乳幼児の中耳炎の診断と治療

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子供の中耳炎

子供が小さいうちは、風邪を引いて鼻水がじゅるじゅるになると、よく中耳炎を合併します。3歳までに80%が罹患すると言われるますが、「耳が痛い」とまだ訴えられない年齢のうちは、発熱や不機嫌が続く原因が、実は中耳炎だったということもよくあります。子供の中耳炎について、気を付けるべき症状や治療についてまとめます。

原因は鼻と耳をつなぐ「耳管」にある

鼻と耳の間には「耳管」という細い管があり、開いたり閉じたりして気圧の調整などに役立っています。子どもはまだ顔も小さいので、この「耳管」の物理的な長さが短く、また開閉する機構も十分には発達していません。そのため、風邪を引いて鼻がぐずぐずすると鼻に存在する細菌が、本来無菌であるはずの内耳に届きやすく、容易に中耳炎になります。

昔は、「赤ちゃんをお風呂の水につけたら中耳炎になる」とか、「耳垢が溜まりすぎたら中耳炎になる」とか言われましたが、耳の穴から経由で中耳炎になることはなく、ほとんどは耳管経由での感染です。

原因はウイルス性と細菌性、そして混合性

肺炎などと同じように、中耳炎の原因も、ウイルス性と細菌性があります。インフルエンザのときには、40%程度の高率でインフルエンザウイルスそのものによる急性中耳炎を起こすことが報告されています。

RSウイルスやアデノウイルスなども、中耳炎をよく起こすと言われています。ただし、2歳以下の低年齢においては、ウイルスと細菌の混合感染も多いことが知られています。先の項にある、「耳管」経由で常在菌が感染を起こすパターンです。

細菌としての原因菌は「インフルエンザ菌b(Hib)」あるいは「肺炎球菌」が各々30%程度を占めています。

急性中耳炎の治療

小児急性中耳炎のガイドライン

急性中耳炎を鼓膜所見と臨床症状から点数を付け、点数の高さにより軽症、中等症、重症に分けてそれぞれの重症度に応じた治療法を示しているのが小児科学会と耳鼻科学会が推奨するガイドラインです。
このガイドラインでは、2歳0か月以下は中耳炎のハイリスクとして、一律に3点の加点を付けています。そのうえで、推奨される治療法を提示しています。
軽症の急性中耳炎の治療では、直ぐに抗生剤を投与するのではなく、2-3日の経過観察期間を置くように推奨されています。軽症であれば、少し時間を置くことで自身で回復できることが多く、観察期間を置いたからといって重症化するリスクはないという研究結果がでています。抗生剤は、副作用や耐性菌誘導のリスクがあり(抗生剤の功罪抗生剤とアレルギー風邪に対して複数の抗生剤投与がされていた症例)、なるべく控えることも推奨されています。
去痰薬などで数日経過観察を行ったにも関わらず、改善が見られないもの、あるいは中等症の中耳炎に対しては、サワシリン・ワイドシリンなどの抗生剤を投与します。これらの抗菌薬は、中耳炎の原因となる肺炎球菌やHibに有効です。また、メイアクトやオゼックスなどが耳鼻科からよく処方されますが、これらは耐性菌を作るリスクがあり、初期の投薬としてはおすすめできません。いざというときに、抗生剤がまったく効かない体になる危険性があります。
大事なのはお薬を飲むこともそうですが、飲み終わるまでに必ず鼓膜症状の改善の確認が必要です。日本では、抗生剤の乱用によって薬剤耐性菌による中耳炎も増えてきており、薬剤耐性菌によるものは一般的な内服薬では無効ですので、内服薬の効果が薄い場合は、耐性菌ターゲットにしてお薬の種類を変更する必要があります。
重症の中耳炎は、鼓膜切開をしたり、鼓膜にチューブを通して通気したり点耳薬を入れたりします。このような処置は耳鼻科でしかできません。
よっぽどでない限り、こうした処置はしませんが、必要時には小児科から耳鼻科に紹介することがあります。

実際に痛いときはどうしたらいい?

中耳炎は、夜中に急に耳の痛みを来すことがあるため、救急受診する方も多いです。座薬などの解熱鎮痛薬があれば、痛みを和らげる目的で使用してもらうのがいいと思います。効いてくるまでには約30分ほどかかります。また、耳の後ろあたりをアイスノンなどで冷やしてあげるのも効果的です。中耳炎を起こし、鼓膜が急激に腫れるときに痛みがありますが、腫れ切ってしまうと、痛みは和らぐことが多いです。

予防はやっぱりワクチン

日本では現在13種類の肺炎球菌に有効な肺炎球菌ワクチンが定期接種として承認されています。急性中耳炎全体としては20%以上の予防効果があると言われています。
また、半年に3回以上繰り返すような、反復性中耳炎の場合は、漢方薬による免疫力賦活化作用で、予防に効果があるという報告があります。この薬剤は「十全大補湯」というものです。乳児に毎日漢方薬を飲ませるのは難しいかもしれませんが、意外にお茶に溶かせて飲ませることができる子もいます。
そして、何より大事なのは、お鼻を清潔に保ち、耳管からの細菌の繁殖を防ぐことです。乳児ではしっかり鼻をかむことができないため、しっかりと鼻吸いを行いましょう。それだけで、ぐっと病気の頻度が減るでしょう。

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