ、水圧ではまり込んだ腸管を押し出す処置をします。その際には、ポンプなどで押すのではなく、生理食塩水のボトルを高い位置につるして自然な圧力を利用して行います。また、造影剤は仮に腸管に傷がついたり破れたりした場合に大変なことになるので、最近では空気で整復される場合もあります。弱った腸管にダメージを与えないように、圧力は100mmHgを超えないようにするのが原則です。

この整復術が無効だった場合、あるいは発症から24時間以上経過している場合には、手術での整復が選択される可能性が高くなります。小児外科のある病院での対応が必要になります。

治療のその後は?

腸重積が起こる部分は、腸の周りや腸自体が腫れていることもあり、発症後24時間は再発しやすいと言われています。多くの病院では、仮に整復術で整復できたとしても発症後24時間は入院で経過観察をするところが多いと思われます。

手術をした場合は、一週間程度の入院が必要になります。

最後に

腸重積の診断は、慣れた医師であれば比較的容易ですが、それでも症状がなかなかそろわないもの、わかりづらいものもあります。特に0歳くらいの赤ちゃんは主訴がなかなか分からずぐったりしてから病院にあわてて受診しなければいけないことも想定されます。いつもと違う泣き方をしている、不機嫌で泣き止まない、嘔吐が続く、などという場合には、受診を我慢せず一度は早めに小児科の診察を受けるべきだと考えられます。

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