地方都市の感染症指定病院の現状⑤

sponsor’s link

月に1回程度、病院の現状を医師の立場から発信しています。今回は5回目です。

外来の様子

夏の間閑古鳥が鳴いていた外来ですが、内科はほぼ通常通りといっていいと思われます。発熱者は当院では発熱外来に回されますが、それ以外にも定期受診の患者さんも多くなっています。

小児科はまだ例年のこの時期に比べたら少ないです。発熱者はそこそこ来ますが、新型コロナ感染症を疑う患者さんはほとんど来ていません。正確に言えば、臨床症状では通常の風邪と変わりないので見分けがつきませんが、子供発症でのコロナはまだそんなに居ないと思われるため、家庭内感染を疑わない限りは、PCR検査まで回ることもありません。高熱性疾患もほとんどいないため、インフルエンザの検査もまだ今年度はほとんど行っていません。また、保健所経由で子供の濃厚接触者の検査も行いますが、無症状でほとんど広がっていることはありません。

頭痛や腹痛、不定愁訴、起立性調節障害などで不登校になる子供はやはり増えている印象で、社会情勢を反映しているのかなと思います。

保育園で流行しているような疾患もないですし、たまに風邪っぽい子や軽い非定型肺炎などでの病児保育の利用はありますが、満室になることはありません。冬季になり風邪のシーズン真っ只中であることを考えると、例年より感染症自体がかなり少ないのは今も変わっていません。体調が悪かったら早めに学校をやすんで療養するので、こじらせる子も少ない印象があります。

発熱外来の様子

発熱外来は、ニュースでコロナ患者数が増えている、という報道がされだすとそれに呼応するように急増します。ただし、コロナPCR陽性者はまだ当地ではほとんどおらず、一週間に何十人か発熱者を検査をして、1人ひっかかるかどうかというところです。

報道でコロナ増えてる→え、じゃあこれもしかしてコロナかも→一応受診 という、不安からの受診者が増えている印象です。施設からの紹介者も同様です。大統領選挙や鬼滅ブームについて連日報道されている頃は非常に落ち着いていました。症状があっても自宅で様子を見れていたのだろうと思います。

病棟の様子

この季節はいつもそうですが、今も病院の一般病床はほぼ満床。仮にですが、これで急にコロナ病床を増やせと言われても到底無理です。

検査も手術もコロナ対策をしながらめいっぱいしています。健診も例年通り行っています。春にできなかった人が訪れている印象です。色々な対策はこの半年間で進んだので、ノウハウも蓄積され対策しながらの業務にも慣れましたが、人員はカツカツでずっと休みも好きなときに取れず、みんな疲弊しています。

コロナ専用病床は4月以降ずっと満床のままで、1人が退院してもその日にまた新規患者さんが入院する、ということがずっと続いています。

物品はそれなりに確保できていますが、価格は高騰しており、病院の資金繰りは悪化しているようです。ボーナスは満額は出ないとのこと。国の医療従事者への支援金はいまだに届いていません。収入の減った人は困っていると思います。

周囲の様子

ここ1か月で大きく変わってきたことといえば、周りの医療従事者にコロナ感染がちらほら出だした、ということです。

第一波第二波のときには、医局内や病院内の医師や看護師にはほとんどコロナ陽性者は出ていませんでしたが、今になって急に、知り合いにも出だして、クラスターにもなっています。そのクラスターも、感染経路が1つではなく複数あるということが出てきて、もはや市中感染が完全に広がっているものと思われます。クラスターの出た病院は完全に機能不全です。

うちの病院でも職員の患者こそ出ていませんが、常に医師も看護師もカツカツなので、1人感染者がでたらえらいことになるので戦々恐々です。プライベートの会食等も半年間ずっと禁止されています。

そんななか、ひとつ不思議なのは、周りの小児科医は1人も感染者がいないこと。

小児科こそ、日々発熱外来をしているようなもんだし、相手もマスクしておらず、ギャン泣きで飛沫を飛ばしまくっていますが。

考えられる理由はふたつ。

①そもそも子供の発熱者にコロナがいない。

やはり子供のコロナ患者さんは家庭内感染が主であり、外来に飛び込みでくることは少ないのでは、と考えます。風邪症状の子どもたちは、圧倒的に「ただの風邪」が多いと思われます。

②小児科医の免疫力が高い

もしも通常のコロナウイルスとの交差免疫が存在するのであれば、小児科医のコロナに対する耐性は高い可能性があります。ただし、交差免疫があるかどうかはまだ全く不明。

はじめからコロナを想定して防護具をきちんと身に着けている科と、無症状で他のことを主訴に受診して、後でコロナを発症するというリスクがある外科系の科との、対応の差もあるかもしれません。通常はどの科でも患者さんと相見えるときにはアイシールドやゴーグル着用が義務付けられており、マスクも付けているはずですが、科によってはおろそかになる部分はあるかもしれません。

こんな感じのまま、本格的な冬シーズンに突入していきそうです。

関連記事;
地方都市の感染症指定病院の現状①
地方都市の感染症指定病院の現状②
地方都市の感染症指定病院の現状③
地方都市の感染症指定病院の現状④

sponsor’s link

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする