予防接種の効果が実感しにくい理由。

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小児科医をしていて、どうしても避けられないのがワクチンの話題です。
ワクチンは、話したいことがありすぎて、とても書ききれないので、不定期シリーズで、徒然と書いていこうと思います。

そもそもワクチンとは

ワクチンとは、子どもに痛い思いをさせ、お母さんたちに医療機関にご足労いただく手間を取らせ、場合によってはお金もかかり、さらには健康な子どもに副作用が起こる可能性が否定できない、、、というものです。
私もできることなら、ワクチンなんて打ちたくないです 。

でも、打たなくて、病気にかかって、我が子を一生苦しませるなんてことはもっとしたくないです。

ワクチンの効果はとても分かりにくい

たとえば、世界中のすべての人が必ずかかる病気があって、それがワクチンで100%防げるとしたら、みんな受けますよね。

では、100人のうち、50人がかかる(罹患率★=50%)病気があって、ワクチンで90%防げる(ワクチンによる予防効果▲=90%)としたら?
50人がワクチンを打たないでも病気にならない。
45人がワクチンの効果を享受できる。
5人がワクチンを打っていても病気になる。

罹患率や予防効果の確率によって効果がずいぶん変わる!

では、100人のうち、10人がかかる(罹患率★=10%)病気で、予防効果▲=20%だったら?
90人はワクチンを打たないでも病気にならない。
2人がワクチンの効果を享受できる。
8人がワクチンを打っていても病気になる。

同じ病気で予防効果▲=90%としたら、、
90人はワクチンを打たないでも病気にならない。
9人がワクチンの効果を享受できる。
1人がワクチンを打っていても病気になる。

(実際はもうすこし複雑ですが、簡素化しております^^;;)

このように、罹患率★や予防効果▲の値が変わると、ワクチンの効果を感じられる人の数もずいぶん変わります。特に、★が小さいと、効果がみえにくくなります。

2009年流行型インフルエンザの場合は、、

通常、罹患率★は世界中の人口で考えると、どの病気でもかなり低いです。2009年にパンデミックを起こした新型インフルエンザも、日本でおおまかに1800万人の罹患と言われているので、1億2千万人で割ると、★はたった15%です。(それでも他の病気に比べるとべらぼうに高いです。)

予防接種の効果▲は、麻疹・風疹や水痘などは、2回摂取すれば95%以上の効果があると言われますが、インフルエンザはせいぜい20-30%程度です。

仮に、★=15%、▲30%で計算すると、、、

85人はワクチンを打たないでも病気にならない。
4.5人がワクチンの効果を享受できる。
5.5人がワクチンを打っていても病気になる。

ワクチン打ってよかった人と、ワクチン打っても結局かかってしまった人がほぼ同数!
なので、なかなか効果を実感できず、副作用だけがクローズアップされるのです。

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