現在開発中の新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス薬について

sponsor’s link

2020年6月現在の新型コロナウイルス感染症の治療薬についてのまとめです。

新型コロナウイルス感染症の治療薬は、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬と、重症肺炎やサイトカインストームに対する治療薬とがありますが、今回は抗ウイルス作用のある薬について、現在分かっていることをまとめます。(適時更新の予定)

抗ウイルス作用が期待されているもの

ベクルリー(レムデシビル)ギリアド

レムデシビルはもともとエボラ出血熱の治療薬として開発されたお薬ですが、新型コロナウイルス感染症に転用できるのではないかと現在もっとも期待されているお薬のひとつです。アメリカのFDAが5月1日付で使用許可をだし、日本では5月7日に特例承認されました。

レムデシビルはウイルスの遺伝子の増幅を行う酵素の働きを阻害するもので、ウイルスの増殖を防ぐ目的で使用されます。アメリカで合計3つの第三相試験が行われ、中等症から重症までの回復を30%程度早めた、という結果でした。現在までの解析では、死亡率には統計学的有意差は認めていないという結果です。

基本的には人工呼吸器や人工心肺での治療を要するような重症患者に限っての使用に制限されています。

アビガン(ファビピラビル)フジフィルム

こちらも有名ですが、もともと新型・再興インフルエンザウイルスに対する治療薬として開発され、備蓄されているものです。レムデシビルと同じく、コロナウイルスの増殖を防ぐ効果を期待されるため、早期の投与が有効ではないかと言われています。日本のフジフィルムの開発とあって、日本での臨床試験が第二相まで進んでいますが、まだはっきりと効果があることは報告されていません。

内服剤であり比較的軽症者にも使えるのは大きなメリットと考えられます。ただし、問題点としては催奇形性があり妊婦に使用できないことが挙げられます。

オルベスコ(シクレゾニド)帝人ファーマ

喘息の治療薬として以前から使われていますが、はっきりした機序はまだ分かっていませんが、強い抗ウイルス作用があることも取りざたされている吸入薬です。ダイアモンドプリンセス号での感染患者に使われ、良好な経過であったことから、一気に全国で処方され、一時は手に入りにくくなるほどでした。

どのような機序でコロナウイルスに対して効果があるのかはまだあまりよく分かっていません。吸入薬であり、副作用も少ないことから、軽症者でも初期から使いやすいお薬です。

フサン(ナファモスタット)日医工

フオイパン(カモスタット)小野薬品

フサンやフオイパンはもともと、消化液のひとつであるたんぱく分解酵素の阻害薬として、急性膵炎などで使われてきたお薬です。新型コロナウイルス感染症に対しては、ウイルスが細胞へ侵入する経路を阻害するということで、効果が期待されています。急性膵炎の場合は点滴で用いられるお薬ですが、現在新型コロナウイルス感染症に対しては、吸入薬の開発がすすめられているところです。

ストロメクトール(イベルメクチン)MSD

ストロメクチンは、皮膚のダニ感染症である疥癬や、腸管の寄生虫の一種である線虫を駆除する治療薬です。こちらも、ウイルスの増殖を防ぐ可能性があるということで、日本で治験が行われています。

治験が中止されたもの

一方で、一時治療薬の候補としてあげられたものの、結局思わしい効果が得られなかったとして候補から取り下げられたものもあります。

抗HIV薬であるカレトラ(ロピナビル)と、抗マラリア薬のクロロキンおよびヒドロキシクロロキンは、臨床試験の中間報告で結果が思わしくなかったためにすでに臨床試験が中止されています。

まだまだ新しい薬剤の候補が出てくる可能性や、一旦中止となった薬剤の臨床試験がまた復活することも考えられますが、現時点では以上のような状況です。