赤ちゃんの股関節についてのおはなし
健診で股関節が固いといわれた、股関節、右と左で差がありそうかも?ハイハイのしかたが気になる・・・赤ちゃんの股関節についての説明です。
「先天性股関節脱臼」と言われた時代
昔は、股関節が曲がりにくいなどの症状から発見される、赤ちゃんの股関節の脱臼を「先天性股関節脱臼」と呼んでいました。ところが近年は、おむつの間違った付け方や、一時期はやったスリングなどの間違った使用方法などで、股関節が正常に発育できないことで起こってくる、「後天的」なものと認識されるようになりました。そのために近年では、「発育性股関節形成不全」と呼ばれます。
発育性股関節形成不全になる理由
もともと、赤ちゃんはお母さんの体から出てくる際に、出てきやすいように、体の関節も伸びやすく柔らかくなっています。生まれたての赤ちゃんの股関節もそういう理由で緩んでいます。赤ちゃんはよくWM型といわれるように、腕を上に向け(W型)、股関節を軽くまげて(M型)いるのが通常の好ましい姿勢です。ところが、おむつをきつくつけたり、間違った抱っこの方法で足の動きが制限されたりして、正しいM型をとることができない状態が続くと、股関節の天井の部分(臼蓋といいます)の発達が促進されず、しっかりしたアーチを形成することができなくなるために、脱臼しやすい股関節になってしまいます。くる病などで先天性に臼蓋の形成不全が見られることもあります。
発育性股関節形成不全の見分け方
この発育性股関節形成不全は、寝ている赤ちゃんにとってはしんどい症状はありませんので、泣いたり嫌がったりすることもありません。そのため、見つかりにくいこともあります。よく1か月健診、4か月健診、10か月健診などで医師の診察時に股関節を診察するのは股関節形成不全を見逃さないようにんするためです。
疑わしい症状は以下の通りです。
・股関節が開きにくい(ぺたっと両側が外側につかない)
・左右で開き具合が違う
・太腿のシワが明らかに左右非対称である
・股関節を動かすとポキッと音がする
股関節の外側への開き具合(外旋といいます)は、だいたいの赤ちゃんは少し力をくわえるだけで180度ひらきます。これより少ない角度しか開かない場合には注意が必要と言われています。
発育性股関節形成不全を予防するためには?
赤ちゃんをだっこする際に、しっかり足を曲げてM型にするようにしてください。カエルのような足の形です。また、おむつを付ける際にも、赤ちゃんの足がM型になるように意識してつけてください。
赤ちゃんの授乳時には、赤ちゃんの足をのばした状態で授乳している方が多いと思います。赤ちゃんは乳児期は授乳時間も多いですので、なるべくならコアラ抱っこまたは足を曲げた状態で授乳するほうが好ましいです。
また、基本的にはスリングでの横抱きは推奨されていません。横抱きでは赤ちゃんの足が伸びきった状態になってしまうからです。股関節形成不全の兆候がある場合は、スリングは禁止ですし、正常な赤ちゃんでも長時間の横抱きは禁物です。
さらに、向き癖が付きすぎてしまうと、反対側の膝が立ってしまいがちになるので、股関節にはよくない体勢になります。多少は大丈夫ですが、常にどちらかを向いている、という場合は頭の形だけでなく、股関節の心配もしてやらなければいけません。タオルなどを使って反対側を向かせるようにしたり、反対から声かけしてあげる体勢にするなどの工夫が必要ば場合もあります。参照:赤ちゃんの向き癖と絶壁
発育性股関節形成不全の兆候があっても、はやい時期にこうした予防策を実践することにより、股関節の正常な発育が促進されます。
チェックリストにあてはまるときは
早期に発見し対策することでほとんどの股関節トラブルは解消できます。上記を実践しながら、気になる場合は小児科に相談しましょう。赤ちゃんのうちは予防接種などで病院に行く機会がたくさんあると思いますので、その際聞いてみられるといいと思います。