第1子の葛藤

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兄弟、姉妹ができた!そのとき・・・

兄弟(姉妹)ができたとき、赤ちゃんが生まれたとき、それはとっても幸せなことなのだけど、お兄ちゃん・お姉ちゃんになる子どもにとっては、大変な試練になります 。
特に2人目が産まれるとき。
それまでは、上の子はお父さん・お母さんを100%独り占めしていました。
ところが、赤ちゃんが産まれると、どうしても50%、いや、頑張っても60%くらいが限度。
おっぱいの時間は待っててもらわなきゃいけないし、おむつ替えもあるし、お母さんの片手には常に赤ちゃん。
(3人目以降は、もともと100%なかったので、50%→30%くらいになるだけで、あまり問題ないかも。)

私自身の経験から

私自身も、常に長女ファーストにしよう 、と決心していても、どうしても赤ちゃんが泣くと、会話もしにくくなるし自分もイライラして困るので、長女に我慢をしてもらって泣き止ませていました。結果、長女はいつも母親を求めているような、いつか母親が自分から離れていくのではないかと常に思っているような、不安でいっぱいにさせてしまったような気がしています。

大抵の子は、指吸いや爪噛みなど、手持無沙汰な自分自身を落ち着けるための方法を、自分なりに探し出します。赤ちゃん返りをして注意を引こうとするのもそうです。あるいは、下の子にちょっぴり強く当たってしまう子もいます。

そのどちらもできなくって、ちょこっとこじれてしまう場合があります。

嘔吐が続く3歳

3歳女児。
突然の嘔吐とそれに続く食欲不振で前医受診。嘔吐が続くため、点滴され、一旦は改善するものの夜間の嘔吐が続くということで来院。

検査では軽度脱水、尿ケトン陽性
すぐに点滴で脱水を補正し、翌日中には尿ケトンは消失。活気も改善しました。

が、夜中の嘔吐は持続。しかも毎日1回のみ。突然泣いておきて、ごぼっと吐いてまた入眠するそう。

ここで、お母さんと再度おはなし。
すると・・・



想像以上に頑張っていたお姉ちゃんと家族

1か月前に赤ちゃんが産まれた(これはこちらも知ってた)が、実はその前1か月間も、母親が切迫早産で入院されており、赤ちゃんとともに退院されたこと。
頑張っているが、時折赤ちゃんを叩いたりしてしまうお姉ちゃんのこと。
それを見て、ついきつく怒ってしまうお母さんのこと。
父親も、長女にきつくあたっていることがあること。

家族みんな、新しい家族が増えていっぱいいっぱになっていました。お母さんは涙ながらにお話しされました。

そして、その直後から、長女ファーストを徹底してもらうことにしました。

赤ちゃんが泣いていても、赤ちゃんに少し待ってもらい、まず長女に一声かける。
とにかく、ぎゅー!する。
大好きだよ、大切だよ、とことあるごとに言い過ぎる。などなど。。

すると・・・
翌日から嘔吐がなくなりました。

診断は

憶測も交じりますが、発症当初は本物の胃腸炎でした。ケトンが出るくらい嘔吐することは、通常不可能です。
ただ、嘔吐すれば、お父さんお母さんが自分のほうを向いて心配してくれる。ということにも気づいたため、それが長引く原因になっていたのではないでしょうか。

みんな「そうしたくてしてるわけじゃない」!

赤ちゃん返りの様式は十人十色だと思いますが、みんなに言えることは、「そうしたくてしているわけではない」ことだと思います。

今回の子は、赤ちゃん返りというよりは、自分の存在が揺らいでいるような気持ちになり、それをうまく表現できなくて、たまたま嘔吐することで親の愛情を確認しようとして、SOSを発しました。

でも、暴れたり、赤ちゃんに悪戯したり、どうしようもないイヤイヤになったりする子も多いと思います。
誰もがお母さんを困らせたくて困らせているのではなくて。
お母さんお父さんが好きすぎて、きっと下の子のことも大好きなんだけど、それ以上に、未来への不安が強くて、そうなってしまうのだと思います。

考えたら当たり前のことだけど、でも、そういうことをしてしまう、その行動の裏に隠れている気持ちを考えたら、もう切なくて申し訳なくて、怒る気持ちは完全にどこかに消えてしまいます。

あぁ。そういえば昨日長女をしょうもないことで怒ってしまったな。帰ってから抱きしめてあげようっと。

そんなことを考えさせてくれる症例でした。


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