日本脳炎と、日本脳炎ワクチンについて

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今回は、日本脳炎とそのワクチンについて、まとめてみようと思います。

日本脳炎とは

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスの感染により発症する病気で、日本全国に生息するコガタアカイエカという種類の蚊を介して感染が広がります。感染者の血液を吸った蚊が、次に血を吸う際にウイルスが侵入させ、脳などの中枢神経に感染しやすく、突然の高熱、頭痛、嘔吐などの症状で発病します。一旦発症すると特効薬はなく、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こし、高率に後遺症を残したり、場合によっては死に至ることもあります。

日本脳炎ウイルスは1935年に患者から分離され発見されたウイルスですが、「日本」脳炎と呼ばれてはいるものの、東・東南アジアで患者が発生しています。日本では1960年代には年間2000人程度の患者が発生していましたが、近年は年間10人未満の報告にとどまっています。

感染しても無症状で終わる場合が圧倒的に多いと言われており、実際発症する人は少なく、1000人に1人程度と言われています。ただし、一度発症すると対症療法で軽快するのを待つしかなく、特効薬はありません。致死率は20-40%にも上り、後遺症を残す確率も、45-70%と非常に高いと言われています。

症状は一般的な脳炎と同じで、数日から十数日の潜伏期間の後、高熱で発症し、頭痛悪心嘔吐とともに意識障害や痙攣、麻痺といった中枢神経症状が多彩に現れます。確定診断は、抗体価を測定するか、髄液などの検体から直接ウイルスを分離する方法もありますが、確実ではありません。

                     (国立感染症研究所HPより)

日本脳炎ワクチンについて

一旦発症すればほとんど打つ手がない感染症であることから、ワクチン接種が推奨されてきました。

日本脳炎ワクチンの歴史

日本脳炎ワクチンの開発は1955年から日本で行われてきました。当初、感染マウスの脳を溶かした上澄み液を、ウイルスを不活化したうえで精製するという方法が取られていたようですが、マウスに対するアレルギー反応が出ることが懸念されていました。1990年代からは、安全な培養細胞を使った精製方法の研究が盛んに行われていましたが、実用化には至っていませんでした。2004年にマウス脳由来のワクチン接種後に中学生が急性散在性脳脊髄炎(ADEM)という病気(脳脊髄の炎症で脳炎の一種)を発症し、日本脳炎ワクチンの接種との関連性が否定できなかったことから、2005年から国の方針で一旦すべての日本脳炎ワクチンの積極的な接種推奨が取りやめられました。(少し前の子宮頸がんワクチンと同じ状態です)

以降は、自治体でも日本脳炎ワクチンの接種に非常に消極的になったこともあり、日本脳炎ウイルスに対する抗体保有率も。80%から20%に大きく落ち込みました。その後2009年に、培養細胞を用いた新型日本脳炎ワクチンが開発・承認され、2011年にも同様の新製品が承認され、現在日本では二種の日本脳炎ワクチンが流通しています。

ADEMがマウス脳由来のワクチンによるものかどうかは、現在にいたっても不明のままです。実際、新型ワクチンが導入されてからもADEMの発症例はあったので(因果関係は証明されませんでした)、マウス脳由来のワクチンだけが悪者にされているような恰好ですが、ワクチンに関してはどうしても対応が大きくならざるをえない事情があり、何かがあったときには常にワクチンの関連の可能性を考慮し対応するのが慣例です。

日本脳炎ワクチンの接種スケジュール

2010年からは再び新型ワクチンによる日本脳炎ワクチンの定期接種が再開されています。現在使われているワクチンは有効性が非常に高く、75~90%の効果があると

1期接種:初回接種については3歳~4歳の期間に6~28日までの間隔をおいて2回、追加接種については2回目の接種を行ってから概ね1年を経過した時期に1回の接種を行います。

2期接種:9歳~10歳までの期間に1回の接種を行います。

日本脳炎のワクチンが3歳以上で推奨されているのは、従来3歳未満ではあまり日本脳炎に罹患しないと考えられてきたからです。ところが近年の日本での発症者を見ると、0歳台から3歳未満での発症もあることから、日本小児科学会では、特定に地域では3歳までまたず、生後6か月以上からの接種を推奨しています。特定の地域とは、患者が出た流行地域とされる場所、あるいは日本脳炎の保菌者と言われているブタから日本脳炎ウイルスの抗体検出率が高い地域(=付近に日本脳炎ウイルスが存在していることを示唆)とされています。(日本小児科学会HP)ちなみにワクチンの接種量は3歳未満が0.25ml、3歳以上で0.5mlと異なりますが、抗体の付き方には差がないことが分かっています。

日本では、特に西日本以南での発症が多く見られていたことから、北海道は接種対象外地域に指定していましたが、近年温暖化により北海道でもコガタアカイエカの生息が確認されるようになり、平成28年から北海道も対象となりました。

特例措置対象について

積極的接種が控えられていた時期に、接種できていなかった人に対しては、特例措置が取られています。

・平成7年4月2日~平成19年4月1日生まれで20歳になる1日前までの人
・平成19年4月2日~平成21年10月1日

上記の方に対しては、特例として国が費用を負担してワクチンを打つことができます。(回数や間隔など詳しくは市町村にお尋ねください。)

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