COVID-19の微小血栓について

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は肺炎を起こすウイルスとして知られていましたが、最近になって血栓症を起こす可能性が指摘されるようになりました。アメリカでは、治療抵抗性の血栓症が直接の死因となった症例が20~40%に至るとしたデータもでています。コロナウイルスで問題になる血栓症とは一体どのようなものでしょうか?

そもそも血栓症とは?

血の中には、様々な血球(白血球、血小板など)や、凝固因子など、たくさんの物質が存在しています。血管に何らかの刺激が加わると、この凝固因子が活性化したり、血小板が凝集したりするようになり、血管の中に血の塊を作ります。血管が太い部分では微小な血栓があっても問題にはなりませんが、細い血管に流れていくと、それ以降の血流が途絶えてしまい、その先の組織が腐って(壊死)してしまいます。例えば、心臓の血管に血栓が詰まってしまうと心筋梗塞になりますし、脳であれば脳梗塞になります。さらに、比較的大きいサイズの血栓が肺の血管に詰まってしまうと肺塞栓になります。

動脈塞栓症と静脈塞栓症

塞栓症には動脈で起こる動脈塞栓症と、静脈で起こる静脈塞栓症があります。

動脈塞栓症は、流れの早い動脈で起こる血栓症で、動脈内で血小板が活性化されやすいことから、血小板が主になって起こる血栓症と言われています。脳梗塞のリスクが高い患者に使われるアスピリンなどは抗血小板薬といって、血小板の働きを弱めることで、血栓のリスクを下げることができます。

静脈塞栓症は、比較的流れの緩やかな静脈で起こる血栓症で、エコノミークラス症候群が最も代表的なものです。エコノミークラス症候群では、長い間同じ体勢で静脈のうっ滞(流れが滞ること)が起こっている部分に、凝固因子が主な成分となった血栓が形成され、それが肺の血管に飛ばされて血管を詰まらせます(肺塞栓)。

コロナの血栓症

コロナウイルス感染症では、Corona Toe (Toe;つま先)と呼ばれるような、独特の末梢血栓を思わせる皮疹やしもやけ症状が出ることも指摘されています。また、自宅待機の方が突然死したり、町中で突然倒れて搬送されるような映像も報道されましたが、これらはおそらく血栓症によるものではないかとも考えられます。肺炎では突然死は起こらないからです。

「子供では川崎病様症状にも注意」は本当?

小児のCOVID-19症例はそもそも少ないですが、海外ではCOVID-19の小児患者に、川崎病様の症状が現れたという報告もあります。川崎病は全身の血管の炎症を来す病気で、血管炎を経て心臓などに血栓を作ることがあり、特別な治療を要します。全身の血管炎ということで、発熱の他に結膜の充血や唇の炎症、手足の指先のむくみや発赤、発疹、そして適切な治療が行われないと、心臓の冠動脈に瘤を作り若年性の心筋梗塞を起こすことがあります。

ところが、5/8に日本川崎病学会から声明が出たところによると、日本ではこのCOVID-19流行時に川崎病の有意な増加はないこと、海外のような重症化の兆しもないということで、少なくとも日本の子供に関してはあまり恐れることもないと思われます。韓国でも小児の発熱者には川崎病が疑わしくても全例COVID-19の検査が行われているようですが、合併例は1例もないようです。

少なくともアジア人種においては、現時点では過度に恐れる必要がないということです。コロナを恐れるあまりに適切が治療が行えなくなるのが一番の問題なので、最新情報をアップデートし続けつつ、情報に惑わされることがないように、慎重に判断していきたいです。

まだまだ分からないことがたくさんあるコロナウイルス感染症ですが、これからいろいろ解明され、治療法が確立されることを切に願います。

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