子供のピロリ菌感染について

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ピロリ菌というものをご存じですか?ピロリ菌は大人だけでなく、子供にも感染し、影響を及ぼします。今回はこのピロリ菌について、解説いたします。

ピロリ菌ってなに?

ピロリ菌とは、正式には Helicobacter pylori というバクテリアの一種です。細長い体に、鞭毛という長いしっぽを持ち、この鞭毛を素早く回転させて高速で移動します。ピロリ菌は胃酸を中和する性質をもち、通常は殺菌作用のある強酸性の胃の中でも生きながらえることができます。

ピロリ菌に感染するとどんなことが起こる?

ピロリ菌が胃の中に存在すると、持続感染を起こして胃は慢性的な炎症が起こります。通常、腹痛などといった症状が出ることは少なく、ゆっくりと炎症が続いていきます。胃に炎症が起こると「胃炎」という状態になり、胃の粘膜がただれたり、びらんを起こしたりしますが、ピロリ菌による胃炎は急性の胃炎とは違い、慢性的・持続的に、ゆっくりと進行します。

最終的には炎症が続いたために慢性胃炎という焼け野原状態になりますが、それまでにも、ときには急性胃炎と同じような胃炎・十二指腸炎の症状がでたり、ときには粘膜がえぐれて潰瘍を起こしたり、ひどい場合には潰瘍から穴があき、穿孔を来したりすることもあります。

また、ピロリ菌は胃癌と不快関連があることも近年わかってきており、胃がんの99%はピロリ菌が原因であるとも言われています。

その他、血小板減少性紫斑病や貧血などとの関連も指摘されています。

ピロリ菌の感染経路は?

ピロリ菌は、子供にも感染します。中学生の感染率は10%前後、そして、年代を減るごとに感染率が上がっていき、40代で40%、60代では60%以上に上ると言われています。

感染経路は経口感染です。初感染は小児期で、だいたい5歳くらいまでに感染を起こすことが多いと言われています。それ以降は、免疫機構も整ってくるので、感染の危険性は徐々に減ってきます。ピロリ菌は唾液や便などに含まれており、ピロリ菌に感染した人の唾液を摂取することで感染します。口移しはもちろんですが大人と同じお箸で食べた子供にも感染する危険性があります。

ピロリ菌の感染の検査はどんなもの?

ピロリ菌の抗原を検出するいくつかの検査があります。

便や尿に排出されるピロリ菌を検出する方法、または、ピロリ菌が産生する抗酸物質を吐息で検出する方法、血液検査で抗体を測定する方法、胃カメラをして胃の粘膜を直接観察し、一部を取って培養する方法など、様々な検査があります。ただし、一般の医院で行うことは保険上難しく、保険適応を受けようと思えば、基本的には胃カメラを受けて慢性胃炎があるという診断を受ける必要があります。

現在日本では自治体によっては、中学生でのピロリ菌の集団検診を行っているところもあります。

ピロリ菌の治療は?

ピロリ菌が検出され、胃炎の状態が確認された場合は、除菌が推奨されます。除菌はいくつかの抗生剤を組み合わせて行います。治療自体は簡単ですが、1クール内服後にも除菌されない場合もあり、その場合は治療期間が延長されます。

ただし、2019年現在では、子供のピロリ菌感染に対する治療には保険が適応されず、やるとしても自費での治療になります。理由は、小さい子供であれば、再感染の可能性があるから、そして小児治療の治験や治療の経験がないから、です。

ピロリ菌の感染を防ぐために

子供をピロリ菌の脅威から守るためには、現在のところ大人からの感染を防ぐ以外にはありません。口移しやお箸の共用は避け、他の感染症同様、手洗いうがいの励行、そして、現代ではあまり一般的ではないかもしれませんが、井戸水などの飲用も控える必要があります。また、大人の感染者がはっきりしていれば、除菌が勧められます。家族に感染者がいると、その家族内にもまだ感染者がいる可能性が高いので、少しでも症状に心当たりがあれば、検査をしてみることをお勧めいたします。

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