子供の抗ヒスタミン薬のまとめ(2019年版)

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Neltoku流 子供の抗ヒスタミン薬まとめ

最近、アレルギーの分野ではアレルギー症状を抑えるための、アレルギーのお薬が日々開発・発売されています。アレルギーのお薬の中でも、即効性があるのは、抗ヒスタミン薬です。今までよりもいっそう選択肢が広がり、患者さん側もお薬の選択ができるとなおよいですね。

今回は、よく使われる抗アレルギー薬についてまとめました。

抗ヒスタミン薬の作用と副作用

花粉症だったり食物アレルギーだったり、様々なことでアレルギー症状が起こりますが、だいたい共通する不快な症状は、「かゆみ」です。花粉症では目のかゆみや鼻のかゆみによる鼻水、食物アレルギーであればじんましんによる皮膚のかゆみだったり、アトピー性皮膚炎もかゆみがつらいですね。

このかゆみは、アレルゲンが体の中に入ると、活性化した細胞がさまざまなサイトカインといわれる物質を放出することで、主に起こることが分かっています。アレルギーに関わる細胞もたくさんありますし、サイトカインもたくさんの種類があります。その経路のうち、どこかをブロックして症状を抑えます。

抗ヒスタミン薬において、いちばん重要視されるのが、この「かゆみ」を抑える効果の高さです。

一方、副作用としては、一番日常生活に直結するのが、「眠気」です。また、意外に知られていませんが、便秘になりやすかったり口が渇きやすくなってしまったりといった副作用があります。また、妊婦には基本的には使えない(奇形をひきおこす恐れあり)のと、小児に限っては、発熱時に飲むと「けいれんが起きやすくなる」という重大な副作用もあります。

抗ヒスタミン薬の種類と効果

アレルギーのお薬は、かつては、「抗ヒスタミン薬」が主流で、数々のアレルギー反応のうち、ヒスタミンだけをブロックするお薬でした。ところが、よく知られているように、昔のお薬は、脳内に移行する率も高く、効果が高ければ高いほど眠気の副作用が強くでてしまうことが問題となりました。

ところが、ここ20年ほどで、他のアレルギーに関する物質の解明がすすみ、様々な物質をブロックするようなお薬がたくさん開発され、作用を減弱させずにこの副作用をなるべく軽減できるように工夫されてきました。

以下、今現在出回っている一般的な抗ヒスタミン薬の効果と副作用の強さを表した関係図です。

それぞれのお薬の概要①

実際に使っている患者さんの声や治療効果などの個人的な意見も書いてみます。(順不同です。)

まずはじめに、左下にあるお薬たちから。

アレジオン(エピナスチン塩酸塩)

小児科では最も一般的に使われている抗アレルギー剤のひとつです。脳内移行が少なく、けいれんを起こしにくいと言われています。脳内移行が少ないということは、眠気も出にくいです。1日1回のお薬で、ドライシロップと錠剤があります。

添付文書では、3歳以下には使えないことになっています。(実際に出すことはよくあります)

ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)

1歳以上から使えるお薬で、シロップ製剤と錠剤があります。基本的には1日1回の投与ですが、必要時には2倍量まで増やすことができます。眠気もそこそこ抑えられていて、バランスのよいお薬です。

ジルテック(セチリジン塩酸塩)

ザイザルとだいたい同じくらいの作用なので、どちらかを処方している人が多いように思います。ドライシロップと錠剤があり、2歳以上から、1日2回使えます。

アレロック(オロパタジン塩酸塩)

効果も高いけれど副作用もでてしまいやすい薬剤です。2歳以上に処方できます。顆粒と錠剤、それから口の中で溶けるOD剤があり使いやすいです。1日2回のお薬です。

アレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)

効果はそんなに高くない印象ですが、その分眠気も出にくいお薬です。2歳以上に使え、ドライシロップ、錠剤、OD剤があります。1日2回のお薬です。

ディレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩+プソイドエフェドリン)

アレグラに、エフェドリンという物質を合わせた合剤です。エフェドリンは鼻の血管を収縮させ、鼻閉を改善する方向に働きます。そのぶん、アレグラよりも効果が高くなります。ただその分、頭の血管にも作用して頭痛や動機などの副作用もやや多くなる印象です。12歳以上で1日2回のお薬ですが、上記の理由で大人で高血圧がある人などはあまりおすすめできません。また、添付文書上は、14日以上続けて漫然と飲み続けることは勧められていないため、14日までの処方制限が付いています。

ビラノア(ビラスチン)

大人にしか適応がありません。1日1回のお薬です。

クラリチン(ロラタジン)

あまり効果が高くないぶん、安心して使えるお薬でもあります。3歳以上、1日1回のお薬です。

エバステル(エバスチン)

こちらも大人にしか適応がありません。1日1回のお薬です。

タリオン(ベポタスチンベジル酸塩)

以前はシェア1番だったお薬です。7歳以上で、1日2回のお薬です。アレジオンが発売されてからは、その地位をのっとられたように思います。

それぞれのお薬の概要②

ここからは、右上のところに固まっているお薬たちです。

レスタミン(ジフェンヒドラミン)

こちら塗り薬でもおなじみですね。大人のみ適応があります。1日3から5錠飲めるという強みがあります。

セレスタミン(ジフェンヒドラミン+ベタメタゾン)

上記レスタミンにステロイドを配合したものです。(当然適応も大人のみ。)その分効果は高いですが、ステロイドの長期的な全身投与は推奨されません。

ポララミン(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)

こちらも大人のみに使えます。効果は高く、1日4回まで飲めるのも強みですが、その分眠気もとても強く出てしまいます。こちらとしてもどうしてもかゆくて仕方がない場合にしか使いたくありません。

ザジテン(ケトチフェンフマル酸塩)

6か月から使えるお薬で、このゾーンで唯一子供に使えるものです。食物アレルギーの子にもよく処方されます。ただ、こちらも眠くなります。

まとめ

以上をまとめると、だいたい図でいう赤点線の中のお薬が選択されやすいことが分かります。

もしも、お子さんにお薬が処方されていて、改善の余地がありそうならば、主治医に相談してみるのもいいでしょう。

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