血液検査で調べられるアレルギゲン一覧

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アレルゲンの検索について

日常生活において、いろいろなものでアレルギー症状がでることがありますが、その多くは原因が不明のまま改善してしまいます。ところが、アレルギー症状を繰り返したり、重篤な症状が出てくる場合には、血液検査でスクリーニング検査をすることがあります。今回はアレルギーのスクリーニング検査について。

血液検査でのスクリーニング

病院で「アレルギー検査をお願いします」と希望した場合、簡易的にできるのは血液検査でのスクリーニングです。

以前は、ひとつひとつ項目を選び、13項目までを一回の検査で調べることができました。13項目と制限があるため、疑わしい食品や花粉などをかなり絞って検査する必要がありましたが、現在は、少量の血液で39項目を同時に測定できるセット検査が主流となっています。

セット検査ではどんな項目が測れるの?

View39という検査でみられるアレルゲンは以下の通り。

・屋内 ハウスダスト1、ヤケヒョウダニ

・樹木 スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ

・イネ科雑草 カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ

・カビ アルテルナリア、アスペルギルス、カンジダ、マラセチア

・ペット イヌ皮屑、ネコ皮屑

・昆虫 ゴキブリ、ガ

・そのほか ラテックス

・食べもの ミルク、鶏卵(卵白、オボムコイド)、米、小麦、ソバ、大豆、ピーナッツ、リンゴ、キウイ、バナナ、ゴマ、豚肉、牛肉、鶏肉、エビ、カニ、サバ、マグロ、サケ

アレルゲン検査とコンポーネント

アレルギーの発症の直接の原因は、原因アレルゲンとなるタンパク質が、肥満細胞などのアレルギーに関わる細胞を刺激し、アレルギー症状を誘発する物質が放出されることです。

従来の検査では、アレルゲンとなりうる食品や植物などをタンパク質に分解した「粗抗原」に対する特異的な(そのものだけに反応する)IgE抗体を測定していましたが、粗抗原をさらに精製し、「コンポーネント」とよばれるより小さな単位にすることで、より診断の精度を高められると注目されています。ひとつの物質でもアレルゲンとなりうるものは複数存在するのが普通ですが、アレルゲンによって、そのものに限定して含まれる特異的なものと、他のものにも含まれるものとがあります。そのものに限定して含まれるアレルゲンを、「特異的コンポーネント」と呼び、アレルギーを診断する上で、より重要な項目となります。

例えば、鶏卵には卵白と卵黄があり、それぞれに対して特異的なIgEを測定することができますが、鶏卵に特異的なコンポーネントは、別に「オボムコイド」と呼ばれます。つまり、卵のアレルギーの主要な原因となるタンパク質はオボムコイドであり、オボムコイドが多く含まれる卵白が、鶏卵アレルギーの主な原因となるというわけです。

つまりアレルゲン検査では、「卵白」「卵黄」という項目よりも、コンポーネントである「オボムコイド」という項目が重要になります。

今日本で保険収載されているアレルゲンコンポーネント

2019年3月現在で、保険適応となっているアレルゲンコンポーネントは以下の通りです。

牛乳(ミルク)・・・αラクトアルブミン、βラクトグロビン、カゼイン

鶏卵・・・オボムコイド(Gal d 1)

小麦・・・ω5グリアシン(Tri a 19)

ピーナッツ・・・Ara H 2

大豆・・・Gly m 4

ラテックス・・・Hev b 6.02

クルミ・・・Jug r

これ以外のコンポーネントについても、順次保険収載される予定です。

その他のアレルゲンコンポーネント

参考までに、今研究室レベルで特定されているコンポーネントをご紹介します。

・ヤケヒョウダニ(Der p 1,2)

ハウスダストを主に構成する代表的なダニの種類です。Der p のグループには他にも、Der p 3以降も発見されていますが、陽性率が低く、スクリーニング検査には適していません。また、Der p 8/10 はダニ特異的ではなく、他のアレルゲンとの交差もありえます。

・コナヒョウダニ(Der f 1,2)

こちらも、ハウスダストを構成しています。ヤケヒョウダニと併せて二大巨頭といったところです。

・スギ(Cry j 1)

・シラカンバ(Bet v 2)

・オオアワガエリ(Phl p 1/5)

・キウイ(Act d 1)

アレルゲンコンポーネントの分類

現在たくさん見つかっているアレルゲンコンポーネントは、その特性によりさらに大きく4つに分類することができます。

そして、分類することにより、陽性であった場合にどのような特性があるのかを知ることができます。

・プロラミン

熱消化でも安定して存在する。=加熱してもアレルゲンの強さは変わらない

・ク―ピン

熱消化でも安定して存在する。

・PR-10

加熱により低アレルゲン化する。花粉症の原因となるものと食物アレルギーの原因となるもの両方が存在する。口腔アレルギー症候群の診断に有用。

・プロフィリン

熱消化には比較的安定して存在する。植物には多く存在する汎アレルゲン。

アレルギー検査は奥が深いです。

今回は後半かなり専門的な内容になりましたが、これらを覚えておく必要は専門医にしかありません。ただ、「アレルギー検査」は単に盲目的にスクリーニングするだけではなく、これらのコンポーネント検査と組み合わせたりすることでより重要な情報が得られます。主治医がどのようなことを考えて検査の項目を選択しているのかを知ることで、自身のアレルギーをより深く理解することにもつながります。

この分野は日進月歩なので、また新しい情報が出次第、更新していきます。

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