自分の備忘録のために書いています。
Ⅰ型アレルギー
Ⅰ型アレルギーはIgEを介して起こるアレルギー反応です。
まず体にアレルゲンなどの異物が侵入すると、皮膚の上皮細胞から直接警告を告げる物質(アラーミン;IL-1β、TSLP、IL-25、IL-33、ATP、GM-CSF、尿酸など)が放出され、同時に枝のような突起をもった樹状細胞が抗原をキャッチし、その情報をTh2細胞が受容します。Th2細胞はインターロイキン4や13(IL-4、13)という物質を放出し、B細胞がIgE産生細胞に分化し、IgEがたくさんつくられるようになります。
IgEは通常アレルギー反応に直接関与する肥満細胞や好塩基球という細胞の表面に発現しているFcεRにくっつていますが、FcεRにくっついているIgEにアレルゲンがさらにくっつくと、FcεRが凝集して脱顆粒を起こし、ヒスタミンが放出されます。また、この刺激をうけてPG、TBx、LT、PAFなども生産され、体の各部位でアレルギー症状を起こします。
抗原を感知してから発症までは5分から20分程度で、即時型反応と呼ばれます。
IgEの分子量は190000、胎盤は通過しません。また、半減期は3-4日程度と短いです。
近年、Th2細胞が誘導される以前に反応する、ILC(自然リンパ球)というものが発見され注目されています。特にⅠ型アレルギーにおいては、ILC2(2型リンパ球)はIL-5やIL-13をTh2よりも大量に放出することが分かっており、さらにIL-4も放出し、自分も活性化しつつTh2をも活性化します。IL-5は後に出てくる好酸球も活性化し、IL-13は分泌物産生を促し、抗原提示細胞の遊走も促します。このようにILC2はアレルギー反応のはじまりにとても重要な役割を果たしており、これをいかに制御するかが、アレルギーを抑える肝になります。
多くの食物アレルギー、アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎・結膜炎、気管支喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎(+Ⅳ型)などがこのアレルギーです。
Ⅱ型アレルギー
なんらかの原因により、自らの細胞が抗原と認識されてしまい、その細胞に対する抗体が産生されてしまうことによって起こります。IgM、IgGが関与します。メティエ―ターは補体。細胞障害型。
溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、Goodpasture症候群など。
Ⅲ型アレルギー
Ⅱ型と同じく自らが抗原と認識されることによって起こるが、細胞単位ではなく血清内に溶け込んでいるような異種性蛋白や薬剤、細菌などへの反応によって起こる。メティエ―ターは補体とリソソーム酵素。
SLE、RA、糸球体腎炎、過敏性肺炎(+Ⅳ型)
Ⅳ型アレルギー
細胞性免疫によるアレルギーです。
Th1が活性化されると、IL-2やIFN-γが放出されます。IL-2はTCGF(T cell growthfactor)として自己増殖を促し、IFN-γはマクロファージ、血管内皮細胞、線維芽細胞を刺激してIL-1、TNFα、IL-6、GM-CSF、IFN-α,βなどのサイトカインを放出させ、さらにその作用で局所に顆粒球、マクロファージ、単球、リンパ球が集まってきます。局所に集まってきた細胞はさらにサイトカインを産生、放出して炎症反応が増強されます。
一方、IL-12によりTh1が活性化されると、活性化されたTh1はIFNγを産生し、IgGを誘導しIgEの産生を抑制します。
接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、移植後の拒絶反応などがこのアレルギーに含まれます。
アレルギーに関わるその他のリンパ球の種類
さらに近年Th17細胞というものも発見され、リウマチなどの自己免疫性疾患の原因として注目されるようになっています。ナイーブCD4+T細胞がIL-12とIL-4でそれぞれTh1やTh2に分化するのと同様に、IL-6、21、23、TGF-βなどのサイトカインで誘導されます。
Th17細胞や、その他のたくさんの細胞から分泌されるIL-17は、血管内皮細胞、繊維芽細胞、マクロファージ、好中球などに作用し、IL-6、TNFαを放出させ、広範囲の炎症を惹起します。

それぞれの細胞にはマスター遺伝子というものが存在し、その分化・機能の発現になくてはならないものです。Th1の分化にはIL-12、STAT4・6、T-betシグナルが重要で、Th2の分化にはIL-4、STAT6、GATA3遺伝子の発現が重要になります。TregのマーカーはFoxp3がマスター遺伝子です。また、Th17の分化には、IL-1b、TGF-β、IL-6、IL-23、STAT3、RORgtが重要と言われています。