食物アレルギーっ子の一般的な経過は?
食物アレルギーの患者さんが増えています。食物アレルギーがある場合、食物除去したらいいのか、食べていくのがいいのか、いつ頃治るのか、いろいろな情報が氾濫しているので、心配になることも多いと思います。
個々で経過や対応は変わりますが、一般的な経過をたどった食物アレルギーの患者さんの具体例をいくつか見ていきましょう。
症例1.7か月男児。
アレルギー検査したところ、牛乳、卵、小麦で陽性(class5)であった。
その後の経過
→アナフィラキシーを起こした場合は、「最低限の除去」は当てはまらず、ひとまず完全除去する場合が多いです。自宅で摂取してまたアナフィラキシーを起こすと命にかかわるので、解除していくためには、少し時間をおいて、入院負荷試験(病院で小麦製品を食べて、症状がでないか観察する)をするのが通常です。
・小麦はソーメン極少量、外来前に摂取させ、症状なし、以降、自宅で少しずつ増量。
・10か月 小麦負荷試験 ゆでうどん10g摂取可
・12か月 外来前に卵黄極少量摂取で問題なし、自宅で徐々に摂取。
・1歳1か月 全卵負荷試験 M寸ゆでたまご1/4個相当摂取可 以降、自宅で少しずつ増量。
・1歳2か月 外来前にヨーグルト極少量摂取で問題なし。
・1歳3か月 牛乳負荷試験 牛乳30ml摂取可。以降、自宅で増量。
少し詰まったスケジュールを組んでどんどん食べていけた症例です。
症例2.6か月女児。
その後の経過
・8か月 外来前に小麦製品極少量摂取し問題なし。以降、自宅で少しずつ増量。
・10か月 外来前に卵黄少量摂取し問題なし。
・12か月 卵黄負荷試験、全量摂取可。
・1歳2か月 外来前にヨーグルト極少量摂取、その後自宅でも少量ずつ増量。
・1歳4か月 牛乳負荷試験。20mlまで摂取可能。
・1歳6か月 小麦負荷試験。10gまで摂取可能。
・1歳8か月 自宅で牛乳30mlまで増量。
・1歳10か月 小麦負荷試験。30gまで摂取可能。以降、自宅で増量中。
低月齢では、まず離乳食の量が安定してこないと、負荷試験ができません。10か月までは、入院での負荷試験はせず、しっかり量が食べられるようになるまで待ちます。
自宅での増量方法は?
どちらの症例も、入院負荷試験だけでなく、自宅でも少しずつ摂取量を増やしていってもらっています。自宅での増量の仕方は、初期量で3回症状がでなかったら、だいたい20%増しで増やしてもらいます。
自宅での負荷は、基本は受診ができる時間帯でお願いしています。また、体調不良のときには中止してもらいます。
小麦などは、体の状態によって、症状がでる量の幅が大きいので、特に注意してもらいます。
また、IgEが高かったり、アトピーや、特に喘息を伴う食物アレルギーの子は、自宅での負荷や増量は特に慎重にする必要があります。
自己判断はしないで!
食物アレルギーは早いうちから対処すれば、かなりの割合で改善されます。ただ、アナフィラキシー症状は、命にかかわる病態ですので、自己判断は決してせず、専門医の指導を受けて、「必要最低限の除去」をこころがけましょう。
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