東京医大の不正入試についておもうこと
先日、東京医大で、入試の際に女子学生だけ一律に減点していたという報道がなされて、ニュースになっていました。
テレビでは、色々なコメンテイターの方々が、「とんでもないことだ!まずは女性が働きやすい職場環境を作るのが前提でしょうに!」と憤慨していましたが、この問題の根底となっている子育て世代の女医として、どうしても違和感がぬぐえません。
もちろん、無断で点数をしょっぴくなんてもってのほかだし、真面目に勉強して、男子学生と同じ受験料を払い、純粋に成績で選ばれる(どこぞの大学では面接での加点やコネ入学があるという噂くらい多々流れるのですか)と信じて、夢に向かって頑張っていた女子学生の方々、減点がなければ人生が変わっていたであろう方々に対して、どう責任を取るおつもりかとおもいます。
決して許容されるものではありません。
ただ、出産、子育てを機に出世街道を諦め、家事と育児との両立に悩みながら、ギリギリのラインを模索して、夜勤を含めた様々な業務を免除してもらっているものとすれば、「女性が働きやすい職場環境」というものを構築するためには、今の医療体制を維持しようとするならば、同僚やその家族にも多大な負担を強いることになることが十分に予想されます。
そして、その負担をかけてしまうとすれば、到底精神的に対等には働けません。
私も、昼間はできるだけたくさんの仕事をして、いない時間の分貢献しようと思い働いていますが、やはり大変なのは、夜、夜中。そこで働けないと、「女性医師は男性医師の1/3」と言われてもしょうがないのかな、と自分でも思います。なので、心底同僚の先生には申し訳ないです。
男性医師だって早く家に帰って子供とごはん食べたいでしょうし、毎日遅くなって嫁さんが不機嫌になるのもたまらんでしょう。休日だって職場に近づかずのんびりしたいし、できれば旅行にも行きたいでしょう。
今の日本のように、ある程度の地域で、多科に渡って24時間一定以上のレベルの医療を受けるためには、医師やその家族の、自己犠牲がなければ成り立ちません。
救急医療以外にも、入院患者さんの病状説明だって、「仕事があるので日曜にしてもらえませんか」とか「父親が22時に来るので説明お願いします」とか言われるのが当たり前だし、土日だってお盆だって年末年始だってありません。この体制を続けようとする限り、この問題はなくならないように思います。
以上のことを踏まえ、
女性が働きやすい職場環境を作るということは、患者さんにもある程度の不便さを強いることになる、ということを理解していなければ、「環境を整えることが先決でしょ!」とは言えないのでは、と思うのがこの違和感の正体なのかなと考えました。
医療と直接関係ないことを長々とすみませんでした。