抗生剤とアレルギー

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風邪の原因って?

子供はよく熱を出しますが、そのほとんどが「急性上気道炎」=風邪です。風邪の9割以上がウイルス性のものであり、抗生剤は無効です。溶連菌感染症や、中耳炎等局所の細菌感染を併発しているものでなければ、いくら熱が続いていても、抗生剤を飲んだからと言って、熱が下がるわけではありません。

ところが、実際には、医師は「効かなくてもともと」という気持ちで、「でも念のために」と、抗生剤を処方している場合があります。この「念のため」が、問題になる場合があります。目に見えないところでも、もしかすると悪影響を及ぼしている可能性があるのです。



抗生剤のアレルギーへの関与

抗生剤の目に見えない悪影響、そのひとつがアレルギーへの関与です。

腸内細菌のバランスを崩す

人間の腸内には1000種類もの細菌が共存しており、バランスを取りあって維持されています。抗生剤を飲むと、善玉菌にももれなく影響があるため、この腸内細菌のバランスが崩れてしまい、元に戻るまでに1か月はかかると言われています。

また、腸内の善玉菌はIgEの分泌を抑制しますが、抗生物質投与によって腸内細菌のバランスが崩れると、アレルギーの原因物質であるIgEの分泌を、抑制する働きがある善玉菌が少なくなってしまい、食物アレルギーなどを発症しやすくなります。

喘息が増える

前述したように、腸内細菌のバランスが崩れると、これまで抑えられていたカビが増殖してくることで、カビのアレルギーとなり、喘息を発症することが知られています。

ある実験では、抗生剤を投与されたマウスが、ダニ類由来のアレルゲンに反応して、普通よりも重い喘息症状を発症することも分かってきました。抗生物質投与によって、アレルギー物質であるIgE抗体が上昇し、さらにアレルギーに関係する好塩基球という細胞が増加するようです。

数年前に、乳幼児25万人を対象とした研究で、幼少時に抗生剤を飲んだ回数が多いほど、喘息を発症するリスクが高いという発表がなされました

耐性菌のリスクも!

そして、抗生剤を頻繁に飲んでいると、体の中に「抗生剤でも死なない」菌だけが残り、耐性菌となって住みつきます。免疫力がしっかり働いている間はいいですが、赤ちゃんや老人など、免疫力が弱い人に取りついて、いざ病原性をもったときに大変なことになります。難治性の中耳炎や尿路感染の報告もあとを絶ちません。

抗生剤は未来への資産

以前に比べて、「抗生剤ください!」という保護者の方はかなり減りました。ただ、風邪には効かないんでしょう、と、分かってはいても、一日でも下がってほしい我が子の熱。何もできずに手をこまねいているのは本当に不安です。医師も一緒で、母親と同様に安心したいから、つい抗生剤を飲ませておきたくなるものです。

しかし、繰り返しになりますが、風邪には抗生剤は無効です。飲んで熱が下がったと思っていても、9割は、飲まなくても下がっています。「念のため」「安心のため」の抗菌薬が、実は我が子に害を及ぼしていることもありうるのです。

インフルエンザのタミフル耐性同様、抗生剤も人類の知性の結晶であり、大切な武器です。いつかは、既存の抗生剤の効かない菌と対決せねばいけなくなるときが来るでしょう。それは私たちの世代かもしれないし、子どもたちの世代かもしれません。

そのときのために、なるべく温存するということも考えてみるといいかもしれません。



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