【2月12日最新】新型コロナウイルス肺炎の状況について

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2019年末から少しずつ広がってきた新型コロナウイルスですが、この2か月で分かってきたことをまとめます。

現在の状況

2月12日の最新の報道では、中国本土での感染者が4万4千人、死者は1100人超となっています。日々増え続ける患者数ですが、それでも少しずつ増加のスピードは緩やかになってきています。

一方、日本での感染者数は200人ほど。それも、クルーズ船の乗員が多数を占めます。

現在検査対象者が、

①14日以内に湖北省への渡航歴があり、発熱と呼吸器症状がある人
②14日以内に湖北省への渡航歴があり、発熱と呼吸器症状がある人と接触した人

という条件で制限されているため、やみくもに検査ができない状態です。
現時点では、検査を行う際には、インフルエンザなど他の疾患を確実に除外し、保健所の許可を経て、検体を採取することになっています。
逆に言えば、それほど検査のキャパシティーがないため、莫大な数の検体は処理しきれない、ということになります。

そして、検査で確定診断を受けた場合は、都道府県内に数か所設置されている、感染症に特化した設備をもつ病院で収容し、治療を行っていくこととなります。

また、武漢市でのコロナウイルス発見当初は肺炎を起こす率が高く、比較的重症の割合が高かったと思われますが、現在すでに何等かの変異が起こり、より上気道よりに感染を起こし、くしゃみや咳・鼻水での飛沫感染の力が強くなった、と見ている専門家もいます。

ウイルスの目的は増殖することなので、比較的軽症で動き回って飛沫をまき散らす、という方向に今後も変異していくと思われます。(参照記事;ウイルスの戦略

新型コロナウイルス感染症の致死率

武漢と湖北省を含む中国での致死率は2~4%程度と言われていますが、中国全土に広げるとおおよそ0.2%程度になります。おそらく武漢には分かっていないだけで、予想を超えるほどの軽症患者が存在していると考えられ、きちんと患者数を把握できれば、致死率はもっと下がっていくものと考えられます。また、中国では武漢市など感染の震源地では医療資源が圧倒的に不足しており、適切な治療が受けられなかったり、そもそも病院にすらたどり着けない人もいて、そうした状況がますます致死率を高めていると考えられます。

SARSの致死率が9.6%、MARSにいたっては30%以上、そしてエボラ出血熱は50%にも上ります。一般的なインフルエンザの致死率は0.1%程度とも併せて考えると、それほど重篤な病気でないことが想像できるでしょうか。

クルーズ船の乗客の中で重症者が出ているとのニュースがありますが、おそらくクルーズ船は閉鎖空間となり体内に取り込まれたウイルスの量も多くなり、また診断まで時間がかかり治療開始が遅れたことなどにより重症化への条件が揃いやすかったのではないかと思われます。

新興感染症は従来より、発生当初は重症患者から診断されていくため、重症化率が見かけ上高くなってしまう傾向があります。また、今回のことに関しては、20年前よりも診断技術が向上しており、比較的効率よく検査ができるようになってきていること、またCTなどの画像診断技術が向上しているために、通常なら見落としてもさほど問題にならない肺炎も検出されていることも、患者数激増の原因になっているのではないかと考えます。

今後、軽症者も含めて感染者が増えていくにつれて、まだまだ分かってくることがあると思われます。

子供では重症化しない?

新型コロナウイルス肺炎での死者のうちほとんどが60歳以上の高齢者であり、また糖尿病などの基礎疾患をもっていたということが分かっています。また、不思議なことに子供への感染例は極端に少なく、まだ情報があまりありません。

おそらく、国境を超えて移動するのは大人なので、子供への感染拡大はこれからなのかもしれませんが、武漢においても小児の重症例はほとんど報告されていませんので、子供は他のコロナウイルス感染の既往により交叉的に耐性を持っているのか、それとも他の要因が関連しているのかはよく分かっていません。

新型コロナウイルスへの感染対策

コロナウイルスへの感染対策は、基本的には飛沫感染対策で十分であると言われています。つまり、ウイルスに感染している人の咳やくしゃみによって、痰やつばが飛沫になって付着する。そして、それがさらに他の人の手に付き、手洗いやうがいをしないままでいると目の粘膜や口から体内に入ってしまうというわけです。そして体内に入り、感染が成立しても、体内にいるウイルス量によって症状が出てくるまでには多少差が出てしまい、数日から約2週間と言われているために、油断はできません。また、中国本土では発症後1か月近く経つまでは、隔離が必要とされています。

飛沫感染対策としては、 マスク不足で困っている人が多いと思われますが、それよりも大事なのが ひとえにうがいと手洗いです。感染者のしぶきが直接口に入ることはよほど親しくない限りは少ないと考えられるため、適切にマスクを着用し、それだけではなく手を洗って、喉をしっかり潤しておくことが重要です。潤った喉はIgAという免疫物質でコーティングされるので、感染のリスクを低下させることができます。

一方、医療従事者だったり家族は濃厚接触者という位置づけになりますが、この場合は、エアロゾルという状態でウイルスが細かな水蒸気に乗って移動することがあり、空気感染に準じた対応をしておく方が安心な場合もあります。

新型コロナウイルスの治療薬とワクチン

コロナウイルスはRNAウイルスの一種で、同じRNAウイルスであるエイズウイルスの治療薬が実験的に使用される場合があるようです。しかし、現時点ではまだ特効薬と言われるほどの効果はありません。コロナウイルスに対するお薬というよりは、肺炎に対する一般治療、呼吸循環動態を安定・維持させるための支持療法、そして細菌感染を伴ったときには抗生剤を使用したりすることがメインとなります。

先日日本でコロナウイルスが分離され、ワクチン開発への活路が開けましたが、ワクチンを開発するためには、少なくとも1年以上は時間がかかるようです。ワクチンを開発し、人間に使用する前に動物実験をしてからやっと臨床応用できる段階になるのでまだまだ道のりは遠いと言えます。

今後、我々はどうしていくべきなのか

SARSやMARSが蔓延したときから20年が経ったなかで格段に世界中の人の往来が激しくなっており、全世界でどのように感染が広まっていくのか、予想が付けられない段階になっています。

大切なのはパニックにならず、保健所や医療機関の指示に従い、適切な医療行動を起こすこと。「中国人とすれ違ったかもしれない」「咳をしている人が近くにいた」というだけでは受診の必要はありませんが、実際に同じような理由で受診される方は増えています。現状、そのような場合はコロナウイルスの検査を行うことはできませんし、診察でも見分けることは困難です。大切なのは、発熱や咳などの呼吸器症状がどんどん悪化していかないか、医療機関と連携して重症化の兆候を見逃さないようにすることです。そして仮に肺炎に進展してしまったとしても、多くの場合は、軽症の肺炎であり、通常診療では見落とすレベルのものも含まれています。適切な治療ができれば、恐れるに足りません。

現状、軽症コロナウイルス患者さんと、通常の風邪の患者さんとを一般診療で見分けることはできません。ただ、軽症コロナウイルス患者さんは、そもそも咳やくしゃみなどもそんなにするわけではないので、飛沫の量も少なく感染リスクとしては低いと考えていいと思います。(一部で言われるスーパースプレッダーに該当する可能性は否定できませんが、それもよく分かっていません)
上述したように、医療機関や人混みから帰ったあとには、手洗いとうがいを十分に行い、飛沫感染のリスクをなるべく減らしてください。そして、どうしても心配される方は、不要不急の人混みへの外出は極力控えるのが一番でしょう。ただし、この混乱がいつまで続くのかは予想できませんが。。。

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