マダニ咬傷について

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マダニ類は、人間や哺乳類の皮膚に取りつき、深く口を指し込んで血液を吸って生活しています。吸血する際に、唾液とともに病原体となるウイルスを宿主に注入し、さまざまな病気を引き起こすことが知られています。

一般的に、ダニというと、お布団やカーペットの中に住んでいるものを想像しますが、吸血ダニであるマダニ類は、そうしたイエダニとは生態が大きく異なります。

一匹のマダニが、吸血するのは生涯で数回のみですが、この数回の吸血の際に媒介する病気が問題になります。

吸血ダニはどんなところに生息?

マダニが生息するのは、野原や雑木林など。また、比較的人家に近い草むらにも潜んでいます。たまたま通りかかった哺乳類に寄生し、吸血するのがその目的です。北海道から沖縄まで、18種類ほどのマダニが日本全国に生息しています。

マダニに咬まれたらどんな症状が出る?

マダニに咬まれても、通常はじめは痛みはほとんどありません。マダニは、口にのこぎりのような歯を持っており、皮膚の中に深く食い込み、周りを固めて離れなくなります。そして、唾液を注入し、血を固まりにくくして、数日かけて血液を吸いだします。十分に血液を吸ったダニは、吸血前の5倍以上にも膨れ上がります。多くは、この時点で気づかれます。

マダニが媒介する病気

・ライム病

マダニが媒介する代表的な病気にライム病があります。

ライム病の病原体は、梅毒の菌の一種で、マダニに刺されてから約2週間程度で発症します。はじめは刺された部分の発赤で始まり、次第に発赤部位が周りに拡大します。そして、さまざまなところに発赤が出たり消えたり、まるで移動するように見えます。真ん中が特に赤く、その周囲を淡い紅斑が取り囲むような、特徴的な皮疹がでることが知られています。

また同時に、倦怠感、発熱などの風邪とおなじような症状が現れます。また、不整脈や心膜炎が見られることもあります。ひどくなると、髄膜炎や神経症状を来すこともあります。

・ツツガムシ病

ツツガムシとは、ダニの仲間で、ツツガムシが媒介するリケッチアという細菌の一種が引き起こすのがツツガムシ病です。

ツツガムシ病になると、約2週間の潜伏期間goに突然高熱が出て、頭痛、筋肉痛を伴い、数日後より全身に細かい発疹が出現します。また、眼球結膜充血、全身のリンパ節腫脹が見られる場合もあり、その後適切な治療を行わなければ、脳炎を起こしたり、全身の血液のめぐりが悪くなったり、血液を止める機構が正常に働かなくなるDIC(播種性血管内凝固)を起こし、突然死する可能性もある怖い病気です。

診断には、ツツガムシに咬まれたときに特有の、直径1cm程度の黒い刺し口が見つかれば確定的です。昔から「つつがなく過ごす」などという言い回しがあるように、突然とんでもない病態になってポックリ逝ってしまう危険性があるため、ツツガムシには十分に注意が必要です。

・重症熱性血小板減少症候群

こちらは、次項で詳しくご説明いたします。

・そのほか

マダニが媒介するその他の病気としてよく知られているのは、日本紅斑熱、Q熱エーリキア症、野兎病、回帰熱、クリミア・コンゴ熱 などがあります。咬まれたマダニの種類によって、病原体の種類も多少異なります。これらの病気は非常に稀ではありますが、マダニに咬まれた際には、発症に注意が必要な疾患です。

ダニを避けるためには

ダニに刺されないようにするためには、草むらに近づかないことが一番重要です。ダニがいそうな草むらや雑木林にやむを得ず行く場合には、肌の露出を控え、長袖や靴下などでしっかり被覆しましょう。また、虫よけスプレーなどもある程度は有効と言われています。

また、小さい子供においては、頸部より上、特に頭皮への咬着も多いと言われているため、草むらに行ったあとなどは頭皮もしっかりチェックするようにしましょう。

マダニに刺されたときの対応

自分で引き抜いてもいい?

前述した感染症も、マダニに刺されてから24時間以内に虫体を除去できれば、感染する可能性は低いと言われています。

マダニは、皮膚に口器を深く食い込ませているため、通常引っ張っただけではなかなか完全に除去することはできません。
日本皮膚科学会のHPによれば、虫体をピンセットでつかみ破損させずに引き抜いてもよいとの記載がありますが、 マダニ自体を殺してしまうと、中の体液が宿主に移行してしまう危険性があるため、殺さないようにしなければいけません。無理に引っ張ってしまったり、体に圧をかけるのはよくないため、無理せずできる限り医療機関を受診するようにしましょう。受診するのは皮膚科がいいです。夜間や休日に気づいた場合は救急受診するほどの緊急性はないため、翌日まで待っていいでしょう。

病院ではどうやってマダニを取るのか?

皮膚科では、小さな切開をして、マダニを破損させずに確実に取る方法が用いられることが多いです。自制がきく年齢であれば、局所麻酔で十分に痛みも少なく処置ができますが、小さな子供であれば、場合によっては抑制したり、眠らせるような処置をすることもあります。

また、ワセリンなどの油性の外用薬を塗って、マダニが嫌がって咬着を自らやめるのを期待する方法がとられる場合もあります。しかし、この方法は、確立されたものではなく、運がよければ取れるかもしれない、という程度のものです。アルコールを塗る、火を近づけるなど、さまざまな方法がインターネットで紹介されていますが、今のところ一番確実な方法は外科的切除のみです。

また、もし自分で除去できたとしても、その後傷口にマダニの一部が残っていないか、念のため確認してもらうのが良いでしょう。除去したダニ本体も、一緒に持参するようにしましょう。(マダニ類の確定診断に必要です)

おわりに

マダニ咬傷はこれからの季節に増えてくる、誰にでも起こりうる病気です。たとえ咬まれてしまっても一刻を争うものではありませんが、小さなお子さんが咬まれても見逃さないように、正しい対処法を知っておくことが重要です。

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