鼻水止めのお薬について

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風邪に鼻水止めは有効か?

風邪を引いたときに、よく「鼻水止め」が処方されることがあります。風邪に鼻水止めは有効なのか、小児科医の立場から、お話します。

風邪と診断されたときに処方されるお薬

子供の風邪薬があまり効かないと思う件についてでも書きましたが、風邪と診断された場合、風邪の症状に対して、症状を和らげる目的でお薬が処方されます。熱には解熱剤、咳には咳止め、鼻水には鼻水止め、といった具合です。

ところが、熱も咳も鼻水もすべて、ウイルスなどの侵入を体から防いだり、免疫力を上げて外敵から体を守るための大事な体の機構です。咳止めを処方する場合に医者が考えていることで書いたとおり、この大事な体の機構をお薬で完全になくしてしまうのは危険だし、生理的な反応を薬で抑えること自体が難しく、内服してもらっても残念ながらあまりよく効きません。

咳止め同様、鼻水止めも、実はあまり処方したくないお薬になります。

鼻水止めはアレルギー性鼻炎のお薬です

鼻水止めは、抗ヒスタミン薬といって、アレルギー性の鼻水を止める作用は強いです。アレルギー性の鼻水は、通常感冒の鼻水とは違い、少しねっとりしています。

花粉症の時期はくしゃみや鼻汁、結膜炎といった、他のアレルギー症状を伴うため、比較的アレルギー性鼻炎の診断がしやすいです。こういった症状がある場合、そして熱や咽頭痛などの感冒症状がない場合は、鼻水止めとして服用するのはいいでしょう。

意外に知られていない、鼻水止めの怖い副作用

鼻水止めを子供に使用する場合、あまり知られていない重要な副作用があります。

それは「けいれんをおこしやすくする作用がある」ということです。

抗ヒスタミン薬は、よく「眠気を引き起こす」ことが知られていますが、脳に直接作用してしまいます。この作用の一環で、発熱時に熱性けいれんを起こす閾値を低くすることが小児科医の間では知られています。なので通常、小児科医は高熱の幼児に鼻水止めはあまり出しませんが、耳鼻科や内科の先生は知らずに出すこともあり、けいれんで搬送されてしまう場合があります。

近年は抗ヒスタミン薬の開発も飛躍的にすすみ、脳に作用しにくいように改善されつつありますが、やはりけいれんのリスクが全くないわけではないので、熱がでる可能性がある風邪のときには飲まないほうがいいです。同じ理由で、熱性けいれんを繰り返す体質の子供さんも、抗アレルギー薬は避けたほうが無難です。

そして市販の子供用風邪薬にも、抗ヒスタミン薬が配合されている場合が多いですので、薬局の薬剤師さんによく確認する必要があります。

効かないうえに、怖い副作用のある抗ヒスタミン薬、安易に飲むべきではないですね。

止めるよりも、取り除くことに力をいれるべき

何度も説明してきているように、鼻水は生体の防御反応であるため、止めることは難しいです。出てしまうものは仕方がないのですが、かといって、鼻づまりで苦しいし、滝のように鼻水が出て、鼻の下がただれてしまったり、夜中もよく寝られなかったりと、弊害も多いのが実情です。鼻水は止めることを考えるより、出てくるものを取り除いてあげるのが生理的です。そうすれば、鼻水とともに、悪い病原体も排除することができて、一石二鳥です。

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おまけ;漢方薬

西洋医学とはまだ全然違う観点で言うと、漢方薬はある程度安心して使えるものも多いです。

小青竜湯という漢方薬は生薬の成分で鼻水を止めたり、鼻閉を改善する効果があります。鼻水は止めるべきではない、と冒頭に書きましたが、乳幼児などは鼻水や鼻閉があることで哺乳できなかったり、眠れなかったりといったデメリットも多いため、漢方薬を使うこともあります。小青竜湯はやや酸っぱいため、お湯に溶かしてリンゴジュースなどに混ぜて飲ませるのがコツです。これは花粉症の時期にも効果を発揮するため、筆者の家では常備薬となっています。鼻閉が劇的に改善します。

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