【小児科医が診る】小児科外来での子どもの様子について。

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小児科外来での子どもの様子

小児科外来にはいろいろな子供が来ます。お母さんに抱っこされて、こちらを見ようともしない子、目が合っただけで大泣きする子、聴診器や舌圧子を当てると大暴れする子。一方で、お母さんから離れて診察室の中のいろいろなものに興味を示す子、診察室の外に走り去ってしまう子、お母さんとのお話しに割り込んで、自分の興味のあることをお話してくれる子など、本当に様々です。

病院に来ている理由は違っても、小児科医として、正常な発達の段階なのか、それとも何かしらの対策が必要なのか、考えながら診察する場合も多いです。

外来でわかる自閉症スペクトラム(ADHD;注意欠陥多動症)

・お母さんに抱っこされていてもじっとしていない。
・診察室の中を歩き回る。おもちゃだけでなく、機械なども躊躇なく触る。
・保護者との会話に割り込んで、関係ない話をする。
・聴診器や舌圧子などを極端に嫌がる
・けがでの受診が多い

上記の様子が見てとれたら、ADHDなどを疑います。ただし、自閉症スペクトラムは個人差が大きく、周りとある程度同調できていたり、集団生活をある程度問題なく送れていれば問題ありません。それに、診察時は一日の中でほんの数分のことであり、普段慣れない場所での診察という緊張から、上記のような行動をとることもあります。
診察時に心配になったときは、それとなく母親に聞いてみて、全く気にしていないようなら、スルーすることも多いです。
でも、一度でも幼稚園などで指摘されていれば、こちらの質問にとても食いついてくれたりするので、その場合はそこからさらに相談の窓口を広げるようにします。

ADHDの子どもは増えている

診断基準が変わってから、またはADHDという概念が浸透してくるに従って、今までグレーゾーンと言って様子を見られていたであろう子どもも、病名をつけられるようになりました。他にも要因があるとは思われますが、人為的に診断数が増えているのは事実だと思います。

どのような状態であれ、親がその子を育てにくいと感じたり、その子が集団になじみにくいという性質を持っていれば、診断の有無にかかわらず、対策を考えていく必要があります。対策といっても、薬物治療は安易に選択されるものではありません。近年は、学校関係者から、「発達障害だと思うので診断をして投薬をしてほしい」といった依頼がある、と、小児神経の先生が嘆いていました。一体誰のための診断なのか、誰のための治療なのか、もう一度しっかり考えてあげる必要があると思います。

そして、ADHDの診断を下す前に、甲状腺疾患だったり、てんかんだったり、愛着障害だったりという他の疾患をしっかり除外する必要があります。

マイナス面ばかりに目を向けないで

ADHDの診断基準に合致しても、その子は限りない可能性を秘めている、いわゆる「gifted child(天賦の才ある子ども)」です。特定の方面で非常に秀でており、その才能を生かせるのは周りの人間であり、親であり、子ども自身です。そして、生きにくさがあっても、周りがしっかり理解して、合わせて行動することによって、劇的に状態は変化しうると思います。

より早く対応がわかれば、可能性も広がります。うちの子、どんなかんじかな、と心配になったら、まずかかりつけの小児科に相談してもいいかもしれません。

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