化膿性股関節炎について

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乳児や幼児にみられる、化膿性股関節炎という病気をご存じでしょうか?化膿性股関節炎の原因や症状、治療法について解説します。

化膿性股関節炎ってどんな病気?

化膿性股関節炎とは、股関節の部分に細菌感染を起こし、化膿してしまう病気です。実は股関節だけでなく、膝関節など、体のどこの関節にも化膿性関節炎を起こしますが、頻度は股関節が一番多くなっています。

股関節に細菌が侵入するためには、血流に乗っていくしかありません。そのため、化膿性股関節炎の子供は必ず菌血症(=血液の中に細菌が感染している状況)が存在すると言われています。
菌血症がある場合には、全身に菌が回っているので、他の関節炎や、髄膜炎、心内膜炎などの重症感染症を合併している場合もあります。

化膿性股関節炎の原因となる菌で最も多いのはH.influenzae、つまり、インフルエンザ菌です。

免疫機能が未熟な乳幼児に多い病気ですが、大人でも糖尿病や免疫不全が基礎疾患として存在していたり、関節液を抜く関節穿刺という処置をした際に細菌が侵入しても、同様のことが起こりやすくなります。

そして、乳幼児の場合は特に、関節近くの骨に、成長していくための軟骨などが存在しているため、感染によりこの部分に障害が起きれば、その後の成長にも影響し、脚長差が出たり、成長障害、歩行障害が出たりする後遺症が残ることがあり注意です。

化膿性股関節炎の症状

  • 発熱 
  • 局所の疼痛
  • 関節部の腫れや発赤
  • 全身症状

発熱

全身感染症なので、当然熱がでることが多いですが、乳幼児の場合、熱がはっきり出ていなくても化膿性股関節炎を起こしていた、という症例報告もあります。あくまで関節だけで炎症がとどまっていれば(菌血症は潜在的であれば)、発熱が目立たないこともあるので注意です。

局所の疼痛

当然ある程度大きな子であれば、股関節などが痛いと言えるのですが、乳幼児の場合は、不機嫌でしか表現することができない時期もあります。おむつ替えを嫌がったり、ハイハイやたっちをしなかったりといった症状から発見されることも度々あります。不機嫌の原因が股関節とはなかなか気づかないままでいると、診断の遅れにつながることもあります。

関節部の腫れや発赤

炎症が強い場合には、外から見ても分かるくらいに赤く腫れたり、熱をもったりすることもありますが、あくまで深い関節内の炎症なので、外側から見ても全然わからない場合もあります。実際には、エコーで関節内液の左右差がないか、またはレントゲン、MRIなどの画像検査で診断がつく場合もあります。

全身症状

先にも述べたように、股関節炎と言えど、全身の菌血症がベースにあります。髄膜炎を併発していたりすることもあり、全身状態はあまりよくありません。発熱だけでなく不機嫌だったりぐったりしていたり、心拍数や呼吸数などにも変化がでます。

化膿性股関節炎の診断と治療

化膿性股関節炎を疑ったら、関節内の液を注射器で取ってきて行う、「関節穿刺」を行う必要があります。エコーで関節を映し出し、炎症がある部位に、体の表面から長い針を刺して、関節液を取ってきます。関節液は通常無菌の黄色透明な液ですが、感染があると黄色っぽく濁ります。この液の中に存在する菌の種類によって、抗菌薬を決定します。関節液は培養検査に出して、薬剤の感受性などを調べる必要があります。

この関節穿刺の診断を怠ると、感染を起こした菌が何なのかが分からず、治療期間や投薬に迷うことになります。化膿性股関節炎の場合は、菌の種類によって、2週間から長くて1か月くらい抗菌薬投与が必要な場合もあり、菌が分からなかった場合は、抗菌薬が効かなかった場合には治療の泥沼にはまる危険性もあります。そのため、必ず整形外科がいる病院で治療する必要があります。

また、治療はなるべく早期の抗菌薬開始が必要ですが、関節の破壊を最小限に食い止めるために、緊急手術での洗浄も必要になります。数時間でも関節の予後に大きく関わってくるので、整形外科の疾患の中で、夜中でも招集が必要な病気のひとつです。

鑑別が必要な病気

単純性股関節炎

同じように股関節を痛がる病気としてもっともありふれているのが、「単純性股関節炎」です。これは、原因不明と言われていますが、風邪などの軽い感染のあと1週間から10日ほどしてから起こることもあります。時に歩けなくなるほど痛くなることもありますが、一般的には発熱もなく、全身状態は良好です。感冒のあとに起こるタイプのものは、自己免疫が関連していると言われています。

通常は痛みは1週間ほどで完治、5日以内には歩行も可能になります。

ペルテス病

大腿骨の骨頭部分の血流が悪くなり、関節の成長障害と関節破壊を起こす病気です。原因不明です。大人で起こる大腿骨頭壊死という病気と似ていますが、子供の場合は、適切に免荷などの処置をすれば、骨頭の破壊は免れ、後遺症なく成長していくことも可能な疾患です。

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