溶血性尿毒症症候群について

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溶血症尿毒症症候群(HUS)という病気をご存じですか?実は、私たちがいつなってもおかしくない、そして、場合によっては死に至ることもある恐ろしい病気です。今回はこの病気について、詳しく解説します。

溶血性尿毒症症候群には2種類ある!

実は、溶血性尿毒症症候群(以降HUS)には、2つのタイプがあることが知られています。ひとつは、ある特定の大腸菌に感染した場合に発症するいわゆる典型的なHUS、そしてもう一つは、先天的あるいは後天的にある種の「補体」と呼ばれる血液成分に欠損や異常があって起こる、非典型的なHUS です。

ここでは、大腸菌関連のHUSについて解説します。

HUSの原因となる大腸菌

HUSは、特定の大腸菌が出す、ベロ毒素(志賀毒素ともいう)が、体に影響を及ぼして発症します。実際の症例の典型的な経過を怖い子供の大腸菌感染症でしめしています。

この大腸菌は、多くは生肉などについているものが、加熱殺菌されずに体内に入ることで発症します。大腸菌はその名の通り、動物の大腸に生息し、食肉などの加工の際に、混入します。食中毒が発生する初夏から秋口にかけて、患者数が増加しますが、年間4000人ほどの患者さんが報告されています。その中で、重症化しやすいのは、10歳以下の子供、あるいは高齢者です。

また、飲食店などで集団感染が起こる事例も毎年報告されますが、感染者からのヒトーヒト感染もよく報告されます。感染者の便に含まれる大腸菌が、不十分な消毒作業で他の人に伝播して感染します。また、汚染されたサラダ、プール、井戸水での感染報告もあります。

人から人への感染を防ぐには、汚物の適切な処理と、手洗いうがいしかありません。

HUSとはどんな病気か

HUSの診断

HUSの確定診断は、便の培養でO-157などの病原性大腸菌が検出されること、さらにベロ毒素が検出されることです。ただし、便の培養には一週間程度かかり、確定診断がされる頃には、症状がすすんでHUSの治療が始まっているか、すでに症状が軽快しているかのどちらかのコースになっている可能性が高くなります。

その他、O-157の迅速検査、ベロ毒素の迅速検査もあり、施設により異なりますが、数時間から1日程度で検査の結果がでます。

HUSを疑う症状

胃腸炎症状が先行し、激しい下痢が続き、数日後から血便を伴うようになります。高熱はあまり出ません。そして、このような症状がでた患者さんのうち1割弱に、血小板減少による紫斑や、腎不全による尿量の減少やむくみ、赤血球が破壊されることによる黄疸が出現します。そしてひどい場合には、脳症へと進行していきます。

HUSは、①血小板減少、②溶血性貧血、③急性の腎障害 という症状が揃えば、比較的容易に診断することができます。

このとき、実際に血管の中はどのようになっているのでしょうか?


HUSの病態

まず、これが正常な血管と思ってください。

大腸菌の毒素により血管が傷つきます。
傷ついた箇所を修復しようと、血小板が集まってきます。
傷が増えるとどんどん集まってきます。
血管の大部分が血小板で埋め尽くされます。血小板は消費されて減少します
赤血球が通ろうとすると、血小板の柱が邪魔になって壊れてしまいます(破砕)。こうなると、血小板も壊れていってしまいます。こうして血小板減少と貧血が進行していしまいます。また、血小板が連なるところには、凝固因子が働いてフィブリンの柱を張り巡らせるため、それも赤血球を壊す原因となります。

こうしたことが全身の細い血管内で起こり、頭の血管で起こった場合には神経症状が出ますし、腎臓で起こった場合には、腎不全となっていきます。

HUSを発症したらどんな治療をする?

軽症であれば、特に変わった治療の必要はありません。点滴で水分を補ったりする場合もありますが、大抵は腎不全により一時的に尿が少なくなっているために、最低限の点滴を行いながら、血圧や水分の管理をします。

また、図解した通り血小板や赤血球が壊れてしまうために、輸血が必要になる場合があります。

こうした治療が奏功しない場合は、透析や血漿交換といった、高度な治療が必要になります。ベロ毒素自体は体に長期間留まることはありませんが、障害をうけてしまった血管が回復するまでにはしばらくかかるため、その間は厳重な管理が必要になります。

HUSの合併症

HUSを発症した人のうち20-40%は慢性の腎機能異常の後遺症を残します。その他、膵炎、糖尿病、神経学的な後遺症を残すこともあります。

終わりに

アウトドアでの活動が増えるこの時期から、HUSの報告も増えます。特にお子さんが食べる肉や生野菜の管理には十分に気を付け、HUSを疑ったらなるべく早めに医療機関を受診するようにしましょう。

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