お子さんが突然夜中に「足が痛い!」といって泣きだすことはありませんか?そんなとき、病院に行くべきなのか、朝まで様子を見ていいのか、分からなくなりますよね。このページでは、そんなときの対応について考えてみたいと思います。
具体的な症例
5歳男児。今まで大きな病気はしたことがない。日中は元気に活動しているが、夜になって、突然「足が痛い」といって起きるようになった。さすってあげると和らぐようで、そのまま入眠し、朝には痛かったことは覚えているが、もう痛くない、という。
診察時にも痛みなし。圧痛なし。
皮膚に変化なし、打撲痕や外傷なし。
レントゲンでも骨折所見なし。
関節部にも異常なし。
あまりに痛がる場合には、MRIなども選択される場合もありますが、稀です。
ここまで所見が陰性だった場合は、「いわゆる成長痛でしょうか」という診断になります。
成長痛ってなに?
主に夜間に急に発症する下肢の痛みで、たいていは受診時にはケロリとしていて、レントゲンやMRIなどの検査でも異常がない場合に診断されます。幼児から低学年の学童(特に男の子に多いという報告もあり)に多く見られます。
痛みが出る子もいれば出ない子もいて、よく「骨が伸びるときの痛みだ」とか、「骨が伸びるときに骨にくっついている腱がひっぱられて起こる痛みだ」などと言われることもありますが、実際にはよく分かっていません。
骨ってそんなに急に何センチも伸びるわけではないですし、骨が作られるときには基本的に痛みは感じません。背丈や腕も同じように伸びる中、足だけ、というのも合いませんよね。
成長痛の原因と対応法
器質的な痛みではないにせよ、子供が痛いのは事実です。
成長痛の原因は、 いわゆる「夜泣き」と同じように、ストレスを感じていたり、親に構ってほしい、という気持ちが強くある場合などに症状を訴えやすいと言われており、精神的な側面があることは否めないようです。 ただし、明らかなストレス源が指摘できない場合も多々ありますし、他のストレス性疾患同様、本人が自身でストレスと認識していないようなストレス源もあるかもしれません。
親としてしてやれることはただひとつ。「痛い」と言っているときに無下にせず、一緒に起きてさすってやるなど、優しく対応してあげることです。
救急受診をした方がいいのかも!と慌てることもあると思いますが、まずはしっかり皮膚の状態を見て、赤くなっていたり、明らかに腫れていたり、様子がおかしい場合以外は、一晩様子をみてもいいでしょう。
成長痛と間違いやすい病気
成長痛という診断の中に時折、「骨端軟骨障害」というものが含まれているとも言われています。
骨端軟骨とは、骨が伸びるまさにその現場で、骨端の軟骨が少しずつ固い骨に置き換わることで骨が伸びていきますが、この軟骨部はとてももろく傷つきやすいのも特徴です。そして、無理な力がかかって炎症を起こすと、痛みが出てしまいます。炎症は比較的軽微で、一晩安静にすると治ってしまう場合も多いので、成長痛として片づけられてしまうこともあります。
ただ、炎症が頻回になると、骨の成長にも支障がでることがあるので、注意が必要です。