これから、夏風邪が流行る時期になると、熱性けいれんの搬送が増えます。
熱性けいれんとは
熱性けいれんとは、主に6か月~6歳くらいまでの子どもが、急に高熱になるタイミングでよく起こります。
感染などがきっかけで、体温を上げる体の中の物質(サイトカイン)がたくさん産生され、急激に体温が上がると、乳幼児の発達途中の脳が過剰に反応してけいれん発作を起こしやすいと言われています。
だいたい、発熱に気づいてから24時間以内に起こります。けいれんが起こってから発熱に気づくく人もいるくらいです。
できるだけ慌てずに対応しましょう
我が子が目の前でけいれんしてしまったら、パニックになると思いますが、まず心に留めておいて欲しいのが、けいれんですぐに死亡することはない ということです。
顔色は黒っぽく(あるいは蒼白)なり、チアノーゼが出て、口から泡が出たり、嘔吐したりしますが、決して口の中に何か挟んだり指や物を入れたりせず(嘔吐を誘発したり、口腔内のけがにつながる)、口の出口の吐物をぬぐってあげるくらいで、あとは安全な場所に横向きに寝かせるか(吐物の誤嚥を防ぎます)、抱っこしてあげてもいいですし、周りの安全を確保したうえで、できるだけ冷静に対応しましょう。
どんなけいれんが、どれくらい続いたのかが重要
大抵の場合、けいれん発作自体はほとんど5分程度で終わってしまい、救急車が到着する頃にはぐったり寝てしまっていることが多いので、けいれん発作を救急隊あるいは医療者が直接診られることは少ないです。
けいれんの診察で最も重要なことは、そばに居た人にしかわからないことが多いのです。
<けいれん発作時に見ておいて欲しいこと>
・けいれん時の体の動きに左右差はあったか
・硬直するようなけいれんか、ガクガクするようなけいれんか
・眼球の動きはどうか(上を向いている?横を向いている?)
・持続時間はどれくらいか
救急車を呼んでいいの?
熱性けいれんの体質がある子のうち30%は繰り返す可能性がありますが、毎回救急車を呼ぶべきか?という質問もよく受けます。
基本はいつでもすぐに!呼んでもらっていいと思います。というのも、嘔吐して誤嚥したりするリスクもあり、その場合の吸引や酸素投与などの処置ができるからです。
また、けいれんが短時間で治まらない可能性もあり、けいれんした子どもを乗用車に乗せて、パニックになるとそのまま事故にもつながり大変危険です。救急車を呼んで、けいれんが止まっていたからといって、怒る救急隊の方はいないと思いますのでご安心を。。現に、搬送される子供たちの9割は救急隊到着時にけいれんが止まっているので、正直受け入れ側としてはホッとします。
ちなみに、私が研修医のときは、「けいれんを呼ぶ女」と言われていた時代があり、病棟でも救急でも、担当する患者さんがけいれんを起こしまくり、家に帰ったら飼い犬までがけいれんした、ということがありました。今は幸いそのようなことはありません。