子供のスギ花粉症の治療薬
今、アレルゲン免疫療法がどんどん広まってきています。
今までスギ花粉症の治療薬は液体状のものしかなく、それも12歳以上から保険適応でしたが、2018年6月から5歳以上から使える錠剤のお薬が承認され処方できるようになりました。
以前のお薬は、液体であった上に冷所で保存が原則で、旅行などの際の管理が難しいこともありましたが、新しいお薬は錠剤になり使いやすいのが利点です。
実際の治療を見ていきましょう。
まずはスギ花粉症の診断
治療を始めるにあたって、まずはスギ花粉症であるということを診断する必要があります。
毎年、スギ花粉の飛散する時期に、目がかゆくなったり鼻がむずむずしたりくしゃみが止まらない、といった症状がある場合に、血液検査にてスギの特異的IgEの値が上がっているかどうか、確認します。
血液検査は少量の血液で施行でき、結果がでるまでに数日かかります。また、プリックテストといって、スギのエキスを皮内に少しだけ入れ、局所が腫れるかどうか確認する皮膚テストを併用することもあります。
また症状は結膜炎や鼻炎症状だけでなく、喘息発作がでやすい場合なども、よい適応になります。
本当にスギだけ?
また、この検査の際、他のアレルゲンについても同時に調べることができます。
スギ・ヒノキが陽性になる方が多いですが、場合によってはハウスダストやダニのアレルゲンも強く陽性になることがあります。こうしたハウスダストなどによる通年性アレルギーがある方は、スギだけ治療しても、他の原因が取り除かれないので、症状の改善に乏しいです。
治療のよい適応になるのは、スギの特異的IgEだけが突出して高い場合で、より効果が高くなります。
治療開始の時期検討
いざ治療を開始しようとしても、治療はスギの花粉飛散期には行えません。
治療開始できるのは、スギ花粉が終わった時期、つまり6月から7月以降で開始することができます。スギ花粉は12月ごろから飛び始めるので、6月から11月が治療開始にふさわしい時期です。
初回は医師の前で服用
今まで発売されていたスギのアレルゲン免疫療法のお薬は液体でしたが、5歳から適応のあるのは、錠剤のみです。
錠剤を舌の下に入れて約1分間保持します。錠剤がゆっくり溶け出し、1分の後は飲みこんでもらいます。保持できなければ治療の効果が減弱します。
初回は医師の前で副作用がないか確認しながら服用します。
服用時の副作用としては、舌がピリピリする、口の中が少し腫れる、といった軽微なものが多いですが、頻度はとても低いものの強い反応(呼吸困難や血圧低下、アナフィラキシーなど)が出る場合がありますので、十分に注意が必要です。
その後は、ご自宅で毎日1回、同じように舌下投与を行います。はじめの一週間は初期量(2000JAU)で継続し、二週間目から維持量(5000JAU)に増量して、そのままずっと継続します。
服用時の注意
服用後、5分間は食べたり飲んだりせず、2時間は入浴を含めた激しい運動はできません。
学童の場合、体育の授業が問題になりますが、マラソン大会などでない限りは問題ありません。できれば、早起きして早めに服用し、体育の時間までに2時間以上あけられるように工夫しましょう。
どれくらい続けるべき?
即効性はないのですが、3か月ほど使うと、徐々に効果が現れてくる、という人が多いです。6-11月に使いだすと、次のシーズンではかなり楽になるという人が3割、楽になる人全体では7割から8割くらいです。
1年間服用すると、次の1年は休薬しても効果が持続することが多いとの研究結果もありますが、だいたい3年は継続するように推奨されています。一旦中断すると、再開するときにはまた低用量からやりなおしですので、継続していた方が効果も高く、おすすめです。