ケトン体ついて(糖質制限のはなし)

sponsor’s link

子供の胃腸炎に引き続いて起こることがあるケトン性血症については以前記事にしたことがあります。今回は、前回書ききれなかった、ケトン体の意外な効能や、可能性についてのおはなしです。

ケトンは本当に悪者?

子供にケトン体が溜まってしまうとケトン性嘔吐症になって、次第に経口摂取が難しくなってしまいます。そのためには、糖分を欠かさないようにしなければいけませんが、人間の体は糖分をたくさん蓄えておけるわけではありませんので、常々糖分を摂取しつづける必要があります。

ところが、生物としての歴史を見ていくと、主食として米や小麦などの炭水化物をたくさん摂るようになったのは、近代になってからのこと。それまでは、動物と同じで、タンパク質や食物繊維を中心に摂取し、炭水化物は芋やとうもろこしなどから摂っていて、それで特に問題なく過ごしてきました。

そして、現代社会を見てみると、糖尿病や肥満など、糖分や糖質カロリーを摂りすぎることによって発症する病気も多い。そして、実はケトンは単なる副産物ではなく、ケトン自体がエネルギー源になりうる可能性も指摘されるようになりました。果たして、ケトンは本当に体に悪い作用ばかりするのか?という疑問も出てきました。

そこで、最近は「糖質制限」という考え方が出てくるようになってきました。

糖質制限の考え方

現代社会は、農耕という文化が発達し、常に糖分を蓄え、いつでも摂取できるように発達してきました。いろいろな保存技術も向上しました。それは、あくまで「糖が人間の体を維持するために最適かつ唯一のエネルギー源である」という考えのもと、すすめられています。

ところが、前述したように、生物はもともとはそれほど糖分がなくても生きられたわけで、糖分を摂りすぎることによって起こってくる病気も増えてきた。そこで、もともと糖分をあまり摂らないような生活に戻れば、そうした病気もなくなるのでは、というのが、糖質制限の基本的な考え方です。

糖質制限をするとどうなるのか?

糖質制限とは、文字通り糖分を制限するわけですが、そのことによって体に起こる変化とはなにか。

実は、以前にもご紹介したことがありますが、生命はその環境の変化に対して、個体ごとに遺伝子の発現を調節して、適応する能力を持っています。そして、その能力は子供の世代にも遺伝することも分かっています。

例えば、おなかの中で飢餓状態になった赤ちゃんは、「飢餓状態でカロリーが摂りづらい」という情報が遺伝子にセットされるため、摂取したカロリーを効率よく脂肪に替えて蓄えようとする能力が発現されるために、将来太りやすくなったり、成人病になりやすくなることが分かっています。

糖質制限を個体で行うと、どのような変化が起こるのか。

まだ、賛否両論ある分野でもありますが、糖質制限を推進する専門家によれば、糖質制限をすることで、それまで「糖質メイン」と考えていた体が飢餓状態にシフトし、ケトン体をエネルギー源としてメインに利用する体に変わります。すると、ケトン体を得るために、脂肪をどんどん燃やしていくために、ダイエット効果やケトンがもたらす他の健康効果も得られる、というものです。

ただし、安易な糖質制限は禁物。

糖質制限は確かに楽に痩せられて魅力的ですが、安易な自己流の糖質制限は禁物です。糖質制限をするためには、専門的な栄養学の知識が必須であり、糖質を制限する代わりに、不足しがちであるタンパク質を摂って補う必要があり、さらにミネラルやビタミンなど、他にも必須な栄養素はたくさんあります。ただ単に糖質を減らすだけでは、逆にさまざまな栄養素が不足になるリスクが増大します。現に、不適切な糖質制限によって、骨粗しょう症が起こったり、老化を促進したりすることも報告されており、また、過度な糖質制限は寿命を縮めてしまうことも分かっています。

特に、成長期である子どもたちは、通常以上に栄養には気を使う必要があり、大人の糖質制限の理論が当てはまらない部分もたくさんあり、また分かっていないこともたくさんあります。子供の糖質制限に関してはまだまだ肯定的な意見が少ないのが現状です。少なくとも、糖質制限だけで減量しようとするのは、リスクが高すぎるのでやめるほうがよいでしょう。

国内外の論文を集めて検討したメタ・アナリシス(大規模研究)では、糖質制限をした人、バランス食を意識した人、低脂肪食を意識した人で、どの群でも体重減少効果には大きな差はなかったようです。また、半年で体重減少効果を認めたが、1年後には認めなかった、という趣旨の論文もあり、継続することも困難であるとも言えます。

夢のダイエット法ともてはやされている糖質制限ですが、問題点も多く、少なくともそれだけではなく、バランスの取れた食事、そして適度な運動をして、健康的と言われる生活をすることが、最も重要なのではないかと思います。

関連記事;ケトン性血症について
朝食は摂るべきか摂らないべきか



sponsor’s link

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする