溶連菌について

sponsor’s link

溶連菌感染症について

溶連菌ってなに?

急性上気道炎は9割はウイルス性ですが、残りの1割の細菌性の上気道炎の多くを占める細菌の一つで、正式には「溶血性連鎖球菌」といいます。A群、B群などというグループに分かれるのですが、咽頭炎で問題になるのはA群です。

溶連菌の症状と診断

典型的には、発熱あり、喉が痛くて、咳鼻の症状あまりなし、ときにはぶつぶつができることもあります。診察では、咽頭の発赤が強く、「火炎状」とも称されます。分かりやすい人は検査不要で、見慣れていれば診断も簡単です。

典型的なものは、咽頭の所見で診断できますが、迷わしい場合は、咽頭ぬぐい液の中の溶連菌の抗原を検出することができ、迅速キットで10分程度で判定できます。

意外と知られていない、迅速キットの「偽陽性」

ただ、溶連菌は、治療が中途半端だったりすると実はヒトの咽頭に住みついてしまうこともあります。いわゆる「保菌」の状態です。「保菌」の状態でも、迅速キットは一応陽性になります。

この保菌状態で、もしも咽頭痛や発熱がなければ、検査で検出されても治療する必要はまったくありません。人間と共生していて病原性を発揮していないからです。

ただ、熱が出て、他のウイルスなどが原因だったとしても、保菌状態にある人は、検査するたびに溶連菌が陽性になることがあります。実際は他の原因で熱が出ているので、そういう場合は抗生剤を飲みだしても、なかなか熱が下がらなかったりします。その場合は、無用な治療をされたということになります。しかも、その後どこからかまた拾ってきて保菌状態になったりします。保菌者は大人でも5-10%程度いるようです。

また、溶連菌の検査キットは感度が低く(約70%程度)、陰性でもそのうちの20-30%は培養検査で陽性になるとも言われていますので、検査の信頼度はそこまで高くないのです。

しっかりとした診察が診断には必須

そうした無用な治療や、診断間違いを防ぐために、診察所見はとっても大事です。

Centorスコア
・発熱38℃以上
・咳なし
・頸部リンパ節腫脹あり
・扁桃腫脹あり

このうち4つが当てはまればキットで陽性になる確率は38-63%となります。低年齢であればさらに確率が上がります。Centorスコアのうち2つ以上当てはまれば、迅速検査をすることが推奨されています。

やみくもに検査するのではなく、しっかり検査前確率を高めて検査しする必要があることが分かりますね。

溶連菌は大人でも喉が痛くてしんどいので、しっかり診断して、治療が必要かどうか判断してもらうことが大事です。

溶連菌感染症の治療

治療は抗生剤です。溶連菌には耐性菌は現時点ではいないと言われているため、どの抗生剤も有効ですが、推奨されているのは、アモキシシリン(サワシリン、ワイドシリン)です。

溶連菌咽頭炎には抗生剤は著効するため、治療開始した翌日中には熱もすっかり下がり、咽頭の痛みもかなり改善します。(逆にいうと、翌日に下がらなかったら、熱の原因は他にあるということです。)よくあるのが、熱も下がってしまったということで、治療を半ばに中止してしまう人がいるのですが、これが一番よくありませんので、必ず最後まで飲み切ってください。

溶連菌感染後の合併症

溶連菌感染後、1-3週間の間に、自分の腎臓を壊す抗体ができてしまい、腎臓を攻撃して炎症を起こすことがあります。

その結果、おしっこの量が減り、血尿やたんぱく尿が出ます。おむつの取れた子ではしっかりおしっこの色を見たりしないため、むくみだしてからはじめて外から分かる状態になることも多いです。おしっこの色は真っ赤というよりは「コーラ色」と称されます。

おしっこがでなくて血液量が多くなるため、血圧が上昇し、頭痛などを来す場合もあり、ひどい場合は高血圧脳症になることもあります。

予後は比較的良好で、ほとんどは安静と水分制限や塩分制限、降圧剤(血圧を下げるお薬)や利尿剤(おしっこを出すお薬)などの治療にて改善します。血尿やたんぱく尿は数か月で消失します。

免疫の病気なので、しっかり初期の除菌治療を行っていても、腎炎を発症する可能性があります。

溶連菌感染後の尿検査って必要?

溶連菌感染後はよく小児科で、1カ月後くらいの尿を持ってきてね、と言われることがあると思いますが、実はあまり意味がないです。

たいてい1-3週間くらいで発症することがほとんどで、、おしっこを見ていれば容易に分かります。ただ、おしっこの病気になる可能性がある、と覚えていて欲しいので、1カ月後のおしっこを持ってくるように指導しているふしはあります。

トイレに自分で行ける子は、少しの間はおしっこの色をしっかり見ておくように子どもに伝えておくとよいですね。

sponsor’s link

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする