子供の胸痛

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子供が突然「胸が痛い」といったらどうしたらいいでしょうか?子供の胸痛の対応方法を小児科医が教えます!

子供の胸痛の原因

子供が胸痛を訴える原因は様々です。胸痛と言えば、大人では心筋梗塞狭心症といった、心臓の病気を疑うことがありますが、子供でこうした病気になることは稀です。では、一体どんな病気が考えられるのでしょうか?それは、痛みを訴える胸の部分にある臓器を考えると分かりやすいです。

表面(皮膚)

痛みがある部分の一番外側には皮膚という臓器があります。皮膚には当然ですが、感覚器がたくさんあり、痛みを感知する神経もたくさん走っています。まずは、痛みを訴える皮膚の表面に変化がないか、くまなく調べます。色調の変化はないか、発疹はないか。ぴりぴりするような皮膚の痛みは、帯状疱疹の前兆であることもあります。また、あざがある場合は、打撲などを疑います。

筋肉

皮膚の下には皮下脂肪がありますが、ここの部分の痛みを訴えることはあまりありません。その下に筋肉が存在し、筋肉を包む膜に痛みの神経が走っています。筋肉が腫脹していたり、痛んでいたりすると、当然ですが痛みが生じます。筋肉は、走行する方向が決まっています。筋肉の方向に沿って圧痛があったり、筋肉をつかんでみて痛みがあるようなら、筋肉の痛みが疑われます。いわゆる、筋肉痛です。運動をしたときもですが、咳のしすぎなどでもこの部位の筋肉痛が起こります。

骨(肋骨)

胸部は肋骨をいう骨が形作っていますが、実は胸の前の部分は肋軟骨という軟骨でできています。肋骨と肋軟骨の境目は炎症を起こしやすい部分で、風邪を引いたりするように、なんらかの原因で炎症を起こすと、痛みがでることがあります。「肋軟骨炎」といいますが、多くの場合は、痛みの部位を聞くと、「ここ!」と1点を指し示します。

神経

肋骨に並走して、「肋間神経」という神経が走行しています。大人では「肋間神経痛」という病態がありますが、子供ではあまり見られません。それでも、ストレスとの関連も指摘される病態ですので、可能性がないわけではありません。肋間神経痛は神経の痛みなので、ピリピリするような、差し込むような痛みがあるのが特徴です。

また、前述の帯状疱疹は、原因となる帯状疱疹ウイルスが肋間神経に潜伏して、とあるタイミングで表面に出てきます。

胸膜

肋骨の下の臓器は肺になりますが、肺を取り囲む膜を胸膜と呼びます。胸膜には痛覚の神経が走っているため、肺炎がある場合などは、胸膜炎を併発している場合も多く、その場合は肺に水が溜まったり、胸膜炎としての胸痛が起こることもあります。このときの胸痛は、比較的広範囲で、息を吸ったときに痛くなります。聴診では、胸膜摩擦音という音が聴取されることもあります。

また、胸膜が破れてしまう「気胸」という病態も、胸の痛みがでる代表的なものです。痩せ形の男性に多いと言われており、大きな声を出したり、外傷だったり、突発的に発症することが多いです。

肺自体には痛みを知覚する神経はないため、肺炎を起こしても胸膜炎がなければ通常痛みは起こりません。

心膜

胸部の前方の真ん中からやや左よりにかけて心臓があり、心臓を取り囲んでいる膜が心膜です。胸膜同様、心膜は炎症を起こすと「心膜炎」として痛みが生じる場合があります。

心臓

心臓が炎症を起こすことは少ないですが、心筋炎といって、心臓自体にウイルス感染を起こすことはあります。ただし、このときも心臓自体に痛みがでるわけではありません。心臓に痛みが出るときは、心臓に血液を運んでいる冠動脈という動脈の血流が障害されたときです。血流が完全に途切れるといわゆる心筋梗塞の状態になります。子供では基礎疾患がない限りは心筋梗塞になることは稀です。また、不整脈では通常痛みは伴いません。

子供の胸痛は「特発性」が多い!

子供が胸痛を訴えた場合、診察をして上記のあげたような鑑別診断を行います。または、それに付随する症状があるときは、そちらも優先しながら診断を行っていきます。検査としては、レントゲンや心電図、心エコーなどになりますが、それらで異常がでることは稀です。そして大抵は「特発性(原因不明)」の胸痛という診断になります。

子供においては特発性の胸痛は、胸痛の半数以上に上るとも言われます。逆に言うと、胸痛で医療機関を受診しても、半分以上の確率で「原因不明」で終わるということです。

心因性の胸痛も多い

はじめから決めつけてはいけませんが、子供が胸痛を訴える場合、最低限命に関わったりすぐに対応が必要な病気を除外できれば、実は心因性の胸痛が一番多いとも言われています。何かの心配事があったり、ストレスを感じていたりする場合に、子供は「胸が痛い」と感じ、訴えることが多いです。病院に行っても原因が分からない場合は、子供を注意深く観察し、社会生活で変わったことはなさそうか、しっかりフォローしてあげることも大切ですね。

こうした心因性の胸痛は、本人が寝ているときや夢中で楽しんでいるときにはあまり感じないものです。また、時間が経てば治っていきます。程度や頻度がひどくなる、四六時中痛いなどの症状があれば、まずは医師に相談しましょう。

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