クループの病院受診の目安

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クループ症候群について

通常、風邪は鼻から喉頭という、喉の奥の部分に炎症が起きますが、喉頭には声を出す声帯という器官があります。この声帯あたりに炎症が起きると、教科書的には「オットセイ様」または「犬吠様」と言われるような、クループ特有の咳がでます。

クループって?

実はクループ症候群とは、声帯周辺に炎症が起こる様々な病気の総称です。昔はジフテリアが「真性(本物の)クループ」その他のクループを「仮性クループ」と言いましたが、三(四)種混合の予防接種が義務化してからほぼ見なくなりました。その他、命に関わる急性喉頭蓋炎という病気もありますが、これもヒブと肺炎球菌の予防接種が定着してからほとんど見ません。なので、ここでいうクループとは、昔でいう「仮性クループ」になります。

クループ症候群の原因と症状

クループの原因は、ほぼウイルス感染で、1歳〜3歳くらいまでに多く、どういうわけか男子に多いです。オットセイの声をすぐに想像できる人は少ないと思われますが、いつもの風邪の時とは明らかに違う、少し高調で乾いた咳をします。「ケンケン」が1番近いでしょうか。喉が楽器になったようによく咳の音が響きます。声が枯れることもあります。想像つかない方は、「クループ 咳」でYouTubeで検索するとたくさん出てきます

クループのときの救急病院受診の目安

クループ咳は喘息と同じように夜間に悪化します。通常の咳ならまだしも、ケンケンケンケン、ずっと咳をされると、息苦しそうでとても心配になります。そして、夜間に悪化すると、救急受診したほうがいいのか、判断に迷うことがあると思います。
実はクループは、上気道の狭窄はきたしますが、完全に閉塞してしまうことは極めて稀です。なので、呼吸が止まることはないのですが、それでもひどいときは呼吸困難となりかなり苦しいため、下記の呼吸困難の兆候があれば救急受診することをお勧めします。

*咳が続きすぎて寝られない
*息を吸うときに首の下や肋骨の下がベコベコ凹んだり、お腹が膨らんだりする
*息を吸うのが苦しそう、ヒーッと音を立てて息を吸う

項目の下に行くほど早く行ったほうがいいでしょう。
熱は出たり出なかったりですが、受診の目安にはあまり関係ありません。呼吸が苦しそうと判断したら、そこからすぐに良くなることはまずないのですぐに受診しましょう。また、苦しくなってから受診するのもつらいので、夜にかけてクループ咳がひどくなってくる場合も受診するといいと思います。もちろん、保護者が不安な場合は、救急受診をためらう必要はありません。
受診するまでにおうちでできることは、
*しっかり加湿(マスク着用、お風呂のシャワーでもくもく加湿)
*寝転ぶとしんどくなるので、縦抱きか体を起こした状態で寝かせる
*はちみつ生姜ドリンク (参照 子どもの咳にハチミツが有効!?

病院での処置と入院の目安

病院では、喉頭の腫れを引かせるステロイド剤やアドレナリン(血管収縮薬)の吸入をしたり、同じ作用を期待してステロイドの内服や点滴をしたりしますが、泣くと余計に腫れがひどくなるのでよっぽどのときにしか点滴はしません。点滴が必要な場合は入院した方がいいです。

また、吸入の効果も、数時間しか持たないので、腫れが強い場合はまた咳が再発することだってあります。こんなときは入院して反復治療が必要です。ただ、入院が必要な重症クループは1%程度しかないと言われています。

ステロイドは、内服してから数時間経たないとしっかり効いてこないため、医師によっては、朝にクループで受診した人が夜間心配だと思うときは、悪くなったとき用の頓服ステロイドを処方したりします。ステロイド内服をすると一時的に熱が下がりますが、半日ほどでぶり返す可能性も考慮しておかなければいけません。

クループは体質も関連し、繰り返しやすい子もいるので、受診の際にはクループの既往があることをあらかじめ医師に伝えるとよいと思います。

怖い病気が隠れていることも!

先に出た「急性喉頭蓋炎」は喉頭蓋という、細菌感染によって気管の蓋をする部分が腫れてしまうことにより、最悪の場合窒息を来す怖い病気です。

主にHib(インフルエンザ菌)が原因と言われており、予防接種が定期接種化されてから激減しましたが、もしもこの病気になると、一刻も早く治療が必要です。腫れる場所は同じような部分なのでクループとの見分け方が重要になりますが、クループよりずっとずっと重症で、細菌が血の中に増える菌血症を来してますので熱も高くて尋常でなくぐったり、そして何より、喉が痛くて唾も飲み込めずヨダレを垂らし続けます。熱はあるけど咳以外それなりに元気という場合はまず心配要りません。

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