ボタン電池の誤飲

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赤ちゃんや小さい子供は、いろいろなものを口に入れてしまいます。そして、ふとした瞬間にそのまま飲みこんでトラブルになることがよくあります。

子供の誤飲について でも書きましたが、ボタン電池の誤飲事故が後を絶ちません。おもちゃやリモコンなど、子供が触りやすいものに内蔵されていることも多く、自己を防ぐためにねじがついていたり、注意書きも厳重にされてはいますが、それでもふっとした隙に、一番してほしくないことをするのも子供です。

なぜボタン電池が危ないのか

ボタン電池は、その表と裏がそれぞれ+極、-極となっており、人体の中では電流を放出する危険性があります。そして、食道や胃の薄い壁を腐食させ、穴を開けてしまうことがあります。穿孔までの時間は早くて数時間以内と言われており、最も迅速に摘出を行わなければいけないもののひとつです。

食道は胃よりも壁が薄く、穿孔しやすいです。そして、穿孔してしまうと、緊急手術が必要になり、命にも関わります。食道も消化管の一部であり、雑菌も多くいるため、心臓や大血管など重要な臓器がある部位への感染の心配も出てきます。

また、食道は生理的狭窄部位が3か所あり、その部分に異物がとどまりやすくなっています。

ボタン電池誤飲のときの実際の処置

まずは、レントゲンを撮って、本当に誤飲しているのか、そして、誤飲した電池が現在どこにあるのかを確認します。

ボタン電池はX線を透過させないので、レントゲンでは真っ白な影として映ります。(ちなみにプラスチック製のおもちゃなどを誤飲した場合は、レントゲンではうつりません。)

食道や胃内にボタン電池が確認されたら、チューブの先が磁石状になっているマグネットチューブというツールを使って、異物をくっつけて取りだします。

マグネットチューブ 先端の銀色の部分が磁石になっています。

実際には子供を台の上に寝かせ、X線の透視画像を見ながら、鼻からチューブを入れて食道あるいは胃内に到達させます。あとは、磁石のある位置を見て、子供のおなかを押したり、体勢を変えたりして、磁石に電池をくっつけてそのまま引き上げ、喉のところまで来たら、管子で取りだします。一番気を付けなければいけないのは、誤嚥を起こさせないことです。

その他のツール

また、チューブの先端が磁石ではなくあとから膨らませられる風船になっている、バルーンカテーテルというものもあります。通常バルーンカテーテルは、膀胱内にカテーテルを固定するために風船を膨らませますが、この構造を利用して異物除去を行うこともあります。

これらの手技は小児科や小児外科が対応します。万が一カテーテル操作で摘出できない場合や、すでに穿孔してしまっている場合には、緊急手術になる場合もあります。ボタン電池を誤飲してしまうと、その後の処置も大変になり、子供の安全が脅かされてしまいます。子供の手の届く範囲に置かないことはもちろんですが、いざ飲みこんでしまったかもしれないときには、なるべく早めに大きめの医療機関(小児科と、できれば小児外科がいるところ)を受診しましょう。

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