朝食は摂るべきか摂らないべきか

sponsor’s link

朝食は食べたほうがいいの?

ダイエットのひとつの方法として、朝食を抜いている人もたくさんおられると思います。また、ダイエットは意識していなくても、朝食を摂る時間がない、めんどくさい、など様々な理由で、現代の20代の人の4分の1が朝食を摂っていないということが、2015年の厚生省の調査で分かっています。

実際に朝食は摂ったほうがいいのか?子供の場合はどうか?最新の知見から考えます!

ラットを用いた最新の研究の結果

名古屋大学の研究によれば、ラットを用いた研究で、朝食を摂取しなかった群が、摂取した群と比較して有意に体重や体脂肪の増加が多かった、という結果が発表されています。

研究の概要ですが、ラットは一般に夜行性なので、人間の朝食にあたるのは「活動時間」開始後すぐの食事です。この活動時間開始後の食事を摂らせた群(=朝食摂取群)と、活動時間を開始してから4時間経過したあとに食事を摂らせた群(=朝食を抜いて昼食を食べた群)とに分け、様々な解析をおこないました。

すると、両群で1日トータルの食事の摂取量には差がなかったにもかかわらず、朝食抜きの群で体重の増加が有意に見られました

さらに詳しく解析すると、食事を代謝する肝臓の細胞で発現している体内時計が4時間ずれていることが分かり、また体温上昇の時間も朝食抜きの群で有意に短かったことが分かりました。

つまり、体内時計のリズムが狂い、基礎代謝が落ちたことが原因と結論づけられました。

人間に適応できるのかという問題は残りますが、朝食を食べないと体内時計が狂うということを初めて証明した実験となりました。

今までの論文

これまでにも、朝食を抜くと、インスリン分泌が更新して脂肪を蓄えやすい体になってしまうとか、LDLという悪玉コレステロールが上昇するとか、燃費が悪い体になってしまうとか、心血管の病気のリスクが上がる、などいろいろな論文が発表されています。こうした論文にもとづいて、朝食を摂ることが健康的だと、今まで言われ続けてきました。

ところが、こうした研究は、「朝食を抜く」という要因の他に、それ以外の要因の影響を省くことができません。つまり、「朝食を抜くに至る家庭環境」の影響も含めてしまうのです。

確率の問題ですが、現代の風潮として、しっかり食育をしている家庭では、食事内容のバランスにも気を配られている場合が多いと思います。ところが例えば、養育者が食育にあまり興味がなくて、朝食も作らない、昼食や夕食もファストフードなどで済ませるというような環境があるかもしれません。また、そうした家庭では、もしかしたら野菜を多く摂取するということも、されないかもしれません。

食事摂取は害という論文も

一方で、飽食の現代においては、昼食や夕食のみでも一日必要量のカロリーをじゅうぶん摂取できるため、朝食摂取にこだわらなくてもいいのでは、という考え方も出てきている。

例えば、寿命を延ばす「長寿遺伝子」と言われる遺伝子は、約100種類あると言われ、すべての生き物が持ち合わせているものですが、通常の状態では活性化されません。マウスの実験によれば、ある種の飢餓ストレス状態において、この遺伝子が活性化されるということが明らかにされました。カロリーを、今必要と言われている量の6割程度に抑えるとマウスや線虫などの寿命が一番延びるという結果でした。つまり、腹八分目ならぬ、腹六分目が長寿遺伝子が一番活性化しやすいカロリーだったということになります。

今話題なのが「サーチュイン遺伝子」と言われるもので、生き物に共通する長寿遺伝子の代表的なものです。細胞の遺伝子の末端には、「テロメア」と呼ばれる同じアミノ酸配列が繰り返される部分がありますが、細胞分裂を何度もしていくうちに、少しずつこのテロメアの配列が減っていきます。テロメアがなくなると細胞分裂ができなくなり、細胞死に至るわけですが、サーチュイン遺伝子は、このテロメアが減らないようにするような働きがあることも分かっています。

子供の場合はどうか?

今まで書いてきたように、摂取カロリーと健康については、まだまだ議論の余地があり、またいろいろな要因が絡み合うために、一概に結論付けることは現段階では不可能だと考えます。

ところが、特に小さい子供では、断食状態が半日でも続いた場合、ケトン血症を発症してしまう可能性があり(参照記事; ケトン血症について)、注意が必要です。少なくとも小学校までは、朝食として何かしら朝おなかに入れていくことは必須だと思います。

摂取カロリーについても、中学生ではおおそよ1500キロカロリー、小学生でも1000-1300キロカロリーが必要であり、朝食を抜くと昼食や夕食だけで補いきれない可能性があります。成長期で様々な栄養素が必要であること、品目をなるべく多くとり、まんべんなく栄養素をとる必要がある子供にとって、朝食を抜くことは、やはり大きなマイナスになると考えられます。

というわけで、がっつりでなくてもいいので、朝食は摂りましょう!という結論でした。

sponsor’s link

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする