B型肝炎ってどんな病気?

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2016年10月から乳児で定期接種化されているB型肝炎ワクチン。そもそも、B型肝炎ってどんな病気?大人にもうつるって本当?小児科医が解説します!

B型肝炎という病気

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)によって肝臓の細胞が障害されて起こる病気です。肝炎ウイルスは現在のところ、A型からE型まで五種類に大別されています。

HBVに感染すると、急激な肝炎症状を呈してその後治癒する一過性感染を起こすか、長期的にHBVが体に潜んで あとからさまざまな症状を引き起こしてしまう持続性感染を起こすか、どちらかに分かれます。

一過性感染を起こしても、必ずしも症状がでるとは限りません。一過性感染のうち7-8割は不顕性感染といって、症状をほとんど出さずに気づかれないまま経過すると言われています。その他の2-3割は急性肝炎を起こしますが、急性肝炎でも、血液検査でしか分からないような軽症から、発熱、倦怠感、急激な肝機能障害、そして最悪の場合肝臓全体が壊死してしまうような劇症型肝炎まで、さまざまな程度があります。ウイルスに感染して急性肝炎になるのは3割程度、そして劇症肝炎になるのはそのうちのさらに1-2%程度と言われています。急性肝炎になってしまった場合には、特効薬はなく、補助的な治療を行い炎症が落ち着くのを待つことや、肝臓の炎症があまりにも激しい場合には、肝移植が必要になることもあります。急性肝炎になっても、免疫機能が正常であれば多くはウイルスは体から排除され、以降感染を起こすことはありません。

実は持続性感染のほうが厄介です。

HBVに感染しても、多くの場合(9割)は、症状がほとんどなく、体に肝炎ウイルスが存在しているだけ、という状態(=無症候性キャリア、といいます)になります。無症候性キャリアは症状は全くといっていいほどでませんが、実は肝臓では持続的に炎症が起こっていると言われています。

持続感染を起こす人の1割が慢性肝炎になります。慢性肝炎は、急性肝炎ほど症状が顕著に現れませんが、少しずつ、時間をかけて肝臓が破壊されていきます。6か月以上、体からHBVが排除されない状態を、慢性肝炎と呼びます。そして、数十年かけて肝硬変(肝臓が破壊されきった状態)、そして肝不全に至ります。持続感染により肝臓がん発症のリスクも慢性肝炎でも、稀に急性増悪して急性肝炎様に移行する場合もあります。

持続感染している人はキャリアと呼ばれます。無症候性キャリアは現在日本で100万人以上いると推測されています。

乳幼児でのB型肝炎

3歳以下の乳幼児は、HBVに感染しても、免疫機能が未発達のためキャリア化することが多いと言われています。キャリアになるとしばらくは症状がでませんが、免疫機能が発達するに従い、HBVを認識して肝炎症状を起こすことがあります。肝炎を起こしても、9割はそのまま治りますが、最終的に無症候性キャリアとなります。残りの1割は慢性的な炎症がある慢性肝炎となります。こうした持続性感染の状態が長く続くと、大人になってから肝硬変や肝がんを引き起こします。

B型肝炎の感染経路は?

B型肝炎は、急性肝炎を発症している人や、キャリアの人の血液や体液を介して感染します。そのため、日ごろから血液などを取り扱う医療従事者や警察関係の人、介護士や保育士などは特に感染のリスクが高いと言われおり、多くの場合は、B型肝炎ワクチンの接種が義務付けられています。以前は、注射針の使いまわしや、ずさんな消毒管理による医療事故としてのB型肝炎感染が問題になりましたが、現在はほぼ改善されていると言えます。

それよりも、幼少時は集団生活によって少なからず感染のリスクにさらされます。ちょっとしたことで喧嘩して咬みついてしまった、こけて血が流れたものに触った、鼻血がでた、など、血液に触れる機会はいくらでもあります。乳幼児こそ、持続感染を起こしやすいため、十分な注意が必要です。

思春期以降になると、持続感染のリスクは減りますが、この時期以降の感染の多くは性交渉によるものです。適切な避妊を行っていなければ、感染するリスクは増大します。避妊具を使っていても、リスクは0にはできません。

また、母子に関しては、母親に持続感染があれば、出産時に産道からの出血により赤ちゃんに感染してしまいます。そのために、通常出産にあたってはあらかじめ母親のB型肝炎感染の有無を調べ、感染がある場合には生まれてすぐ赤ちゃんにワクチンや抗体製剤を打ちますが、妊娠経過中に無症候性キャリアになってしまう可能性もありますし、検査も治療も絶対ではありません。

B型肝炎の予防方法

血液や体液に直接触れないことが大切です。血液などを取り扱う際には必ず手袋などで防護してください。目に入っても感染する可能性があるので、ゴーグルなどで防ぐことも重要です。血液が口に入ってしまった場合でも、理論上は感染は成立しませんが、口の中に傷があったりした場合には、感染の可能性は0とは言えません。

B型肝炎を予防するのに最も重要なのは予防接種を打つことです。

B型肝炎の予防接種は大人でも子供でも全部で3回です。1回目の接種のあと、約1か月あけて2回目、そしてさらに5か月あけて3回目を打って完了です。予防接種の効果は20年ほど持続すると言われていますが、 なるべく小さいうちに予防接種をすることで、よりその効果が長く続くことが分かっています。。2016年10月から0歳児への定期接種が開始されましたが、1歳になるまでしか公費補助が受けられませんので、それ以上の年齢の方は、自費で接種することになります。

公費対象外でもワクチンは打った方がいい?

外来でもよく聞かれる質問です。B型肝炎ワクチンは上述の通り、単なる肝炎だけでなく、肝臓がんを予防する、世界ではじめてのがん予防ワクチンです。(現在は子宮頸がんワクチンもがん予防ワクチンですね)そして、乳幼児だけでなく、思春期以降、そして大人になっても、いつでも感染するリスクがある病気でもあります。定期接種化されてまだ間もないこともあり、まだまだ無症候性キャリアが多く存在していることを考えると、1人でも多くの人がワクチンを打つべきだと考えます。そして、1人でも多くの人がワクチンを打てば、集団免疫の力が強くなり、何らかの事情でワクチンが打てない人にもその恩恵が得られます。

成人になって3回も病院へいくのはちょっと、、と思われるかもしれませんが、例えば赤ちゃんの予防接種にいくときにママも一緒に、など、かかりつけ医と相談して、無理のない接種ができれば理想的ですね。

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