ケトン血症について

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子供に特有の病態、ケトン血症ってなに?

小児科でよく見る症例で考えてみましょう。

6歳男児。生来健康。

日曜日の朝から運動会だった。

夕方疲れて夕食を摂らずに寝てしまった。そのまま夜も起きなかった。

朝から頭痛と嘔気あり、水分を摂っても嘔吐してしまい、ぐったりしているので受診。

尿検査ではケトン強陽性。血糖値は40台と低値であった。

この症例は、ケトン性低血糖です。

子供の体の中で何が起こっているのか説明します。

ケトンってなに?

生命の細胞は、大部分ををエネルギー源として活動しています。特に子供の場合、代謝が高く、たくさんの糖を必要としています。糖分は通常、食事から供給されますが、絶食時間が長くなると、次第に血糖値が低下してきます。

このとき、大人の場合は、肝臓や筋肉などで糖を合成し、エネルギー源としてしばらく持ちこたえることができます。ところが、代謝機能がまた未熟な子供は、この糖の合成がうまくできず、代わりに脂肪を分解して糖分を得るという方法をとります。(なぜここまでして糖分が必要かというと、脳に糖分が供給されないと、生命活動に支障がでてしまうからです。)

脂肪を分解して、糖を取りだすときに、一緒に産生されるのが「ケトン」といわれる酸性物質です。ケトンは血中に溶け込んで、「ケトン血症」を起こします。

症例の子は、疲れて糖分もあまり摂れないまま、翌朝まで絶食状態となっていたために、夜の間に体にケトンが溜まってしまっていたのでしょう。

ケトンが血中に増えるとどのような症状がでる?

ケトンは体にとっては毒物です。

ケトンはさまざまな症状を来すことが知られていますが、頭痛、腹痛、ふらつき、嘔気、嘔吐などの症状が出てきます。ひどくなると、うとうとしてしまい、ぐったりするようになります。

また、ケトンが溜まると、水分を受け付けず、嘔吐の症状が強くなってしまうため、少量の水分摂取もできなくなってしまいます。こうなると、点滴で糖分を補充してやる他ありません。

逆にいうと、ケトンが増えてしまうまでに、なんとか糖分を与えることができれば、点滴をする必要はなくなります。

ケトン体が体に溜まってしまった場合は、二日酔いのときのような、発酵したような、なんとも言えない、甘い香りが子供からしてきます。尿にケトンが出ている場合も、いつもよりも甘いにおいになるので、鼻のいい人は臭いである程度予測ができます。

脂肪を分解して、ケトンを出しながらも血糖値を維持できているときはまだいいですが、次第に血糖値さえ維持できなくなり、低血糖状態になります(ケトン性低血糖症)。低血糖になると、脳の糖分が供給されないため、意識障害や、ひどい場合にはけいれんや昏睡などを引き起こすのです。

ちなみに、ケトン性血症は、古くは、「自家中毒」「周期性嘔吐症」とも言われていた病態と同義です。

ケトン性血症やケトン性低血糖になりやすい子供の特徴

症例の子供も、目いっぱい活動したあとに、絶食時間が長くなってしまい、ケトン性血症、続いてケトン性低血糖状態に陥ってしまったものと考えられました。

治療は糖分を含んだ点滴です。

症例の子どもも、糖分を急速に投与し、半日ほど点滴をするとすっかり元気になりました。こういった元気な子にも起こりますが、多くは胃腸炎のときに嘔吐が続き、その後胃腸炎は回復してもケトン血症のせいで水分が摂れず、さらにしんどくなっていってしまうことも多くみられます。

ケトン性血症は、もともと小柄で痩せ形の子供に起こりやすいです。筋肉の量が少ないので、筋肉での糖の合成も期待しにくくなります。繰り返す子は何回も繰り返してしまうこともあります。

稀に、代謝に関する異常をもつ疾患が隠れている場合もあり、頻繁に繰り返す場合には注意が必要です。

ケトン性血症を予防するためには

以前にもケトン性血症になった子どもさんは、また同じような状況下で、同様の症状を来すことがあるので注意が必要です。予防は、絶食時間が長くなりすぎないようにすること。疲れて寝てしまった場合も、夜中に起きて、お茶ではなくなにか糖分を含んだ飲み物(OS-1などが最適です)を摂取させるのがよいでしょう。

よくあるのが、脱水予防に、とお茶は飲ませていたけれども、ケトン性嘔吐症を来してしまう場合です。お茶は水分ですが、前述のように糖分を含まないため、エネルギー源にはならないので注意が必要です。

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