子供のめまいについて

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子供のめまい症状

子供も、大人同様、めまいや立ちくらみなどの症状が出ることがあります。しかし、その症状や程度は様々で、子供ひとりひとりによって表現や感じ方も変わります。今回は、子供のめまい症状について、解説します。

めまいは診察では分かりにくい

めまいは本人にしか分からない感覚的な症状なので、診察でとらえることは難しいです。

学童期以降は、「ふらふらする」「目の前が真っ暗になる」などの表現であらわされることが多いですが、乳幼児では顔色不良、不機嫌、嘔吐などの症状に隠れて存在している場合があります。

めまいの分かりやすい診察所見として挙げられるのは、「眼振」です。目をしっかり合わせるようにしても、眼球が左右、あるいは上下に揺れるときは、めまい症状があるときです。

前述のように、特に乳幼児では、めまいの症状を伝えられないことが多いため、見逃されている例も多くあると考えられています。

めまいの種類

めまいはその性質と原因によって大きく2種類に分かれます。

回転性めまい

外の世界が回るように感じられる、あるいは患者さん自身が回っているように感じる場合を、「回転性めまい」と呼びます。回転性めまいは、耳の近くの末梢神経に異常があるときに見られるため、末梢性(内耳性)めまいとも呼ばれます。

浮動性(非回転性)めまい

ふらふらする、ふわふわする、目の前が暗くなる、というようなめまいを、浮動性(非回転性)めまいと呼びます。脳の神経に異常がある場合に見られるため、末梢性と対比して中枢性めまいと言われます。脳の血流などの異常で、二次的な浮動性めまいがみられることもあります。

子供のめまいの原因となる病気

めまいの原因となる病気はたくさんありますが、子供に多い代表的なものをご紹介します。

起立性調節障害

自律神経失調症の一種で、立っている姿勢での脳血流を維持するだけの血圧が保てないために、長時間立っていたり、急に立ち上がったりするときによろめいたり目の前が真っ暗になって倒れたりしてしまうことがあります。(起立性調節障害についてはコチラ)小学校高学年から中学生くらいまでに多い病気です。

迷走神経反射といって、痛い思いをした後や排便をした後も、同じようなメカニズムで症状が現れることがあります。

小児良性発作性めまい

海外の統計では、小児のめまいの原因として最も多いと言われているものです。急なめまいが前触れなく発作的に数分~数時間続き、同様の発作を何度も繰り返すというものです。症状がなにもないときは、まったく異常ありません。末梢性の回転性めまいを起こします。原因はよく分かっていません。

内耳炎・前庭神経炎

ウイルス感染などが原因で、内耳やそれに続く前庭神経という部分に炎症が起こった状態です。末梢神経の炎症なので、回転性めまいを起こします。お薬による副作用で起こる場合もあります。

良性発作性頭位めまい

小児良性発作性めまいとよく似ていますが、良性「頭位」めまいです。つまり、姿勢や「頭の位置」を変えることによって悪化するめまいです。もともと耳の中には、平衡感覚をつかさどる感覚毛があり、そのうえに耳石をいう小さな石が乗っています。この石がなにかの拍子に剥がれ落ちて、内耳の三半規管というところに入りこんで起こると言われています。頭を強くぶつけたり、衝撃が加わったあとに、耳石が遊離して発症する場合もあります。

頭部をいろいろ動かして、石が三半規管からうまく外に出れば、症状は消失します。三半規管に入りこんでしまった石を外に出す「epley法」という体操もありますが、激しいめまいや嘔吐などの症状を誘発しやすいので注意が必要です。

片頭痛

強い頭痛を伴うような状態であれば、浮動性のめまいを来すことがあります。片頭痛は家族性があり、両親のどちらか(あるいは両方)にも同様の症状が起こっている確率が高いです。

てんかん

てんかんの一症状として、めまいや失神などが起こる場合があります。くりかえすめまいや、通常のめまいのメカニズムでは説明できないような場合には、てんかんを疑う必要があります。てんかんを疑った場合は、脳波の検査が診断の助けとなります。

腫瘍

頻度は少ないですが、脳腫瘍や聴神経腫瘍、小脳腫瘍などの腫瘍が原因でめまいが起こることもあります。腫瘍のある場所によって、末梢性になったり中枢性になったり、症状が変わります。

そのほか

低血糖や貧血、さらに不整脈などでも浮動性のめまいが起こることがあります。脳への血流や神経の働きが鈍るからです。また、めまい症状と間違いやすいですが、意識を失って倒れてしまう(失神)症状がある場合には、疑うべき疾患がガラリと変わってしまうので、注意しましょう。(またそのうち記事にします)

また、大人では脳卒中の初期症状として、めまいが重要な症状と言われていますが、子供においては、脳卒中の発症率がそもそもとても低いので、脳卒中に関してはあまり心配する必要がありません。

どんな検査をする?

まずは丁寧な問診から、どんな状況でめまいが起こるのか、急性なのか慢性なのか、中枢性なのか末梢性なのか、悪化するような因子があるのかないのかをチェックします。

また、全身の状態をチェックするために、血液検査をしたり、頭の中の変化がないかを調べるために頭部CT・MRIをしたり、耳鳴り・眼振・難聴がないか耳鼻科のチェックをしたり聴力検査をしたりします。

血圧の異常があれば、心臓のエコー検査や心電図を行う場合もあります。

てんかんなどを疑えば、脳波を撮ります。

そのほか、いろいろな可能性を考え、検査の必要性を吟味して診断を進めていきます。

めまいの診断はとても難しく、一度の検査ではっきりわかることは少ないかもしれません。特に、先に述べたように、小さい子供の場合は症状を正確に表現すること自体が難しいので、診断がさらに難しくなります。

めまいの専門は耳鼻科になりますが、まずは小児科で相談してもどちらでも構いません。明らかな耳鳴り症状や眼振、難聴などの兆候があれば、耳鼻科に相談するのがよいでしょう。

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