もやもや病という病気、知っていますか?
もやもや病という病名があるのをご存じですか?決して気分がもやもやする、とかいうものではなく、英名でもmoyamoya diseaseという病名で通っているものです。
どんな病気なのか、さっそく解説していきます。
もやもや病は脳の血管が狭くなることによっておこる
もやもや病の「もやもや」とは、診断する際に必須である、脳血管造影の画像所見から来ています。
もやもや病に見られるもやもや血管とは、脳の主要な動脈がなんらかの原因で狭窄している場合に、その先への血流を確保しようと、周りの小さな動脈が少しずつ発達している状態です。
(京都大学脳神経外科HPより)
上の図で説明すると、左側が正常、右がもやもや病の血管造影の画像です。
右の図では、中大脳動脈と言われる、左右の脳の真ん中を通る、主要な血管がありますが、左にはありません。その代わりに、もやもや血管とよばれる血管たちが見えます。
これは、中大脳動脈が閉塞したために、周りの血管(=側副血行路といいます)が発達し、脳に血流をなんとかいかせようとしている結果です。
中大脳動脈の閉塞は、脳梗塞でも起こりますが、もともと動脈奇形があり血管が細かった場合には、こうした血管が発達します。また、急に大きな血管が完全閉塞すると、大きな脳梗塞になりますが、徐々に狭まっていった場合は、こうした側副血行路が発達します。
もやもや病の原因
先にも説明しましたが、もやもや病の原因は、脳動脈の閉塞です。子供の場合は、基礎疾患がない限りは脳動脈の閉塞は起こりにくいですが、もやもや病を起こしやすい遺伝子も発見されています。この遺伝子が陽性である場合、もやもや病になる確率は200倍に上昇するとも言われています。
頻度は10万人に0.1人程度と言われています。
もやもや病の症状
もやもや病の脳は、ギリギリの血流で耐えている場合が多いため、ちょっとしたことで血流不足に陥ります。
例えば、大声で歌ったり、リコーダーを吹いたり、あつい食べものをフーフーしたり、といった過換気状態になると、血中の二酸化炭素濃度が減少し、脳の血管が一時的に収縮します。もやもや病の人は、少し血流が減るだけでもすぐ血流不足となり、失神したり痙攣を起こしたりしやすくなります。
また、発達した血管は、一般の血管より破れやすいため、脳出血が起こるリスクも高くなります。脳出血が起こると、通常の脳卒中同様、激しい頭痛や意識障害、麻痺や構音障害などが起こる場合もあります。
もやもや病の診断
もやもや病は画像診断が主となります。
頭痛や失神、過換気時の特徴的な症状から、もやもや病を疑えば、CTやMRIを撮影し、診断することができます。
また、意識障害などの重篤な症状で撮った画像で、脳出血からもやもや病と診断されるケースもあります。
もやもや病の治療
もともと血流が少ないために起こっている症状なので、なんとか血流を回復させるような治療が行われます。
内科的治療としては、血液をさらさらにするお薬を飲み、細い血管の中を血りゅが滞らないようにします。
また、外科的治療としては、どこかから(大抵は脳の表面)血管を取ってきて、血流の少ない部分をつなげて血流を増やす、バイパス手術が行われることもあります。
過換気で失神を繰り返すなど、病歴からもやもや病が疑われる場合は、小児科か脳神経外科に相談しましょう。