タバコと喘息の関係

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外来をしていると、ゼイゼイする、と問診票に書いて、心配そうに連れてこられる保護者から、思いっきりタバコのにおいがすることがあります。

そんなときには、「家族内に喫煙者はおられませんか?」と聞いてみます。
すると、「あ、ハイ、吸いますが、ちゃんと換気扇の下で吸っているので大丈夫です(^^)b!」と胸を張って答える方が多いです。


換気扇の下で吸っても毒物は防ぎきれません!

換気扇の下で吸っても、全部は吸い取れないですし、服に煙が付着していますので、結局は毒物が部屋中に回ってしまいます」というと、びっくりされる方が多いのに、逆にこちらがびっくりします。

実際、窓を閉めてベランダで喫煙したり、換気扇の下で喫煙しても、受動喫煙のリスクが通常の3~10倍になる(ニコチンの体内量が非喫煙者の3~10倍になる)との報告があります。

タバコは喘息を悪化させる

小さいころから喘息で苦しむ子どもさんはたくさんいます。その喘息の原因の一旦を担っているのは、まぎれもなくタバコです。
もちろん、本人の素因も多少は関係しますが、喫煙者が近くにいる場合は、治療しても必ず悪化していきます。逆に、喫煙者と離れると、とたんに投薬が不要になる場合もあります。
なので、治療の絶対条件はまずは保護者が禁煙すること!です。

大切な我が子のために禁煙を!

タバコは吸わないので、その魅力が分からないのですが、自分や自分の周りの人の体を傷つけるためにわざわざお金を払い、遠い喫煙所を探し、火の始末などをして、それでも吸わずにはいられないことこそが、タバコの異常性だと思います。

非喫煙者からすれば、喫煙者は部屋に入ってきた瞬間に臭いで分かりますその臭いは、服や髪の毛に付着したタバコの有害物質そのものです。

自分の寿命を縮めるのはある程度は自由です。私の同級生にも、医学的知識をもち、タバコのリスクを理解しながら、ガン保険に入りながら、喫煙を続けている人もいました。

でも、子どもの、それも喘息と言われる子どもの保護者でありながら、喫煙を続けるのは、我が子に毒をもりつづけているのと一緒。と、嫌がられるのを覚悟で説明しています。

タバコの影響についての論文

さらに、海外の論文ですが、喘息だけでなく、妊娠中の女性にも多大なリスクがあります。

ブラジルの5000人あまりの人を対象にした研究では、
子宮内で子どもの育ちが遅れるリスクが2倍以上になるし、
子どもの出生時体重も平均140g少なくなるし、
さらに言えば、低体重で生まれる確率が、1.59倍にもなります。
流産や早産のリスクも、それぞれ2倍、1.5倍と高くなります。

また、赤ちゃんの突然死のリスクが、10倍も高くなると言われます。

喫煙者だけでなく、周りの家族ががんにかかるリスクも高くなります。
25歳までに喫煙者のいる家庭で育った子供は、肺がんのリスクが2倍になるとの報告もあります。

さらに、子どもの知能指数が下がったり、発達障害になるリスクも指摘されています。

そこまで吸いたいならば、1万歩譲って、喫煙した後はしっかりお風呂に入って頭を何回も洗って着替えてから子どもや家族に会って欲しい。それくらいの覚悟で吸ってほしい。

でも、保護者の体だって、大切な体。早死すると、お子さんが悲しみます。
お子さんのことを愛して、大切に思っていらっしゃるなら、お願いですから、喫煙はやめてくださいね。



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