肺炎の原因微生物の診断方法
前記事で、肺炎の原因についてまとめました。
では、どのように見分けるのか?を書いていこうと思います。
ウイルス、細菌、マイコプラズマの見分け方
これらの肺炎の原因を見分けるのは、いろいろな検査を組み合わせて行います。
ウイルス性肺炎の見分け方
迅速検査
たとえば、ウイルス性肺炎を疑えば、その症状から予想されるウイルスの迅速検査を行い、診断できる場合があります。RSウイルスやヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスは咽頭や鼻腔のぬぐい液で診断できます。
肺炎の原因となるウイルスは、風邪のウイルスの数だけあるので、型ちがいを含めて何千種類とあります。(RSウイルスだけでも何種類も遺伝子型があります)そのうちで、迅速検査ができるのはほんの一握りです。そしてすべての検査をすることは実質不可能なので、その子供の臨床症状と、周りの流行状況に合わせて検査を行うことになります。ただし、迅速検査で見つけられない場合がほとんどです。
血液検査
血液検査では、白血球の数や全身の炎症反応(CRP)がそれほど上昇していないことが多いです。好中球の数もそれほど増えていません。逆に、白血球が正常より低い場合もあります。さらに、全身状態も比較的良好なので、塩分のバランスも崩れていないことが多いです。ウイルス感染に伴い、肝臓の値(AST/ALT)が軽度上昇していることもあります。
レントゲン
両肺の肺門部(気管支が分かれるところ)を中心に影がある場合が多いです。全体的に淡い陰影です。両側にある場合は、ウイルス性のことが多いです。(細菌性では両側になりません)
細菌性肺炎の見分け方
細菌の迅速検査はありません。尿中の肺炎球菌抗原を測定することは可能ですが、あくまで参考程度で、基本的には血液検査の結果と、全身状態で判断します。大抵は全身状態不良で、酸素の値が低かったりぐったりしていたり、という症状があります。
血液検査
白血球や好中球、そしてCRPという炎症反応が高度に上昇しています。CRPが上がっていたら細菌性、というわけではないのですが、全身状態と合わせて考慮します。
レントゲン
ウイルス性肺炎よりも濃い陰影がある場合もありますが、いろいろです。大抵は片側だけです。胸水を伴う強い炎症になる場合もあります。壁を作り中に膿を溜めるタイプの細菌もいます。その場合は、膿の液面がレントゲンにうつる場合もあります。
喀痰培養
痰に細菌が増えているため、痰の培養検査を出すと、その原因菌が分かることがあります。培養検査自体には4-5日時間がかかりますが、施設によってはすぐに顕微鏡で観察して、生きた細菌を見られることもあります。
マイコプラズマ肺炎の見分け方
前記事でも書きましたが、熱が続いたり咳がきつい割には全身状態良好で、レントゲンをとってみてはじめてわかる肺炎もあったりします。また、小さい子では症状や検査が非典型的なこともありますが、比較的大きい学童以上でよく見かけます。
迅速検査
咽頭のぬぐい液で30分程度で検査をすることができます。偽陰性も多いですが、検出されれば診断できます。
血液検査
ウイルス性肺炎同様、白血球はあまり上昇していません。また、肺炎のレントゲン像と比して、炎症反応もあまり上がらないことが多いです。上がっている場合もあります。好中球なども動きません。また、発症から一週間以上経過している場合は、血清のマイコプラズマ抗体が上昇していることもあります。上がりが微妙なときは、ペア血清といって、3-4週間後に再度血液検査をして、抗体がさらに上昇しているかどうかで確認できる場合もあります。
レントゲン
レントゲン像はさまざまですが、大抵片側性で楔形(くさびがた)の濃い陰影を呈します。痰が詰まって肺が部分的に閉塞する「無気肺」が影の原因です。
いかがでしたでしょうか。
子どもさんが肺炎にかかってしまった際には、医師がこのようなことを鑑みて治療方針を決定しています。参考にしてくださいね。
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