子供の味覚
赤ちゃんは胎生3か月頃から味覚ができてくるとされています。味を感じる器官である味蕾はむしろ大人より多く、大人よりも味覚が鋭いと言われています。
薬剤は、子供が嫌う「苦味」と「酸味」があるものが多く、これをどれだけ隠すことができるかが大事です。「薬は不味いもの」という思い込みがついてしまうと、ある程度大きくなるまでお薬全般が飲めなくなるので、できるだけ小さいうちから、必要なお薬は美味しく、確実に飲めるようにしておくと、いざというときに便利です。
小児科でよく処方される内服薬
最近はドライシロップ剤がたくさん出回り、糖類でコーティングされているため、飲みやすいものが増えてきました。
飲みやすいお薬
咳や鼻水があるときによく処方されるのが、「ムコダイン」「ムコソルバン」「ムコサール」といったドライシロップです。これらは、爽やかなラムネのような味がして、大抵のお子さんは問題なく内服できます。色もついていないので、ヨーグルトに混ぜ込んでしまうと、おそらくバレることはないでしょう。
また、吐き気止めとして使用される「ナウゼリン」は98%白糖なので、そのまま内服できます。整腸剤の類は、ほとんど味もにおいも色もないため、ヨーグルトなどに混ぜてもバレないです。
抗生剤はフルーツ味がついているが、苦いものもある
溶連菌感染症や、中等度以上の中耳炎、軽い肺炎などで処方されるのが、抗生剤/抗菌薬です。これらは、フルーツ味で隠してあることが多いですが、口の中にとどめておくと苦味がでてきます。おまけに毒々しいピンクやオレンジの色つきなので、見た目もなかなか隠せません。一部の抗菌薬「ジスロマック」、「エリスロシン」などは、苦すぎて嘔吐する子供が後を絶ちません。また、抗インフルエンザ薬の「タミフル」も相当苦いです。
解熱鎮痛薬は苦い
熱に対しては小さいころは坐薬が好まれますが、大きくなってくると「カロナール」「アセトアミノフェン原末」という内服薬が処方されます。錠剤が飲めないうちは、これらのお薬の苦味が強くて飲みにくいです。
特に苦いお薬
また、抗アレルギー薬である「アレジオン」は苦みがきついです。免疫を抑制する「プレドニゾロン」、川崎病で処方される「アスピリン」なども苦味が強いことで有名です。これらのお薬は、飲み続けなくてはいけない場合も多いため、たいがい飲ませるのにかなり苦労します。
市販の内服補助剤について
市販の「おくすり飲めたね」ゼリーは、私は使ったことがないのですが、外来ではよく使っているというお話しをききます。いろいろな味が選べて、パッケージも可愛いので、子供は喜びますね。でも、味がやや薄いので、意外に薬の味が消えません。使うなら、味の濃いチョコ味がいいかもしれません。
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また、酸味が強い場合は、爽やかな酸味で対抗することをおすすめします。
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ただし、一袋300円ちかくするので経済的ではないですね。
小児科医がおすすめする!経済的かつ美味しいお薬の飲み方
おすすめしているのは、「牛乳カルピス」ジュースです。お薬を少量の牛乳で溶かし、さらに多目のカルピスでしっかり味付けしてあげると、とってもおいしく飲めます。牛乳は口の中に膜を作ってくれるので、さらに苦みを感じにくくさせてくれます。一部の抗生剤は、牛乳と合わせると吸収がおちますが、小児で使われるのはオゼックスくらいです(さらに言えば、オゼックスは耐性マイコプラズマの病態以外では使うことのないお薬だと私は考えています)ので、それ以外はあまり気にしなくていいです。
同じように、牛乳に味付けをした、コーヒー牛乳、コーヒーも有効です。あと、プラスアルファで冷たさで味覚を麻痺させるという作戦で、アイスクリームもよくすすめています(ハーゲンダッツのような、乳脂肪分の多いやつがいいです)。ちょっとめんどくさいですが、湯煎で溶かしたチョコに混ぜてしまうのもいいです。
においのきつい漢方薬などは、ココア(orミロ)かチョコアイスに混ぜるのがいいです。ついでに色も隠れてしまいます。粒感が強いので、一旦少量のお湯で煎じて溶かしてから、あるいはすりつぶしたほうがいいです。
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ココアはカフェイン入ってるけど大丈夫?と聞かれることもありますが、ココアのカフェイン含有量はコーヒーの1/10以下なので、あまり気にならないかと思います。漢方薬は酸味が強いものが多いので、お湯で煎じてから、りんごジュースに混ぜるのもアリです。
また、乳児にはアイスやチョコは少し、、という方は、小児科で「単シロップ」という、単なるシロップも処方できるので、小児科医に相談してみるのもひとつです。甘ったるいので、嫌がる子が多いですが。。1歳以上であれば、ハチミツや黒蜜なども有効です。イチゴジャムは、つぶつぶ感があってお薬の食感がばれないかもしれません。
また、0歳児には、便秘薬でつかうマルツエキスなども試してみてもいいと思います。
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ともあれ、お薬は飲まないに越したことはありませんね。