新型コロナウイルスの検査について【PCRと抗体検査の違い】

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今回はコロナウイルスの検査について、一般にも分かりやすく解説します。

PCR法ってなに?

現在、新型コロナウイルス感染症の診断にはPCR法という方法が取られています。PCRは、Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応) という言葉の頭文字を取ったもので、ごく微量の遺伝子配列を、短時間で増幅させ、検出する技術のことです。ポリメラーゼとは、遺伝子をコピーする酵素の名前です。

ウイルスなど微生物のもつ遺伝子情報はとても微細で、咽頭ぬぐい液などの検体の中にウイルスが存在したとしても、そのままでは検出することができません。そこで、なんらかの方法で増幅してやることが必要になります。そこで、PCRの技術が必要になります。

PCR法では、検出したい遺伝子配列の部分を選出し、ポリメラーゼを使ってその部分の遺伝子をコピーさせ、コピーして増やした遺伝子鎖もさらにコピーを繰り返していくことで、2、4、8、16・・・というように指数関数的に遺伝子を増幅させていくことが出来ます。この、増幅させる、という工程に、数時間かかります。

特定のウイルスなどに対して、そのウイルスしか持っていない(=特異的)な遺伝子配列を探し出し、それをPCRにより検出感度を上回るところまで増やして、その後は増幅した遺伝子を可視化できるような試薬と結合させて検出します。

PCR法の限界

ただし、PCR法にも限界があります。まず、ポリメラーゼという酵素を使って増副反応を促しますが、酵素反応は温度など環境の変化によってとても影響を受けやすく、少しでも条件が狂うと正確な検査ができなくなることがあります。また、ポリメラーゼ反応はどうしても時間がたつにつれて反応が鈍くなっていくため、うまく検出できない、いわゆる「偽陰性」ということも発生しやすくなります。

検体の限界もあります。PCR法を行うために、コロナウイルスがたくさん存在すると言われる鼻腔から検体を採りますが、とったところにたまたまウイルスがあまりいないこともあります。鼻を通って検査の棒を挿入する際に、出口に近い部分に鼻汁がたまっていたりすると、本当に採りたい鼻咽頭の表面の検体が採れないこともあります。よく、PCR法○回目でやっと陽性に…といったニュースを目にしますが、もともと偽陰性率が高い検査なので、さもありなん、という印象です。

PCR法の意義

上記のような限界もありますが、PCR法による陽性は、「そこにウイルスがいる」という絶対的な証拠になります。もちろん、同じ遺伝子配列をもつ他の種類のウイルスがそこに偶然いたら偽陽性もありえますが、その確率は低いです。

抗体検査とは?

PCR検査に対して、抗体検査というものがあります。これは、ウイルスに感染したときに体で作られる抗体を検出する方法で、血液の検査になります。これは、その場にウイルスがいることを証明するものではなく、「ウイルスに対して体が反応した」ということを証明する検査です。

1回の検査である程度感染状況を推察することも可能ですが、本来は感染初期とそれから3-4週間後の2回の検査で、IgMとIgGの推移を見て判断する検査でもあります。さらに、通常抗体検査は結果が出るまでに1週間ほど時間がかかります。

抗体反応のしくみ

ウイルスに感染して、体の免疫細胞がそれを感知すると、さまざまな反応が起こります。まずはその場で、異物を処理するような食細胞がやってきてウイルスを取りこみます。そして一部の食細胞は、その取りこんだウイルスの破片を他の免疫細胞に提示し、「これに気を付けろ!」と体中に指示が行きわたるようになります。そうこうしているうちに、「抗体」という飛び道具を使う免疫細胞が出てきます。

この抗体には数種類ありますが、まず初期に出てくるのがIgMという抗体です。これは、感染後約1週間以降で出てきて、おおよそ1か月くらいで無くなってくると言われています。

そして、IgMが減衰してくる頃から数か月、ウイルスによっては数十年に渡って作られるのが、IgGという抗体です。

抗体検査をするときは、IgMとIgG両方を見ないと、感染の状況を把握することができません。また、人によってそれぞれの抗体が検出される時期にずれがあること、さらに、感染の仕方によってはそれほど抗体があがらないこともあったりと、結果の判読も難しい検査でもあります。

抗体検査の意義

抗体検査の意義は、「その疾患に対して免疫力をもっているか」ということが判別できることです。例えば、生涯免疫を獲得すると言われている麻疹や風疹などは、抗体検査が陽性であれば、もうかかることはありません。

ところが、インフルエンザウイルスやコロナウイルスのように、変異しやすく流行の型が変わってしまうウイルスに関しては、抗体検査の有用性は不透明です。コロナウイルス全般に対しての抗体は見ることができても、新型コロナウイルスだけに対する抗体だけを見ることは困難ですし(そこはこれからの開発に期待です)、仮に抗体が上がっていたとしても、次回かからないかというと、その保証はありません。

抗体検査の本当の意義は、大きな集団の中で、どれだけの人が感染したか(あくまで過去形)、という疫学研究にあります。大規模な人数をサンプリングして流行の動向を見る、ということに意義がありますが、リアルタイムでの感染を見る検査ではないため、直接治療につながるものではありません。そのため個人個人の病気の予防や安心につながるものではあまりないと思います。今の新型コロナウイルス対策にあっては、最前線で働く医療従事者などの抗体保有率などを見ることには意義があるかと思います。

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