子供のじんましんについて
子供にブツブツがでている、というときにじんましんかどうか、判断が難しい場合があります。典型的なじんましんの症状はどのようなものか、またその原因と治療について、説明します。
じんましんとは
じんましんとは、24時間以内に消失する、皮膚がやや隆起し、かゆみを伴う皮膚病変です。大きさは様々で、数ミリの大きさのものが点在する場合もあれば、それがだんだん重なったりつながって地図状になることもあります。強いかゆみが特徴で、じんましんが出ている周りの部分をひっかくと、みみずばれのようになってその部分も隆起してくることが多いです。大きな特徴として、24時間以内に消失するというものがあるので、夜に出ていたブツブツが朝になって消えていたり、場所が変わっていたりすると、じんましんの診断になります。
じんましんのメカニズム
じんましんは、表皮の下の、真皮という部分に、浮腫が起こっている状態です。浮腫とはむくみのことですが、このむくみの原因となる水分は血管から出てきます。じんましんの原因となるものが、真皮に存在している肥満細胞(マスト細胞)を刺激し、ヒスタミンという物質が放出されてしまうと、血管に作用して水が染み出てくるようになります。
子供のじんましんの原因
じんましんの原因には、内的な要因や外的な要因がありますが、その両方が複合している場合も多くみられます。
内的な要因(体の内側から影響するもの)
アレルギー症状(食物アレルギーなど)
子供で一番分かりやすいのが、食物アレルギーによるじんましんです。これは、特定の食物を摂取した30分から2時間以内に、体のいろいろな部分に出現するじんましんです。一部分だけでとどまることもありますが、アナフィラキシーなどでは全身に広がり、全身の膨隆と発赤という強い症状となることもあります。また、食物以外に薬剤によるアレルギー症状もじんましんを引き起こすことがあります。
仮性アレルギー
ヒスタミンなどのアレルギー物質を多く含む食物を摂取したときにも、じんましんが出ることがあります。これは、一般的な食物アレルギーと区別して、仮性アレルギーと呼んでいます。
精神的ストレス
子供でも強いストレスを受けると、じんましんがでやすくなります。
コリン性じんましん
発汗に関わるコリンという神経伝達物質が原因でじんましんを発症することがあります。汗そのものへのアレルギー反応である場合もあります。10-20代に多く、多くは自然治癒します。
高IgE状態によるじんましん
内臓の病気などで、IgEが高い状態になっている場合、じんましんが簡単に誘発されてしまうことがあります。逆にいうと、慢性じんましんがきっかけとなって、内臓の病気が見つかることがあります。
外的な要因(体の外側から影響するもの)
接触性じんましん
特定の物質に触れると、触れたものの刺激によりじんましんを発症することがあります。金属アレルギーなどもこれにあたります。また、食物アレルギーのある子供さんは、その食物を触れただけでも接触性じんましんを起こすことが多いです。まtあ、外用薬によるアレルギー症状として、じんましんが出ることもあります。
寒冷じんましん
寒冷刺激そのものがじんましんを誘発することもあります。
日光じんましん
日光が刺激となってじんましんを起こす場合もよくあります。
その他の外的な要因によるじんましん
寒冷刺激や日光刺激以外にも、パンツのゴムなどの圧によって起こる圧じんましんや、水じんましんなど、様々な刺激がじんましんの要因となりえます。
このように、いろいろなじんましんの原因がありますが、実はじんましんの約9割が、「原因不明」と診断されてしまいます。体の中や外に様々な要因があるのですが、特定できない場合がほとんどなのです。
じんましんの治療
じんましんの原因が明らかである場合は、原因の除去が一番の治療となります。ただし、先述のように原因がはっきりしないことのほうが多いため、対症療法として、薬物で対応することになります。
この場合、治療は外用薬が無効です。なぜかというと、外用薬は表皮までしか吸収されないからです。真皮の浮腫であるため、内服薬、あるいは局所の冷却が治療となります。内服薬の選択は、抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)になります。子供では、アレジオン、ザイザル、アレロック、アレグラ、クラリチンなどが選択肢となります。
よくじんましんで塗り薬をください、と言われますが、上記のようにご説明して、アイスノンで冷やす、お風呂などの刺激を避ける、などの指導をしています。