食物アレルギー除去解除の方法(牛乳編)
食物アレルギーで除去食となっていた場合、どこかのタイミングで少しずつ除去を解除していかなければいけません。安全性を考えると入院での負荷試験をするのがベストですが、なかなかその時間を取れないママもたくさんいらっしゃると思います。
今回は、自宅で鶏卵除去解除をしていく方法を解説します。
自宅での負荷は、かならず体調の万全なときを選び、なにかあればすぐに病院を受診できる準備をすることが第一です。必ず病院のあいている時間帯、つまり平日の日中に行ってください。
食べさせたあとは、30分から2時間、症状がでないか、しっかり観察します。
皮膚症状がでたり、咳込み、嘔吐があれば、本人の様子をみて続くなら病院を受診しましょう。また、呼吸困難、繰り返す嘔吐、意識の低下があれば、救急車を呼んでください。
完全除去であった人は少量から
完全除去していた方は、以前にアナフィラキシーなどの強い反応が出た方だと思います。血液検査でのアレルギー値の経過が改善してきている、もしくは皮内テストなどである程度摂取できる見通しが立てば、少量の牛乳もしくは牛乳を含んだ加工品からチャレンジしていきます。
もしも、血液検査の結果だけで完全除去の指示が出ていた場合も同様ですが、最近は血液検査でアレルギー値が高くても、食べられることも多いので、主治医ともう一度相談することをお勧めします。
完全除去していた人は、ごく少量の牛乳から摂取していく必要があります。牛乳は鶏卵と違い、加熱や発酵によってアレルゲンの強さは変わらないことが分かっています。
まずは、ヨーグレットから
ヨーグルトや牛乳そのものでもいいのですが、0.1mlとか超微量になると、飲めたのかどうなのかもよく分かりません。その場合は、よくヨーグレットを利用します。ヨーグレット一粒=牛乳約0.25mlに相当します。ヨーグレットが4粒食べられたら、牛乳1mlの摂取が可能です。
ちなみに、ハイハインプレーンも鶏卵・小麦を使用していません。1枚あたり牛乳約0.19mlに相当します。5枚で牛乳1mlですね。
また、マリービスケットも1枚で牛乳約1mlとなります。小麦アレルギーがない方は、ビスケットから開始してもいいです。
その後は牛乳orヨーグルトで
牛乳1mlの摂取ができたら、あとは鶏卵同様、20%を目途に増やしていきます。1ml→1.2ml→1.4ml・・・といった具合です。牛乳の場合は、小麦などと合わさると抗原性がやや弱まったり、ムラができますので、加工品で増やすと、同じ量でもでたり出なかったり、ということがよく起こります。5ml程度までの少量の牛乳であれば、オレンジジュースに混ぜでしまえばまったくわかりませんので、ぜひ試してみてください。
ヨーグルトは、牛乳と同じ量(重さ)で考えてもらって大丈夫ですが、牛乳は卵のように加熱してアレルゲン性が低下することはありません。
ちなみに、じゃがりこサラダ味1本で牛乳約0.5ml程度。
時折、ちいさいチーズならあげやすい、とあげてしまって大変なことになる人がいます。チーズは乳脂肪分の塊で、アレルゲンが非常に強いため、だいぶすすんでからでないと危険です。
5ml飲めたら・・・
調味料としてのバターは大丈夫。それからハムもいけます。食パン5枚切りもだいたい半分いけるようになります。食パンは銘柄によって多少変わります。6枚切りであれば、ヤマザキ食パンや芳醇なども1枚は食べられます。スナックスティックも大丈夫です。
同様に、20%ずつ増量していきます。5ml→6ml→7.2ml・・・というかんじです。(だいたいでいいです)
10mlのめたら・・・
食パン1枚は大丈夫です。
30ml飲めたら・・・
ロールパン、5g程度のキャンディーチーズ、ヤクルト、板チョコ1/4枚が可能になります。ここまでくるとあとは20%などと細かいことは気にせずに、自宅で適当に増やしていってもらっていいです。
シチューを1人前食べられるには、牛乳約100mlくらいを摂取できていないと厳しいです。小さいうちは、野菜を煮込んでから取り分け、アレルギー用ミルクを併用しながら、作ってもらうといいですね。(参照; アレルギー用ミルクについて)
学校給食では日によってかなりの牛乳量になる!
覚えておいてほしいのが、学童期になるときに学校給食でどうするか、です。じつは学校給食で出てくるコッペパンは、地域によってはかなり牛乳量として含まれていて、100-200mlに相当するものもあるようです。給食には通常牛乳が180mlついてきますので、それだけで400mlちかく、日によってはさらにシチューまでついてきます。
完全除去の段階からいきなり学校給食での牛乳除去解除を目標とする場合は、1年以上かかる場合があり、計画的にすすめる必要があります。