新生児-乳児消化管アレルギーについて

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新生児-乳児消化管アレルギーという病気をご存じですか? 赤ちゃんに体重増加不良や血便などを来すことがあるこの病気について、今回は解説いたします。

新生児-乳児消化管アレルギーってどんな病気?

名前の通り、0歳台で発症する、ミルクに対するアレルギーの一種です。一般的に言われる食物アレルギーとしてのミルクアレルギーとは少し違い、じんましんやゼイゼイ、アナフィラキシーなどの症状は起こりませんが、嘔吐や下痢、血便や腹痛など、消化管の症状が主に起こる病気です。

症例

よくある症例を見てみましょう。

0歳3か月。生後数日はミルクを併用していたが、退院してからは完全母乳育児。

2か月を過ぎてから母乳が足りなくなり、ミルクを少し足すようになったが、そのころから下痢がちになった。哺乳は良好だが、嘔吐することもよくあった。体重は2か月まではよく増えていたが、それからは増加が停滞していた。

次第に便に血がまじるようになり、小児科を受診しアレルギー検査を行ったが、牛乳特異的IgEは陰性。

アレルギー用ミルクにしたところ、嘔吐や下痢は消失し、血便もなくなり体重増加も順調となった。

新生児-乳児消化管アレルギーの診断

症例のように、それまでほぼ母乳で育てられていた赤ちゃんが、ミルクを飲む様になってから発症するケースが多いですが、稀に母乳そのものも受け付けない赤ちゃんもいます。

この病気を疑った場合は、まずミルクを中止し、血便などの症状が収まるかどうかを見ます。母乳で発症した場合には、母乳を中断する必要があります。アレルギー用ミルクに変更して症状が改善するかどうか、そして、再び通常ミルクや母乳を再開したときに、同様の症状が誘発されれば診断に近づきます。

確定診断を行うための必須の検査は、上述の負荷試験です。そして、補助診断として、牛乳特異的IgEを調べたり(約2-3割でしか陽性にならない)、リンパ球刺激試験という特別な試験を研究室レベルで行うことにより、ミルクと血液の反応を見たりすることもあります。また、便の中に好酸球と言われる、アレルギーに関連する白血球の一種が増えていないかどうか、血中の好酸球が増えていないかどうか、というのも診断の一助になります。

また、母乳で発症したケースでは、母親が一週間乳製品を食べるのをやめたあとに、再度母乳を飲ませてみて、症状が誘発されないかどうかもチェックします。

血便を来すような、腸重積や、炎症性腸疾患、他の出血性疾患などを丁寧に除外する必要もあります。

消化管アレルギーの原因は?

アレルギーはその発症の細胞分子学的メカニズムによって、Ⅰ型からⅣ型にまで分かれます。 一般的に言われるアレルギーは、IgEという物質を介して起こるⅠ型のアレルギーですが、この消化管のアレルギーはⅣ型のアレルギーという分類になります。

消化管アレルギーは、お母さんの胎内ですでに牛乳の抗原に感作され、生後まもなく発症することが多いと言われていますが、だからといって妊娠期に牛乳由来の抗原の摂取を避けても必ずしも予防できるものではないことも分かっています。

アレルギー用ミルクについて

アレルギー用ミルクについては、他記事にもご紹介していますが、様々なものが発売されています。ミルフィー(明治)やMa-mi(森永)などで対応できる場合もありますが、程度がよりひどいと、加水分解乳という、アレルゲンであるタンパク質を加水分解してアミノ酸の単位までバラバラにしたものしか受け付けない場合もあります。加水分解乳は栄養的には問題ありませんが、ミルクとしての風味はほとんど残されておらず、飲ませるのに苦労する場合もあります。そして、何よりもかなり高額です。

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予後の展望は?

新生児-乳児消化缶アレルギーを疑った場合は、様々な検査や治療の可能性がありますのでアレルギーに詳しい専門施設での診断や治療が必要です。また、消化管アレルギーとしての症状は9割近くが2歳までに治まると言われていますが、その後米や大豆などのアレルギーに進展するケースもあるので、離乳食開始以前にしっかりとアレルギー検査を再検しておく必要があります。多くの場合、しっかり診断がつき、代替のミルクが見つかれば体重は1歳台でキャッチアップします。

症状はそのお子さんにより様々ですが、単に嘔吐が多いと思っていた子が実はこの病気であった、というケースもあります。赤ちゃんの体重が思わしく増えない場合や、一日10回以上の下痢が続く場合は注意が必要です。

もともと赤ちゃんは便の回数が多く、また便も緩いのが普通なので、あまり気づかれない場合もあるかもしれません。一般的には、体重や身長がしっかり伸びていれば心配ありませんが、迷った場合には、小児科に相談してみるといいです。その際に、便を持っていくことをおすすめいたします。

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ミルクアレルギーを疑ったときの対

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