医療分野のAI(人工知能)について

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医療分野のAI(人工知能)について

最近話題のAIですが、さまざまな分野にも活用されようとしています。ここでは、医療分野で活用されるAIについて調べてみました。

医療業務補助としてのAI

実は私の勤務している病院でもすでにAIは取り入れられています。というのも、電子カルテにカルテ記載する際に、過去に入力した文字列や頻用する語句などを記憶しており、途中まで入力すると続きを示唆してくれています。パソコンを使う人なら誰しも恩恵にあずかっていると思われます。こうした補助により、事務的作業の効率化がはかれています。

画像診断補助としてのAI

CTやMRIなど画像診断の機械的な技術が飛躍的な進歩を遂げています。MRIひとつとっても、多種多様な条件や撮影方法があり、一つの検査で1000枚以上の画像を見る必要がある場合もあります。しかし、いくら画像技術が向上しても、現状ではその画像を診断するのは放射線科医だけです。もちろん主治医も確認しますが、撮影箇所以外の部分にたまたまうつりこんだ腫瘍などの見逃し事例があとを絶ちません。

また、マクロな画像だけでなく、ミクロの画像診断にも威力を発揮します。例えば、手術で切除した標本は、染色され薄くスライスされた後、顕微鏡で一枚一枚技師が確認します。癌細胞がどこまで広がっているか、そもそも癌細胞がいるのか、そしてその分類、といったところは、現状人間がすべて行っています。

こうした状況下で、AIを利用することにより、画像全体を短時間で診断することができますし、人間とのダブルチェックを行うことも可能となります。

診断補助としてのAI

様々な医療機関が、診断ツールとしてAIを活用しようとしています。現在でも、症状を打ち込むだけで鑑別診断をあげてくれたり、推奨される治療を示してくれたりといったシステムが構築されつつあります。小児科領域でも「子供の救急」というサイトもありますが、もっと専門的に診断学に特化したシステムも開発されようとしているようです。

患者さんへの情報提供ツールとしてのAI

現在は、手術や治療の説明などは、基本的に医療者が直接患者さんに説明し、同意を得ています。手術のリスクなどは個人の健康状態、年齢、合併症の有無で多少違ってきてしまうために、ビデオ説明では対応できません。ここで、AIが活躍します。例えば、合併症がある場合にはそれに対応した説明を、患者さんからの一般的な質問にもあらかじめ対応できるようにしておく、といったように、個々で説明を変えることができると思われます。

手術補助としてのAI

ダ・ヴィンチ手術、などと話題になっていますが、医療機械を用いて遠隔的に手術をする技術も開発が進んでいます。今は人の手を代理で動かして手術しますが、そのうちにAIが判断して手術をするようになる日が来るかもしれません。

医療情報統合のためのAI

現代は年間に数えきれないくらいの論文が発表されています。有名雑誌であれば多くの人の目に留まりますが、そうでない場合、または他国の論文である場合などもあり、エキスパートたちですらすべての情報を統括できているとは到底言えません。

こうした氾濫する情報をまとめ、そこから示される新たな結論や仮設を示唆するのもAIの重要な役割です。

DNA解析におけるAI

DNAとは、4種類の塩基の羅列です。この羅列の順番により、私たちの体のすべてがコントロールされています。この塩基は、人間で60憶あると言われていますが、分かっていることはまだだ一部であり、まだまだ知られざる情報が隠されていると考えられています。

AIはこうした膨大なデータを集積することが得意なので、膨大なデータから新たな法則を見つけ出したりすることが期待されています。

医師としての仕事は奪われる日がくるか?

上述のように、AIを用いて様々な医療的支援を行うことが可能です。ところが、診断学とは単純なものではなく、医師は、検査結果だけでなく、患者の状態、機嫌、顔色、既往歴や家族歴、周囲の流行状況など、さまざまな要素を組み合わせて総合的に診断を行っています。診断だけでなく、治療方針なども、その家族のホームケア力によっても違ってくるので、一人一人に対応して選択しています。

AIでもこうした複数の要素を組み合わせての判断することはできますが、総合力としては現時点では人間のほうが一枚も二枚も上手です。

また、相手の感情をくみ取って治療方針を変えたり、様々な事情で最善と思われる選択肢が取れないことにも柔軟に対応できます。

さらに、医師の仕事は、いわゆる診断・治療だけではありません。患者さんのつらい思いを聞いたり、専門的な立場から「大丈夫ですよ」と声をかけたりすることで、症状が和らいだり楽になることが多いのも事実です。「ムント・テラピー(Mund Therapie)」というように、優秀な医療者の言葉は病気も癒す力を持つものだと思います(これができない医師もいるのですが)。この点は、現時点ではAIでは絶対に医師に勝つことはできないと考えます。

特に小児科においては、母親の不安を取り除くという要素がとても強いために、より医師のムンテラ力の重要性が高いと思っています。さらに言えば、子育てしていない先生より、絶賛子育て中の現役ママ先生のほうが、ムンテラ力は高いと自負しているのですが、いかがでしょうか。。

ともあれ、人間と機械が協力して、それぞれの良さを伸ばし、よりよい医療を提供できるようになるといいですね♪

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