陰嚢の病気について

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急性陰嚢症とは

急性陰嚢症とは、陰嚢に急激な炎症などのトラブルが起こることで、主に精巣軸捻転のことを指します。思春期以降の男子に起こりやすく、思春期のホルモンバランスの変化により、急激に陰嚢の容積が増えることがリスクの一つとも言われています。また、停留精巣や移動精巣など、もともと精巣の位置に異常がある場合もリスクになります。

2014年に泌尿器学会より、急性陰嚢症のガイドラインが発表されました。今回はこのガイドラインの内容を簡単に説明します。

精巣の発生と構造

精巣は、胎生期にはおなかの中にあり、それが成長とともに陰嚢の中に降りてきます。ほとんどの子供は正産期になると精巣が正しい位置に降り、腹腔内とは完全に遮断されいます。

ところが、早産の子や、たまたま降りてくるのが遅かった子は、生まれてくるときに、まだ精巣がおなかのほうにあったり(停留精巣)、きちんと精巣内に固定されずにおなかと精巣を行き来してしまうことがあります(移動精巣)。

(日本泌尿器学会 急性陰嚢症のガイドラインより)

精巣軸捻転とは

精巣は、上の図のように、陰嚢の中に降りてきてぶら下がっている状態です。精巣がおりてきた道は通常閉じて精索という索状物になりますが、これが突然捻じれてしまい、精巣に行く血管・精管(精子を運ぶ管)の流れが断絶してしまう病態を精巣軸捻転といいます。症状は、強い痛みと精巣の発赤・腫れを伴います。

精巣捻転の診断

精巣捻転を疑った場合は、超音波エコーで捻じれを観察し、血流を確認します。捻じれがひどく血流が保たれていない場合は、一刻も早く手術で捻じれを戻さないと、精巣に血流がいかずに腐って死んでしまいます。治療は、症状が出てから24時間以内が原則で、遅れれば遅れるほど、精巣のダメージは大きくなります。

精巣のダメージが大きくなればなるほど、その後精巣で精子を作る機能に問題が出る可能性が高まります。

精巣軸捻転のリスクが高い人

精巣が大きくなる時期(=思春期)に、軸捻転が起こることが多いと報告されています。また、精巣がちゃんと陰嚢に固定されていない停留精巣や移動精巣という状態がある人は、リスクが高いと言われています。停留精巣や移動精巣は、精索がしっかり固定されていないのに加え、精巣挙筋反射(太ももの内側を上になでると、精巣が挙上する反射)が異常に強く起こるため、軸捻転が起こりやすいことが知られています。

精巣に腫瘍ができている場合もリスクが高く、捻転を契機に腫瘍が見つかる場合もあるようです。

また、精巣が固定していない胎児期にも精巣軸捻転が起こりやすいと言われており、決して稀なことではありません。生まれてきたときに精巣が委縮してしまっている場合は、胎児期に精巣捻転が起こり、精巣が壊死してしまった可能性があります。

精巣軸捻転を疑う症状

急に起こる強い陰嚢痛

もちろん、陰嚢に激痛を伴います。ところが、はじめは陰嚢の痛みを感じるよりも、太ももや股関節、鼠径部の痛みを訴えることもあります。また、半数の割合で、急激な痛みの発作が起こって、その後比較的すぐに改善するという前駆症状がある場合があるようです。これは、捻転が起こって、自分で戻った既往がある可能性を示唆しています。

悪心・嘔吐

軸捻転が起こった場合、周りにある腹腔神経を刺激して、悪心や嘔吐を伴う場合が多いです。同じく精巣部分に痛みが出る、精巣上体炎などではこの症状は出ません。

精巣軸捻転と間違いやすい病気

精巣上体炎

精巣の上にくっついている精巣上体が炎症を起こす病気です。同じように陰嚢痛がありますが、通常は精巣軸捻転のほうが症状が強いです。また、精巣の発赤や腫脹を伴う点では似ていますが、発熱を伴ったり、尿路感染の兆候が出やすいと言われています。

鑑別診断のためにはエコーで捻転があるか、血流があるか、炎症がどこにあるかをチェックします。精巣上体炎の場合は、血流がむしろ豊富になるために区別することができます。

陰嚢浮腫

小児科では、主にアレルギー性紫斑病で起こる陰嚢浮腫との鑑別も必要になります。アレルギー性紫斑病は、血管に炎症が起こる病気で、通常紫斑と呼ばれる皮疹や腹痛、関節痛があり診断できますが、稀に陰嚢から症状が出てくる場合もあります。鑑別は付随する症状、あるいはエコーで行います。

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