アトピー性皮膚炎の最新治療~2016ガイドラインより~

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アトピー性皮膚炎の治療

2016年アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインが更新されました。大まかな治療方針は変わらなず、①原因・悪化因子の検索・除去、②正しいスキンケア、③薬物療法 が治療の大きな骨子となっています。

①原因・悪化因子の検索

検索といっても、血液検査や皮膚テストで原因をしらみつぶしに調べていく、ということは必要ありません。

よく、皮膚の状態が悪いので血液検査を、という患者さんや医者もいますが、皮膚の状態が悪い子は、表面の角層のバリア機能が低下しているので、すでに抗原が入りこみ、アレルギーとして感作されているため、血液検査しても大抵多種多様の抗原が陽性になり、皮膚テストでも陽性になります。しかし、それは原因ではなく、結果である可能性が高いです。なかには、食物でも今まで問題なく摂取していたものでも、高い抗体値がでてしまい、なぜか徐去を指導されるという子どもがいまだにいるのも事実です。

黄色ブドウ球菌

悪化因子で現在分かっているものは、まず細菌感染です。アトピーの患者さんには高い確率で、黄色ブドウ球菌という細菌が住みついており、悪化因子になることが分かっています。これらの菌を排除するために、抗生剤が必要な場合があります。皮膚の状態の悪い場所に住みつくので、つるつるのお肌に持っていくことが重要です。

食物アレルギー

特定の食物を摂取した後に、アトピー疹が悪化する場合があります。しかしこの場合でも、安易に除去をするのではなく、あくまで薬物療法をしながら、それでもコントロール不良のときに、最低限の除去を考慮します。診断は、一定期間原因と思われるアレルゲンを除去してから、再度摂取してみて皮膚の状態が悪化するかどうかという負荷試験を行います。前述のように決して血液検査や皮膚検査のみで判断してはいけません。

環境アレルゲン(ダニ、砂塵、室内塵、ペットの毛など)

これらのアレルゲンは完全に排除することは不可能であり、環境の変化と皮疹の推移(ペットがいなくなったら皮膚状態がよくなった、など)の証拠を集めて判断する必要があります。ダニやカビはアレルゲンになるだけでなく、皮膚のバリア機能を低下させることもあります。

シャンプーや化粧品など、普段肌に触れるものによる接触アレルギーが悪化因子になっている場合もありますが、これらも同様に判断します。

また、汗にもアトピー性皮膚炎を悪化させる因子があり、さらに汗の中で繁殖するカビの一種があることも分かっています。健常人の汗は、黄色ブドウ球菌などの殺菌作用があることが知られますが、アトピーなど炎症のある場合はこの作用が期待できず、悪化因子となります。また、アトピー患者さんでは正常は発汗機能が弱まっていることもわかっており、皮膚の温度上昇がかゆみにつながり、掻把行動となっている場合もあります。

ただし、これらを改善したからといってアトピーが完治するわけではなく、あくまで補助的な改善にとどまります。

ストレス

心理的ストレスも重要な悪化要因です。

②スキンケアの継続

一番重要なのは、日々のスキンケアです。石鹸の使用の有無は問いませんが、時として、洗い残しだったり、石鹸そのものの成分が悪化因子となっている場合もあるので注意が必要です。

薬物療法などで一旦改善すると、ついつい治療を中断しがちですが、中断すると必ず再燃するのがアトピーの特徴です。適切な保湿をして、角層を保護する日々のスキンケアの積み重ねこそが、アトピーの治療につながり、ひいては使用するステロイドの量を最小限にすることにつながります。

③薬物療法

やはり外用ステロイド剤が第一選択

薬物療法とは具体的には、外用ステロイド剤(アルメタ、ロコイド、ボアラなど)、タクロリムス製剤(プロトピック)などです。

外来でよく見るのは、薬を処方されていても、うすーく伸ばして使っている場合、期待する薬効は得られません。むしろ刷り込むことによって、皮膚を傷つける危険すらあります。

大事なのは、FTU(Finger Tip Unit)の概念で、人差し指の第一関節までたっぷり乗せたクリームを、大人の手のひら2枚分の面積に塗ることです。この用量を守るとかなりべとべとになりますが、それくらいがいいです。ティッシュがくっつくくらいです。周りについてしまったりべとべとしますので、その点は我慢が必要です。

補助的な薬剤

内服抗ヒスタミン剤や、漢方薬なども、医師によっては使用される場合があります。内服ヒスタミン剤は、眠気などの副作用の他に、乳幼児ではけいれんを起こしやすくする作用もあるので、長期の内服は難しいと考えます。漢方薬も、ひとによっては効果的なのですが、味があまりよくないので、飲ませるのに苦労する場合も多いです。これらのお薬はあくまで補助的なので、これだけでアトピーをコントロールするのは難しいです。

現在開発中の治療

上記の治療が奏功しない場合、紫外線療法というものを実施している施設もある。一般的にはアトピーの患者さんは日光は悪化因子となりえるが、UVA、UVBといった厳選した紫外線を当てることによって改善するという報告があります。

また、乳酸菌の一種のプロバイオティクスの投与でアトピーが改善されるという報告もあります。

アトピーの治療で大事なことは

アトピー性皮膚炎の治療は、長期に渡り、そして同じことをしていても悪化することも多々あります。患者さん本人や、親にとっては、暗いトンネルをあてもなくすすむようなもので、ときには今やっている治療は効果がないのではないか、といって、医療機関を転々としたり、怪しい宗教じみたセミナーにはまってしまったりする人もおられます。

実際、びっくりするような体験記などもインターネットに載っており、もちろん、それでよくなった人もいるのだろうけど、全員に当てはまるわけではないです。

さらに思うことは、たとえガイドラインがあっても、それに忠実に沿って治療していたとしても、悪化する場合は必ずあります。また、個人の生活や価値観によって、選択すべき治療は変わるはずです。ある程度ガイドラインに沿うのは必要だけど、その先はある程度オーダーメイド化が必要だと思うのです。

なので、大事なのことは、何でも質問に答えてくれて、子供のためを思って一緒に対策を考えてくれる、信頼できる医師を見つけることだと思います。

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